デジタルマーケティングの教科書

5つの進化とフレームワーク
未読
デジタルマーケティングの教科書
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5つの進化とフレームワーク
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デジタルマーケティングの教科書
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2017年09月28日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

社会の急速な変化に従って、マーケティングも変化を迫られつつある。読者の方々も、「デジタルマーケティング」という言葉を耳にする機会は格段と増えたことだろう。

では、具体的にデジタルマーケティングが何を指し、どのように行われるものなのか。こうした点まで踏み込んで質問されると、曖昧な答えしかできない、という人もいることだろう。本書は、曖昧模糊とした「デジタルマーケティング」という言葉に、はっきりとした定義と輪郭を与えてくれる。画期的なのは、私たちの近い未来がどのようなものなのか、仮説を立てるところを起点にしているという点だ。従来型のマーケティングの「基礎」を振り返りながら、それをどのように進化させれば、効果的なデジタルマーケティングが可能なのか。この答えが明らかにされていくという構成は、読者の腑に落ちやすいものとなっている。

とりわけ、3章「デジタルマーケティングの5つの進化とフレームワーク」は、必読の内容といえる。これらを読めば、自身の担当領域に照らしたイメージが湧き、実際の施策に結びつける際の注意点が明確になるだろう。

フレームワークの定義の明快さと、豊富な実例、そして実践への活かしやすさという観点から、まさにタイトル通りデジタルマーケティングの「教科書」といえる。マーケティング担当者にはぜひ本書の学びを実践に役立ててほしい。

ライター画像
池田明季哉

著者

牧田 幸裕(まきた ゆきひろ)
信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授
1970年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。
アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。
2003年日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。
2006年信州大学大学院経済・社会政策科学研究科助教授。07年より現職。2012年青山学院大学大学院国際マネジメント研究科非常勤講師。
著書に『フレームワークを使いこなすための50問』『ラーメン二郎にまなぶ経営学』『ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問』『得点力を鍛える』(いずれも東洋経済新報社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    デジタルマーケティングは、「データドリブン」と「オムニチャネル」によって構成される。その目的は、消費者との関係性を深め、消費者のエージェント(代理人)になることである。
  • 要点
    2
    「データドリブン」とは、検索エンジンから得られる検索履歴や、ユーザー情報、またGPSの位置データやSNSにおける行動など、さまざまなデータに基づいて消費者を理解することである。
  • 要点
    3
    「オムニチャネル」とは、ECチャネルやリアル店舗、サプライチェーンからロジスティクスまで、あらゆる場所でのユーザー行動を統合し、ユーザーとの絆を深めることを指す。

要約

【必読ポイント!】 デジタルマーケティングの定義

「データドリブン」と「オムニチャネル」

様々な企業で、デジタルマーケティングに取り組もうという機運が高まってきている。では、具体的に何をすればよいのだろうか。

デジタルマーケティングは、「データドリブン」と「オムニチャネル」の2つに大別される。「データドリブン」とは、消費者理解と消費者へのアプローチを、「勘」や「経験」ではなく、データに基づいて行うことを指す。一方、「オムニチャネル」とは、消費者と企業の接点であるECチャネルとリアル店舗をシームレスに統合し、消費者へ購買の場を提供しながら、消費者購買データ取得の場とすることである。

こうした点を考慮すると、デジタルマーケティングとは、次のように定義できる。データドリブンでターゲット消費者へ製品やサービスを認知させ、消費者の購買前行動データに基づいて興味・関心・欲求を醸成し、購買データを取得する。購買データと購買後の消費者の評価データから製品開発、サービス開発への示唆を得る。これらのデータを、ECチャネルとリアル店舗から取得し、同時に、消費者に最適な購買体験を提供する。この一連の活動をデジタルマーケティングという。その目標は、消費者との関係性を深め、最終的に消費者のエージェント(代理人)になることである。

ビッグデータ分析で消費者を理解する
WDnet/iStock/Thinkstock

デジタルマーケティングでは、ECチャネルをリアルな販売経路と同じく重視する。ECチャネルを通じて、消費者の名前、住所、電話番号、購買履歴が必ずデータ化される。場合によっては、誕生日や年齢などの消費者属性データも取得できる。

また、ECチャネルにおける各ページの滞在時間やページ間移動履歴から、どう逡巡していたのかをAIを活用して分析することが可能だ。リアル店舗の場合は、ビーコン、顔認証システム、表情認識システムを活用する。ある消費者がどういう動線で回遊し、商品を手に取り、喜んだのか。あるいは不満に思ったのか。それでレジに向かったのか、もしくは棚に戻したのか。こうした点が明らかになる。

このように消費者の購買行動がデータ化されていくと、新製品や新サービスを誰に認知させるべきかが明らかになりやすい。たとえば、「1週間以内に『クルマ+新車+SUV』と3回以上検索したセグメントで、関東圏に住所を持つ人」など、絞り込んだターゲットへのプロモーションが可能になる。

さらには、消費者が製品やサービスを購入すると、それらに満足したかどうかという評価が、FacebookやTwitter、InstagramといったSNSや、ブログ、食べログ、Rettyといったレビューサイトを通じてシェアされる。それらの評価の集合体であるビッグデータをAIで分析すれば、製品開発、サービス開発に活かせる。これもまた、デジタルマーケティングの領域だ。よって、AIの活用、データアナリシスはデータマーケティングに関わる人の必須条件となる。

消費者との関係性を強化する

オムニチャネルは消費者と企業の接点をシームレスに統合する。これにより、ECチャネルでもリアル店舗でも、消費者は同様の購買体験を享受できるようになる。またデジタルマーケィングは、サプライチェーン、ロジスティクスの領域までもが包含されていく。

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要約公開日 2018.03.30
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