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耳は1分でよくなる!

薬も手術もいらない奇跡の聴力回復法


本書の要点

  • 「聞こえづらさ」はコミュニケーション不良を招き、放置すると日常生活や仕事などに支障が出るばかりか、うつや認知症を発症する恐れもある。

  • 耳の不調は体の不調のサインだ。血行不良、内臓疾患、自律神経の乱れが聞こえづらさを招く。これは生活習慣を変えることで改善できる。

  • 音を聞いているのは「耳」ではなく「脳」である。脳は聞きたい音だけを選別して聞いている。自分の好きな音をたくさん聞くことで、脳の聴覚を司る部位を活性化することができる。

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耳は気づかないうちに悪くなる

難聴は知らず知らずのうちに進行する

誰しも、自分の視力は大体わかるはずだ。一方、多くの人は、自分の聴力を知らない。健康診断の聴力検査でも、大まかな数値しか調べない。また、人間が話を聞くときは、聞こえてくる音だけでなく、相手の表情や口の動き、話の流れなど、他の情報と合わせて内容を判断している。そのため、多少聞こえが悪くても自覚していないことが多いのだ。こうして多くの人は、知らず知らずのうちに耳が悪くなっていく。たとえば、難聴の自覚がなくても、呼びかけられても気づかなかったり、早口だと聞き取れなかったり、騒がしい場所だと何度も聞き返してしまったりする人は、聴力が衰え始めている可能性がある。

「聞こえづらい」を放置するリスク

bernardbodo/iStock/Thinkstock

聞こえづらいことに気づいても、「たいしたことない」「そのうち自然と治るだろう」などとそのままにしてしまう人も多い。しかし、聞こえが悪いと、人の話を正確に理解できず、何度も聞き返して相手に迷惑をかけてしまったり、重要な情報を聞き落としてしまったりするかもしれない。こうしたことが続くと、仕事にも支障が出てくるだろう。話が通じないために口数が減り、自分の世界にこもるようになってしまう人もいる。何ごとにも無気力になり、うつのような症状が出ることも少なくない。脳への刺激が薄れることにも注意したい。子どもならば発達障害、高齢者ならば認知症になるリスクが高くなってしまうからだ。

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耳の不調と全身の不調の関係

難聴の三大原因

Lars Neumann/iStock/Thinkstock

中医学では、人間の体はパーツの寄せ集めではなく、全身がつながっているとされている。したがって、耳の働きが衰えているのは、耳以外の部分にも原因があると考えるのだ。耳の不調を訴える人に共通する症状は、3つある。1つ目は、血流の悪化だ。これが耳が悪くなる最大の原因である。人間の体は約37兆個の細胞からなると言われているが、この細胞の活動に必要な栄養素と酸素は、血液によって供給されている。つまり、血流が滞ると、細胞が栄養不足に陥るということだ。耳のように細かな働きをしていて、多くの栄養を必要とする細胞は、特にダメージを受けやすい。2つ目は、内臓疾患である。中医学では、体を動かすエネルギーである「気」、血液を指す「血」、汗やリンパ液などの「水」の3つの巡りをよくすることが健康につながると考えられている。この「気」と「血」が全身を巡る12本のルートを「経路」といい、お互いに影響しあう。耳は腎臓の経路上にある器官だが、腎臓だけでなく、ほかの内臓の疾患も耳に影響を与えるのだ。西洋医学においても、内臓疾患がある人は難聴になりやすいと考えられている。糖尿病の人は難聴のリスクが3.7倍、腎臓病の人は5.9倍という報告があるほどだ。3つ目は、自律神経の乱れだ。自律神経とは、心臓の動きや体温の調節など、生きるための体の機能をコントロールする神経だ。自律神経が乱れると、耳の働きが悪くなるだけでなく、前述の「血流の悪化」と「内臓疾患」を引き起こす原因となる。このように、耳の不調は耳だけの問題ではない。全身の不調と密接に関わりあっている。

耳をよくするには腸をよくしろ

著者はよく、「耳をよくするには腸をよくしろ」と言う。なぜなら、

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要約公開日 2018.09.30
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