勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全

未 読
勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全
ジャンル
著者
大前研一
出版社
定価
3,132円
出版日
2018年03月16日
評点(5点満点)
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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レビュー

本書は、大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学で10年以上続く、超人気講義をまとめた一冊だ。

多種多様な企業27社の抱える課題を大前氏が分析し、ソリューションを提案するという構成である。ケーススタディとして取り上げられるのは、イオングループやしまむら、ドンキホーテホールディングス、メルカリ、NTT、富士通、永谷園ホールディングスなど、誰もがその名を知る企業ばかりだ。

27社のなかから、イオングループの例を紹介しよう。イオンは、日本最大の小売業でありながら、小売事業の低収益性が課題となっている。その背景には、これまで消費の中心だった「夫婦と子ども」世帯が減少を続けていることがある。その課題を解決する策として提案されるのは、「単身世帯のニーズに応えること」と「小売以外のサービスを強化すること」だ。前者については、郊外型の大規模店から近接小型店舗業態への転換と、高齢者に向けた商品開発が提案される。後者については、カルチャーセンターなどの運営や、起業家の育成や若者をサポートする「インキュベーションセンター」としての、また、インバウンドの観光客をターゲットとした店舗開発が有効だという。

図表やグラフが効果的に用いられ、業界動向などの前提もコンパクトにわかりやすくまとめられているため、どんな読者にとってもとっつきやすく、参考になる一冊だ。

庄子 結

著者

大前 研一(おおまえ けんいち)
株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長/ビジネス・ブレークスルー大学学長
1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍するかたわら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長およびビジネス・ブレークスルー大学大学院学長(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。2013年10月にアオバインターナショナルスクールを株式会社ビジネス・ブレークスルーの子会社化し、1歳半から幼稚園、小学校、中学校、高等学校までの教育および経営に携わり、日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。

本書の要点

  • 要点
    1
    現代における勝ち組企業の必須条件は、製造設備や人材を社内に抱え込まないことに加え、「お客さんのことが分かっていて、お客さんの意見を聞いて、それを実現するためのソリューションが作り出せる」という「ソリューションファースト」の発想ができることだ。
  • 要点
    2
    イオングループの課題は、小売事業の低収益性だ。同社の成長戦略としては、単身世帯のニーズに応える施策を実行することや、小売以外のサービスを強化したり、新たに展開したりすることが挙げられる。

要約

大前式「21世紀のビジネスモデル」の描き方

21世紀における勝ち組企業の条件
Hollygraphic/iStock/Thinkstock

アナログの時代には製品・サービスに差があったものだが、今や、製品・サービスの優位性や差別化で勝負することは非常に難しくなっている。かといって、安さで勝負することもできない。なぜなら、実店舗を持たないネットショップなどで、同じものがもっと安く販売されているからだ。

日本のメーカーが陥っている根本的な問題は、自社で抱えている製造設備と人間を稼働させなければならないということだ。だから操業度重視になり、市場のニーズよりも企業側の意向を優先した発想になってしまっている。こうした発想は、大きく時代からずれてしまっているといえる。

現代における勝ち組企業の必須条件は、製造設備や人材を社内に抱え込まないことに加え、「お客さんのことが分かっていて、お客さんの意見を聞いて、それを実現するためのソリューションが作り出せる」ということだ。つまり、「ソリューションファースト」の発想である。

「ソリューションファースト」の企業は、顧客のことがよく分かっている企業、つまり「お客さんを握っている企業」だといえる。たとえば、NTT(日本電信電話株式会社)は、電話料金の徴収を通して、膨大な顧客の信用情報(支払い能力)を握っている。もしNTTが握っている顧客のデータ、信用情報をベースにプラットフォーム(顧客管理・決済)機能を強化すれば、NTTは巨大な決済専業銀行になれるはずだ。

日本企業をしばる足かせ

なぜ日本企業は「ソリューションファースト」と「客を握る」の2つが実現できていないのか。その理由は、「業界秩序」と国・行政の「規制」にある。

今、中国では、スマートフォンを使った「スマホ決済」が支払いの主流となっている。これは、中国のEC最大手企業・アリババと、中国最大のチャットサービス・Wechatのテンセントがスマホ決済サービスを提供したことによる。この2社が中国の決済システムを変えられたのは、中国には業界秩序がほとんど存在しなかったからだ。

一方、日本には、強固な業界秩序があり、それをいきなり崩すことはできない。決済システムの例で言うと、日本では、クレジットカード決済によって銀行が儲ける仕組みになっている。銀行は、クレジットカード決済の処理業務を請け負うことによって儲けているのである。

また、「NTTが銀行になる」ということが簡単に実現できないのは、通信事業と金融事業では行政の管轄が異なるからだ。こうした規制も、日本企業をしばる足かせとなっている。

ゼロからスタートしてみる
gpointstudio/iStock/Thinkstock

業界秩序と規制があるなかで勝ち組企業になるには、

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勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全
ジャンル
経営戦略
著者
大前研一
出版社
定価
3,132円
出版日
2018年03月16日
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