医療4.0
第4次産業革命時代の医療 ~未来を描く医師30人による、2030年への展望~

未 読
医療4.0
ジャンル
著者
加藤浩晃
出版社
定価
2,484円
出版日
2018年06月25日
評点(5点満点)
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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レビュー

わたくしごとになるが、ちょうどこの本を手に取るのと前後して、ある大学病院で検査から初期の治療まで受けることがあった。そこで驚いたのは、処置にあたって「痛み」をほとんど経験しなかったことである。また医師や看護師をはじめ、院内のスタッフの態度も非常に洗練されている。彼らが患者の視点でいろいろ考え、実践していることが見て取れた。

予約時間を過ぎて、しばし待たされた。これについては噂に聞いていたとおりだったが、検査結果などを丁寧に説明する医師からは、一人ひとりの患者ときちんと向き合う姿勢が伝わってきた。これならば時間が後ろに押してもやむを得ないと納得する。

さて、本書である。内容は、著者が「医療4.0」と呼ぶ、新しいテクノロジーを応用した近未来の医療の姿を著したものだ。日本の医療の現状と課題、そして今後の方向性をざっくりと示し、それらを踏まえて30名にもおよぶ次世代を担う医師との対話が収められている。

それぞれの対話は6ページにも満たないものであるが、全体を通して医療当事者の若々しいエネルギーが横溢(おういつ)しており、わたしが一患者として現場で感じた関係者の意識やモラルの高さとも呼応して、明るい未来を予感させるものであった。

医療は誰でも関わるものである。本書を通じて、医療の最前線へ関心を抱く人が1人でも増えることを期待したい。

しいたに

著者

加藤 浩晃(かとう ひろあき)
遠隔医療、AI、IoTなどデジタルヘルスの政策提言にも携わる、元厚生労働省官僚・現役医師。1500件以上の手術を執刀、手術機器や眼科遠隔医療サービスを開発。「医療現場」「医療制度」「ビジネス」の3領域を横断的に理解し、企業の顧問・アドバイザーや厚生労働省医療ベンチャー支援事業サポーター、経済産業省J-Startup推薦人などを務める。日本医療ベンチャー協会理事、アイリス株式会社取締役CSO、MRT株式会社社外取締役、東北大学非常勤講師、眼科専門医。

本書の要点

  • 要点
    1
    2030年の医療現場は、IoTやAIなどの技術革新により、大きく変わることが予想される。その予見される医療を「医療4.0」と呼ぶ。
  • 要点
    2
    テクノロジー活用のトレンドは、「多角化」「個別化」「主体化」だ。こうしたアプローチは、日本の医療が抱えている課題を解決しうる、大きなポテンシャルを秘めている。
  • 要点
    3
    今後の臨床現場において求められるのは、生身の人間と向き合い治療する医師と、膨大なデータを読み解き適切な医療を提案するデータサイエンティストの二本柱になるだろう。

要約

日本の医療の現状

高齢化、医療費の増加、疾病構造の変化
AtomStudios/iStock/Thinkstock

団塊ジュニア世代が60歳間近になる2030年をひとつの基準とし、第4次産業革命に関連したテクノロジーが医療現場でも活用される時代の医療を、著者は「医療4.0」と呼ぶ。ここではまず、日本の医療における現状の課題について整理しよう。

(1) 急激な人口減少と高齢化

未来を占ううえで最初に押さえるべきは「人口動態」である。日本の人口は2008年をピークとして、すでに減少のフェーズに入っており、急速に高齢化が進んでいる。

ただしこれは東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県、千葉県、北海道、兵庫県、福岡県といった都市部およびその近郊での話だ。じつはそれ以外の地域だと、2030年になっても高齢者の数はいまと大きく変わらない。なぜならすでに高齢化がピークに達しているからである。つまりひと口に高齢化といっても、必要とされる医療の質と量は地域によって異なるのだ。

(2) 増加する社会保障給付費

高齢化の進行にともない、医療費に年金や福祉を合わせた社会保障給付費が年々増加している。社会保障給付費はすでに国民所得の約3割を占めるという。日本の国民所得は2000年以降大きく変化しておらず、今後も国民の負担はますます大きくなるだろう。

(3) 生活習慣病の増加などの疾病の変化

死亡原因全体の6割を占めるのが、悪性新生物(癌)、心疾患、脳血管疾患などの「生活習慣病」だ。これらだけで医療費の3割が費やされている。また介護を必要とせず、自立した生活を過ごせる「健康寿命」と「平均寿命」の差が拡大しており、高度な医療や介護を利用する期間が長くなっている。あわせて「認知症」を有する人が増えることも予想される。

世界に誇るべき日本の医療

著者と対談した医師のひとりである原聖吾(株式会社情報医療代表取締役)は2018年時点の日本の医療について、平等性、セーフティネット、フリーアクセス、高いアウトカム、比較的低コストといった点で、世界に誇るべきものとして評価している。

平等性は、社会保険を中心とした医療制度によって実現している。セーフティネットとしては、自己負担が高額になった場合に一部が払い戻される制度がその好例である。また日本では、受診する医療機関を選べるフリーアクセスが担保されている。アウトカムをみても、平均寿命の長さや幼児死亡率の低さは、世界でトップクラスの水準だ。こうした医療が比較的低いコストで提供できている。これらが日本の医療の特長といえる。

【必読ポイント!】 テクノロジーが切り拓く「医療4.0」

現場のニーズとテクノロジーの融合
wutwhanfoto/iStock/Thinkstock

著者の提唱する「医療4.0」とは、医療の現場のニーズや課題と最新のテクノロジーを融合させて、新しい医療の世界を拓こうという一連の動きを指す。その具体例を示すべく、本書では30人の医師へのインタビューを敢行している。インタビュー対象は、既存の医療機関で医療に従事しつつ、外部との連携で新しい試みにチャレンジしている臨床医師から、研究機関で研究に従事する医師、さらには医師業のかたわら起業した経営者までさまざまだ。

彼らに共通した傾向はいくつかあるが、ひとつには強い現場思考がある。その代表的なものとして、お茶の水循環器内科院長である五十嵐健祐の声を紹介したい。

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医療4.0
未 読
医療4.0
ジャンル
起業・イノベーション 産業・業界 テクノロジー・IT
著者
加藤浩晃
出版社
日経BP社 出版社ページへ
定価
2,484円
出版日
2018年06月25日
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