炎の牛肉教室!

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ジャンル
出版社
出版日
2017年12月20日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

日本で黒毛和牛といえば、高級で希少なイメージが強いかもしれない。しかし和牛には他にも3種ほど品種があるのをご存じだろうか。日本では肉用種の97%が黒毛で構成されており、その他の和牛のほうが圧倒的に珍しいという。なかには黒毛より高値で取引されている品種もある。それぞれに個性があり、味わいも違う。

また昨今の牛肉ブームもあり、「A5ランク」という言葉をよく耳にするようになってきた。肉の値段は食肉格付けで決まる。だからA5ランクが最高級肉であることに間違いはない。しかし意外なことに、それは美味しさを評価したものではないという。

本当に美味しい肉を見つけるためには、もっと多様な視点をもたなければならない。著者によると牛肉の味を決める要素には複数あり、それらの総合力で本当に美味しい肉が決まるとのことだ。

日本の牛肉文化はまだまだ浅い。牛肉の調理法も限定的で、不人気部位が売れないという問題もある。これからは格付けにとらわれず、さまざまな牛の品種や部位を味わおう――本書を読み終える頃には、自然とそう思えてくるはずである。

牛肉を楽しむための知識がふんだんに詰まった、味わい豊かな一冊だ。本書を携えながら、識っているようで識らない、牛肉の奥深い世界へ足を踏み入れてみてほしい。

著者

山本 謙治 (やまもと けんじ)
1971年、愛媛県に生まれ、埼玉県で育つ。農畜産物流通コンサルタント、農と食のジャーナリスト。1992年、慶應義塾大学環境情報学部在学中に、畑サークル「八百藤」を設立し、キャンパス内外で野菜を栽培する。同大学大学院修士課程修了後、野村総合研究所、青果流通のシフラを経て、2004年、グッドテーブルズを設立。ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」を運営。著書に、『日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない』(講談社+α新書)、『激安食品の落とし穴』(KADOKAWA)、編著に『完全理解 熟成肉バイブル』(柴田書店MOOK) など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    黒毛和牛は日本でもっともありふれた肉牛だ。国内には他にも3種ほどの和牛がいる。一方でいわゆる「国産牛」はホルスタインなど、乳用種に由来するものがほとんどである。
  • 要点
    2
    食肉格付けの「A5」は美味しさの評価ではない。歩留まりがよく、サシ(脂)の割合が高い肉のことだ。この基準はもともと安い輸入肉に対抗し、国内の畜産業を守るために設けられた。
  • 要点
    3
    牛肉の味を決める方程式は「(牛の品種×えさ×育て方)×熟成」だ。格付けだけで肉を評価するのではなく、さまざまな品種や部位を楽しむ文化にしていくべきである。

要約

牛肉の真実

黒毛和牛はもっともありふれた肉牛である

犬に秋田犬やチワワがいるように、牛にもさまざまな品種がある。

利用法で大きく分けると、牛は「肉用種」と「乳用種」に分類される。肉用種としては早く大きくなり、肉がたくさんとれ、肉質がいいのが望ましい。黒毛和牛はまさにこれだ。

いま日本で飼養される肉用種のうち、97%が黒毛和牛だ。和牛の種類はほかに、「日本短角種」や「褐毛(あかげ)和牛」、「無角和牛」がある。種類によって赤身とサシ(筋肉中の脂肪)のバランス、味わいが異なる。

一方でいわゆる国産牛は、乳用種のホルスタインや乳用種と肉用種をかけあわせた交雑種(F1)がほとんどだ。

牛肉の輸入自由化によって
from_my_point_of_view/iStock/Thinkstock

以前の日本では、褐毛和牛などもそれなりにいた。そのなかで黒毛和牛が高級化し、他を圧倒するようになったのには歴史的背景がある。90年代の牛肉輸入自由化によって、安い外国産肉が入ってくるようになった。そこで日本の畜産を守るため、赤身中心の輸入肉とすみ分けさせるべく、牛の価値基準を霜降り重視に変えたのだ。

黒毛は他品種に比べ、もっとも霜降り度合いが高い牛だった。また黒毛は歩留まり(1頭からとれる肉)も多く、一番儲かる肉だった。60年代以降、消費者の間でも霜降り肉が好まれるようになった事情もあり、急速に黒毛の生産数が伸びていった。

「食べるならA3くらいがいいよね」

A5という格付けは、美味しさを表すものではない。歩留まりをあらわすA~C(Aがもっとも評価が高い)、脂肪交雑など肉質等級をあらわす5~1(5がもっとも評価が高い)。これらの組み合わせが、日本食肉格付協会が規定する牛肉の格付けだ。つまりA5とは、肉がたくさんとれて霜降り度合いが最高レベルに高い肉を指している。

食の世界だと香りは油脂、味わいは肉から生まれるとされる。つまりサシが多すぎると、うまみの少ない肉になってしまう。プロの間では、A3くらいの肉が美味しいとささやかれる。しかし食肉市場では、この格付け基準に沿って牛肉の価格が決まる。A5の肉をめざす生産者が多いのもムリのないことだ。

美味しい牛肉の方程式

味を決める「方程式」はこれだ
Michael Blann/DigitalVision/Thinkstock

「(牛の品種×えさ×育て方)×熟成=牛の肉の味」。これが著者の考える、美味しい牛肉の方程式だ。

まず牛の品種は重要である。筋繊維の太さやサシの入り方などは、品種や血統により大きく左右されてしまう。

次いで味わいに関わる大きな要因がえさだ。えさの種類は、牧草主体の粗飼料で育てるグラスフェッド、コーンなど穀物主体の濃厚飼料で育てるグレインフェッドに分かれる。牛の食べたものが味につながる。牧草地が少ない日本では後者が主だ。

育て方は放牧と牛舎飼い、または両者の組み合わせである。日本ではほぼ牛舎飼いだ。こうした育成環境に加え、ビタミンAを抑制するかどうか(ビタミンAが不足するとサシが入りやすい)といった判断も、味を決める一要素となる。さらに飼育期間も重要だ。基本的には飼育期間が長いほど、味わいや香りが増すからである。ただしその分コストがかさむため、生産者としては早く出荷したいという葛藤がある。日本の場合、和牛は25-28カ月飼って出荷することが多い。

牛を屠殺したあとの「熟成」というプロセスも、味に大きく関わっている。

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要約公開日 2018.03.29
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