デジタルマーケティングの教科書の表紙

デジタルマーケティングの教科書

5つの進化とフレームワーク


本書の要点

  • デジタルマーケティングは、「データドリブン」と「オムニチャネル」によって構成される。その目的は、消費者との関係性を深め、消費者のエージェント(代理人)になることである。

  • 「データドリブン」とは、検索エンジンから得られる検索履歴や、ユーザー情報、またGPSの位置データやSNSにおける行動など、さまざまなデータに基づいて消費者を理解することである。

  • 「オムニチャネル」とは、ECチャネルやリアル店舗、サプライチェーンからロジスティクスまで、あらゆる場所でのユーザー行動を統合し、ユーザーとの絆を深めることを指す。

1 / 2

【必読ポイント!】 デジタルマーケティングの定義

「データドリブン」と「オムニチャネル」

様々な企業で、デジタルマーケティングに取り組もうという機運が高まってきている。では、具体的に何をすればよいのだろうか。

デジタルマーケティングは、「データドリブン」と「オムニチャネル」の2つに大別される。「データドリブン」とは、消費者理解と消費者へのアプローチを、「勘」や「経験」ではなく、データに基づいて行うことを指す。一方、「オムニチャネル」とは、消費者と企業の接点であるECチャネルとリアル店舗をシームレスに統合し、消費者へ購買の場を提供しながら、消費者購買データ取得の場とすることである。

こうした点を考慮すると、デジタルマーケティングとは、次のように定義できる。データドリブンでターゲット消費者へ製品やサービスを認知させ、消費者の購買前行動データに基づいて興味・関心・欲求を醸成し、購買データを取得する。購買データと購買後の消費者の評価データから製品開発、サービス開発への示唆を得る。これらのデータを、ECチャネルとリアル店舗から取得し、同時に、消費者に最適な購買体験を提供する。この一連の活動をデジタルマーケティングという。その目標は、消費者との関係性を深め、最終的に消費者のエージェント(代理人)になることである。

ビッグデータ分析で消費者を理解する

WDnet/iStock/Thinkstock

デジタルマーケティングでは、ECチャネルをリアルな販売経路と同じく重視する。ECチャネルを通じて、消費者の名前、住所、電話番号、購買履歴が必ずデータ化される。場合によっては、誕生日や年齢などの消費者属性データも取得できる。

また、ECチャネルにおける各ページの滞在時間やページ間移動履歴から、どう逡巡していたのかをAIを活用して分析することが可能だ。リアル店舗の場合は、ビーコン、顔認証システム、表情認識システムを活用する。ある消費者がどういう動線で回遊し、商品を手に取り、喜んだのか。あるいは不満に思ったのか。それでレジに向かったのか、もしくは棚に戻したのか。こうした点が明らかになる。

このように消費者の購買行動がデータ化されていくと、新製品や新サービスを誰に認知させるべきかが明らかになりやすい。たとえば、「1週間以内に『クルマ+新車+SUV』と3回以上検索したセグメントで、関東圏に住所を持つ人」など、絞り込んだターゲットへのプロモーションが可能になる。

さらには、消費者が製品やサービスを購入すると、それらに満足したかどうかという評価が、FacebookやTwitter、InstagramといったSNSや、ブログ、食べログ、Rettyといったレビューサイトを通じてシェアされる。それらの評価の集合体であるビッグデータをAIで分析すれば、製品開発、サービス開発に活かせる。これもまた、デジタルマーケティングの領域だ。よって、AIの活用、データアナリシスはデータマーケティングに関わる人の必須条件となる。

消費者との関係性を強化する

オムニチャネルは消費者と企業の接点をシームレスに統合する。これにより、ECチャネルでもリアル店舗でも、消費者は同様の購買体験を享受できるようになる。またデジタルマーケィングは、サプライチェーン、ロジスティクスの領域までもが包含されていく。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2962/4319文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2018.03.30
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

SALES GROWTH(セールス・グロース)
SALES GROWTH(セールス・グロース)
門脇弘典(訳)トーマス・バウムガルトナーオマユーン・アタミマリア・ヴァルディヴィエソ
世界最先端のマーケティング
世界最先端のマーケティング
岩井琢磨奥谷孝司
殺し屋のマーケティング
殺し屋のマーケティング
三浦崇典
社長の「まわり」の仕事術
社長の「まわり」の仕事術
上阪徹
MBA生産性をあげる100の基本
MBA生産性をあげる100の基本
嶋田毅グロービス
ブレイン・プログラミング
ブレイン・プログラミング
アラン・ピーズバーバラ・ピーズ市中芳江(訳)
ファンベース
ファンベース
佐藤尚之
買う理由は雰囲気が9割
買う理由は雰囲気が9割
福田晃一

同じカテゴリーの要約

頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
荒木俊哉
キーエンス 最強の働き方
キーエンス 最強の働き方
齋田真司
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
有山徹
無料
正しい答えを導く質問力
正しい答えを導く質問力
山口拓朗
伝わるコツ
伝わるコツ
山本渉
できるリーダーが意思決定の前に考えること
できるリーダーが意思決定の前に考えること
内田和成
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
吉田浩岩井俊憲 (監修)
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
伝え上手になりたい
伝え上手になりたい
小川奈緒