人事こそ最強の経営戦略

未 読
人事こそ最強の経営戦略
ジャンル
著者
南和気
出版社
かんき出版 出版社ページへ
定価
1,870円(税込)
出版日
2018年06月11日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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人事こそ最強の経営戦略
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南和気
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1,870円(税込)
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2018年06月11日
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レビュー

グローバル人事を推進する動きは、業界や規模を問わず、日本企業で確実に高まっている。しかし、その真っ只中にいる経営者や人事トップからは、悩みの声が後を絶たない。「グローバル・リーダーの育成が進まない」「日本と海外で評価制度をそろえたが、現実とそぐわず形骸化している」。こうした課題に直面する経営者や人事、管理職に向けた、グローバル人事の頼れる指南書が本書だ。

著者は約15年にわたり、SAPジャパンでグローバル人事を実現するための支援を200社以上行ってきたプロフェッショナルだ。著者によると、日本企業の原則を変える必要はないという。日本企業ならではの強みと、海外企業の強みを掛け合わせることで、真に強い組織をつくるグローバル人事の道が開けていく。こうしたメッセージには大いに勇気づけられる。

では具体的にどんな戦略を立て、実行に移せばいいのか。本書では、グローバル人事の本質、「人の価値」の正しい測り方、人材配置を成功させる戦略、後継者育成や評価制度の工夫、組織開発のステップなど、どのページも読み逃すのが惜しいほど、重要なポイントばかりが紹介されている。また、パナソニックの人材戦略部長やSAPジャパン代表取締役社長など、先駆者たちへのインタビューも、極めて実践的な内容だ。

一読すれば、早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄氏が本書を、「人事が意思決定をするための知識や考え方を網羅的に解説した良質な手引書」と大絶賛している理由がよくわかるだろう。世界で戦える人材と組織づくりの羅針盤として、本書を十二分に活用していただきたい。

ライター画像
松尾美里

著者

南 和気(みなみ かずき)
人事・人材戦略コンサルティングのスペシャリスト。SAPジャパン株式会社 人事・人財ソリューションアドバイザリー本部 本部長。
兵庫県神戸市出身。大阪大学法学部卒業後、アメリカ企業を経て2004年よりSAPジャパンに入社。人事ソリューション事業責任者、アプリケーション営業責任者などを歴任し現職。現在、SAP Asia Pacific Japanに所属。2015年、日本企業によるグローバル人事の事例とその手法を記した『世界最強人事 グローバル競争で勝つ日本発・人材マネジメント』(幻冬舎メディアコンサルティング)を出版。2017年度、立命館大学大学院にて「人的資源管理」講師を担当。
日本企業のグローバル経営において、「人事のグローバル化」「グローバルで活躍する人づくり」「イノベーションを現実にする組織づくり」といった課題を、「日本企業の強みを生かしたグローバル人事」によって解決する手法を15年にわたって提唱し、200社を超える人事コンサルティングの実績を持つ。経営戦略から人事戦略へ落とし込むノウハウを強みとし、「企業が勝つための人事」の提言に定評がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    グローバル人事を進めるにあたっては、自社がどんな方法で事業をグローバル展開させたいのかを把握し、その方向性や事業戦略に合った人事のやり方を選択しなければならない。
  • 要点
    2
    グローバル人事は、「人材の需給をグローバルで把握すること」「計画的に人材を育成すること」「組織開発・組織活性化」の三つの課題を乗り越えていく必要がある。
  • 要点
    3
    人の価値を正しく測るには、「スキル」「経験」「モチベーション」の掛け算で評価するのが望ましい。

要約

【必読ポイント!】 グローバル人事とは何か?

グローバル人事の目的
traviswolfe/iStock/Thinkstock

この数年、人事のグローバル化を進める日本企業は増え続けている。ビジネスのスピードが加速する中、グローバル競争に勝ち抜くには、グローバルに商品やサービスを普及させるスピード感がますます重要になるためだ。

グローバル人事の目的とは、事業のグローバル化に伴う「人材の変化」に、人事のやり方を対応させることである。人材の変化は具体的には、人材の多様化、人材需給のグローバル化、人材の流動化の三つを指す。今後は、現地の人材を採用する機会が増え、人事管理の対象が日本人以外にも及ぶ。彼らが長く活躍するためには、性別や国籍、言語、バックグラウンドなどが異なる人材を扱えるよう、柔軟性の高い施策や受け入れ態勢が欠かせない。

また、様々な国に拠点ができるにつれ、別の国で採用した社員を、国を越えて異動させるといったグローバルな人材配置が増える。となると、評価や処遇制度をグローバルに対応させなければならない。

さらには、人材の多様化に伴い、雇用に対する価値観も様々になる。海外の流動的な人材マーケットを考慮して採用する、退職リスクに備える、といったことも求められる。

いずれにせよ、海外企業の施策をやみくもに導入したり、他社の事例をそのまま真似たりするのはふさわしくない。まずは自社がどんな方法で事業をグローバル展開させたいのかを把握し、その方向性や事業戦略に合った人事のやり方を選択しなければならない。

グローバル人事の三段階モデル

海外で事業展開している企業には、組織形態やグローバル展開の方向性などにより、三つのグローバル人事の段階がある。一つ目は、本社人材を海外現地法人の主要ポストに派遣する、「セントラル人事」だ。日本企業が以前から行う人事のモデルで、Samsungもこのやり方をとっている。ただし、海外支社を統括できる優秀なリーダーを数多く育成しなければならない。そのため、相当体力のある大企業でなければ実現は難しいといえる。

二つ目は、現地人材による現地法人トップを育成する、「マルチナショナル人事」だ。コマツ、ネスレなどがこのモデルを採用しており、今、多くの日本企業がめざしているグローバル人事のモデルでもある。特徴は、経営のほとんどを現地に任せ、現地のマーケットに最適な製品やサービスを提供しようとする点だ。ただし、現場の力が強くなりすぎると、本社のガバナンスが効きにくくなる。課題として、ガバナンスモデルの構築と、現地リーダーのキャリアパスの設計が求められる。

そして三つ目は、国や地域を越えてグローバルな人事施策を行う、「インターナショナル人事」だ。スピーディーな世界展開に向けて、国や地域を問わず、最適な事業を最適なロケーションに配置することをめざす。GEやP&G、武田薬品工業など、一部のグローバル企業だけが実現しているモデルである。ただし、このモデルを実現するには、組織としてのまとまりや組織力を向上させる取り組みが欠かせない。

実際には、これらのモデルの中から複数のモデルを、事業展開のステージや特性に応じて、事業ごとに使い分けるケースが多い。

グローバル人事を進めるには、その組織がめざすゴールを定めなければならない。めざすゴールによって、やるべきことや整備すべき人事制度は異なるためだ。グローバル人事で大事なのは、事業戦略との整合性である。よって、自社の状況、事業自体をしっかりと分析することが欠かせない。

日本の人事が変えるべき三つのポイント
g-stockstudio/iStock/Thinkstock

日本企業がグローバル人事に挑戦する際、次の三つのポイントを変化させなければならない。まずは、「結果人事→計画人事」である。前者は、年次の横並びで、一定の年齢になったときに結果的にリーダーが育つのを待つという仕組みだ。これでは、事業戦略に合わせて、その実行に必要な若手リーダー人材を選抜、育成することが難しい。よって、めざすべき人材の配置計画に基づいて、年齢や経験年数にかかわらず、若い頃から多様な経験を意図的に積ませなければならない。

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