SALES GROWTH(セールス・グロース)

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おすすめポイント

2012年に初版が発売されて以降、世界中のセールス・エグゼクティブ(営業幹部)の間で大きな反響を呼んだ本がある。それが本書『SALES GROWTH』だ。マッキンゼー・アンド・カンパニーの先進的なアプローチとデータを駆使しつつ、営業を科学にもとづいて包括的に分析・記述した、はじめてのビジネス書として高い評価を得た。本書はその改訂第2版の訳書である。

デジタルツールの普及により、消費者・顧客の購買行動は大きく変化している。これは同時に、営業という職種の根本的な見直しが迫られていることを意味する。AIの進化やチャネルの多様化が相まって、営業職の未来は予断を許さないものがあると、多くの営業幹部が感じているという。

そうした課題意識を背景に、本書ではセールスの5つの成長戦略が語られる。日本のビジネス慣習を踏まえた特別解説が収録されているのも嬉しいところだ。

営業職についたばかりの新人も含めて、営業に関わる人であれば、まず通読してみることをおすすめする。いま営業に求められていることの全体像が、より明確になるはずだ。一度読みおえた後は、営業の百科全書としてご活用いただきたい。自社の営業活動の課題がどこにあるのか、本書をめくりつつチェックしてみるのもいいだろう。

マッキンゼーの世界的なネットワークが可能にした豊富な事例や、世界のトップ・エグゼクティブのインタビューなど、読みごたえたっぷりの一冊である。多くのヒントと勇気が得られるはずだ。

ライター画像
しいたに

著者

トーマス・バウムガルトナー (Thomas Baumgartner)
マッキンゼー・アンド・カンパニー ウィーン・オフィスのシニアパートナー。営業とチャネルに関するマッキンゼーの活動をグローバルに率いるリーダーのひとり。ハイテク、エレクトロニクス、運輸、基礎材料、通信、消費財といった各分野で、大規模な売上成長プログラムの助言を行っている。

オマユーン・アタミ (Homayoun Hatami)
マッキンゼー・アンド・カンパニー パリ・オフィスのシニアパートナー。ヨーロッパ、中東、アフリカ地域をみるマーケティング・アンド・セールスグループのリーダーの一人。これまでの幅広い経験を活かし、市場を上回る成長のために世界中のクライアントを導いている。

マリア・ヴァルディヴィエソ (Maria Valdivieso)
マッキンゼー・アンド・カンパニー マーケティング・アンド・セールスグループのディレクター・オブ・ナレッジ。マイアミに拠点を置き、B2B企業や消費財企業に売上成長の促進と業務の変革について助言し、営業とチャネルの専門性に関するマッキンゼーの研究を率いている。

本書の要点

  • 要点
    1
    企業が市場の平均を上回るスピードで成長するためには、新しい市場への投資、埋もれた市場の掘り起こし、ビッグデータへの対応が欠かせない。
  • 要点
    2
    多様化するチャネルと顧客のニーズへの対応、新興市場の開拓が、営業においてはきわめて重要である。
  • 要点
    3
    営業活動の生産性を上げるには、周辺業務のサポートをいかに洗練されたものにしていくかが鍵を握る。
  • 要点
    4
    今後の営業組織においては、現場のマネジャーの役割を再定義する必要がある。
  • 要点
    5
    AIの活用と営業のアウトソースが、今後の大きな課題となるだろう。

要約

(1)一番乗りで成長する

見据えるは10四半期

営業リーダーの第1の役割は、経済状況や消費行動といった外的要因を注視し、そこから自社に関係する2~3のトレンドを読み解くことである。見据えるべきは10四半期(2年半)先だ。

単にトレンドを先読みするだけではなく、予算や人員といったリソース(経営資源)の確保も欠かせない。すぐれたリーダーは、新たなチャンスへの先行投資に大きな額を割り当てている。先のことを考え、計画策定のための専任部隊を社内に用意することも怠らない。

埋もれている成長を掘り起こす
blocberry/iStock/Thinkstock

成長チャンスをつかむためには、ミクロ市場の分析を行ない、自社の強さと市場の魅力度をうまく組み合わせることが求められる。

あるヨーロッパの消費者向け通信企業は、15に分けていた営業地域を約500ものミクロ市場に切り分けた。その結果、魅力的な顧客が存在するものの、競争は激しくない地域が見つかった。重点的にその地域へ投資したところ、来店者数を5~10%押し上げるとともに、コストを5%削減することができたという。

ビッグデータから大きな成長を導き出す

もしもビッグデータが営業の役に立つのかよくわからないと思っているなら、危機感をもったほうがいい。やや先行していた感のあるビッグデータに対する期待が、いまようやく実を結びつつあるからである。

ある小口金融業務を行なうヨーロッパの銀行は、顧客のビッグデータと真摯に向き合った。すると有望な紹介客や見込み客が倍増し、わずか2年で預金残高が5割近くも増加。顧客満足度も上昇した。

また、ある健康・美容メーカーが子供をもつ家庭へおむつに対する最大の関心事をアンケートで調べたところ、「環境にやさしい」という回答が3分の2を超えていた。ところがソーシャルメディア上の会話をビッグデータで分析したところ、おむつに対してもっとも頻繁に挙がっているフレーズは、「天然素材」とともに「おむつかぶれ」であることが判明した。以後、おむつかぶれへの対策が取られたことはいうまでもない。

【必読ポイント!】 (2)顧客の望みどおりに売る

マルチチャネル営業をマスターする
abstractdesignlabs/iStock/Thinkstock

販売チャネルの多様化は、顧客にいままでにない良質な購買体験を提供する。しかしながらマルチチャネル化にともなうチャネル間の対立や重複を克服している企業は、ほとんどないのが実情だ。

マルチチャネル化のための切り口はいくつかある。筆頭に挙げられるのは電話やインターネットを活用したリモートセールスと、従来のフィールドセールス(訪問営業)の組み合わせである。「オンラインとオフラインの組み合わせ」といいかえてもいいだろう。ここで重要なのは、すべてのチャネルを通して同じブランド体験を提供し、顧客に快適なカスタマージャーニー(顧客化までのプロセス)を体験してもらうことである。

また再販業者や代理店などのパートナーを通じた間接営業と、直接営業の組み合わせも再考に値する。パートナーに顧客を渡すことに対して抵抗を感じるという企業は多い。しかし顧客へのリーチや遂行能力の最適化という観点から、検討してみる価値はある。

デジタル営業で成長を加速させる

アメリカではB2CかB2Bかを問わず、カスタマージャーニーのどこかでオンラインを経ている割合が3分の2におよぶ。

デジタルチャネル活用のポイントは3つだ。1つ目は自社のウェブサイトなどへのトラフィックを増やすこと。2つ目はオンラインでの取引を簡単、便利にすること。3つ目はオンラインでのつながりを活用し、顧客ロイヤリティの維持を図ることである。

とくにスマートフォンなどのモバイルを使った購買行動(mコマース)は、デスクトップのコンピュータで買い物をする消費者よりも、取引ごとの支出額が37%多いことがわかっている。デジタルはチャンスの宝庫なのだ。

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