マルチプル・ワーカー
「複業」の時代

未 読
マルチプル・ワーカー
ジャンル
著者
山田英夫
出版社
定価
1,620円
出版日
2018年07月01日
評点(5点満点)
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
この要約を友達にオススメする
レビュー

「副業」と聞いて、どんなイメージを抱くだろうか。会社員が本業の合間に行うアルバイトをイメージする方もいるかもしれない。本書では、そうした副収入的な位置づけの「副業(Side jobs)」よりも、自己実現の手段としての「複業(Multiple jobs)」に力点が置かれている。そして、複(副)業を取り巻く現状と今後の課題、個人・企業への提言が非常にわかりやすく述べられている。

終身雇用の崩壊により、もはや「大企業に入れば一生安心」という時代は過去のものとなった。個々人にキャリア設計が求められる今、いわゆる「普通のサラリーマン」も、複(副)業について真剣に考えるべきだろう。

また「働き方改革」の一環として、残業時間削減が推進されるのと同時に、企業の副業解禁が注目されている。副業解禁が会社側にもプラスになっている事例も増える一方だ。本書では、ロート製薬、ソフトバンク、サイボウズなどの事例が紹介されており、導入の経緯や効果など実に学びが多い。

少子高齢化による人材獲得競争、人生100年時代の老後の生活――。複(副)業はこうした問題を解決し、企業と個人がwin-winの関係を築くためのカギとなるだろう。とりわけ著者の提言は、経営者や管理職、副業に関心のある方にとって読み逃しできない内容といえる。何より、副業などこれまで考えたこともない方にこそ読んでもらいたい一冊だ。どうか働き方のパラダイム・シフトに乗り遅れないでほしい。

池田 明季哉

著者

山田 英夫(やまだ ひでお)
早稲田大学ビジネススクール(大学院経営管理研究科)教授。
1955年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)後、(株)三菱総合研究所入社。大企業のコンサルティングに従事。1989年に早稲田大学に転じ、現在に至る。専門は競争戦略、ビジネスモデル。学術博士(早大)。
アステラス製薬、NEC、ふくおかフィナンシャルグループ、サントリーホールディングスの社外監査役を歴任。主な著書に『競争しない競争戦略』『異業種に学ぶビジネスモデル』(ともに日本経済新聞出版)、『成功企業に潜む ビジネスモデルのルール』(ダイヤモンド社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    1つの企業に一生頼れなくなった今、副業によって収入を確保し、多様なキャリアの選択肢を持つことが重要になっている。
  • 要点
    2
    厚生労働省の「モデル就業規則」でも、副業を原則容認する方針へと転換した。インターネットの普及により空間・時間的な制約がなくなり、制度的にも環境的にも副業がしやすくなりつつある。
  • 要点
    3
    社会のグローバル化が進む中、究極的には個人の多様性が求められるようになる。複(副)業は個人の多様性に寄与する。
  • 要点
    4
    副業を解禁する際は、組織を構成する他の要素との整合性がとれていることが重要となる。

要約

なぜ今「複(副)業」なのか

終身雇用の崩壊と家計のリスク

本書では複(副)業を、「雇用関係を結んでいる組織以外の仕事を、継続性を持って行うこと」と定義する。フリーランスのような、どの組織とも雇用関係を持たない働き方は副業には含めない。また、「副業」は本業に対する補助的な収入を得ることを意味し、「複業」は本業との主従関係なく複数の仕事をすることを意味する。

日本企業の終身雇用は、実質的には崩壊の一途をたどっている。業務効率向上のため、余分なポストを削減し、人員を減らす企業も少なくない。社員側から見ても、もはや新卒で入社した会社に一生しがみつける状況ではなくなってきている。

しかも賃金の面でも、50歳頃で頭打ちになる企業が増えてきた。役職定年制により、50歳頃からむしろ年収が下がる企業も珍しくない。成果主義の企業では、そもそも年収と年齢はリンクしなくなっている。もはや年功序列的な昇給は見込めない。また、自社の業績が悪くなくても、企業の合併により突如、人員削減の対象となってしまう可能性もある。こうした状況の中で、副業の収入は家計のリスク・マネジメントの観点からも、重要性を増している。

人手不足と空間・時間的制約からの解放
UberImages/iStock/Thinkstock

今、日本全体で労働力不足が起きている。特に人手を要するサービス業で顕著だ。今後は確実に15歳以上の人口が減っていく。それを補うのが、就業を希望しているが求職活動をしていない「非労働力人口」と呼ばれる人々である。最近は週に数時間でもいいから働き手がほしいという企業も多く、こうしたニーズは複(副)業ともマッチしやすい。

また、インターネットの普及により、副業が行いやすくなった。ネットを使えば、仕事の受注も物理的な移動なしで行える。会社に在籍したまま仕事を始めることも容易になった。仕事の進め方についても、こま切れの時間をビジネスに使えるようになったことで、より柔軟になったといえる。このように、副業を行う空間的・時間的制約はどんどんなくなってきている。

モデル就業規則の転換

企業が就業規則を定める際に参考にする、厚生労働省の「モデル就業規則」がある。このモデル就業規則の副業・兼業禁止規定が2018年1月に廃止され、「原則禁止」から「原則容認」へと変更された。「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という文言が、「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」に改定されたのだ。

また雇用保険についても変化が生まれようとしている。現在は1つの会社で週20時間以上働く人が対象となっている。しかし、今後は複数の会社に勤務して合計20時間以上働く人も対象となり、失業手当をもらえるようにする方針だ。

もちろん、モデル就業規則に企業への強制力はない。だが、これをそのまま自社の就業規則に反映している企業も多く、この改定が企業に与える影響は大きい。このように、国の制度面での方針も、複(副)業を推進する方向へ動いているといえる。

「複業」のメリット

経営スキルが身に付く
BrianAJackson/iStock/Thinkstock

複業には、会社以外から収入が得られるという大きなメリットがある。しかし、メリットは収入面だけにとどまらない。

大企業に入社すると、全社的な意思決定が下せる立場になるまで、30年ほどはかかってしまう。その点、複業ではすべての意思決定を自分で行わなければならない。会社員のままではなかなか身につけられない経営スキルが身につけられる。

要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
「本の要約サイト flier(フライヤー)」は、多忙なビジネスパーソンが本の内容を効率的につかむことで、ビジネスに役立つ知識・教養を身につけ、スキルアップに繋げることができます。具体的には、新規事業のアイデア、営業訪問時のトークネタ、ビジネストレンドや業界情報の把握、リーダーシップ・コーチングなどです。
この要約を友達にオススメする
マルチプル・ワーカー
未 読
マルチプル・ワーカー
ジャンル
スキルアップ・キャリア 生産性・時間管理 経営戦略 産業・業界
著者
山田英夫
出版社
三笠書房 出版社ページへ
定価
1,620円
出版日
2018年07月01日
本の購入はこちら

related summaries
一緒に読まれている要約

「超」独学法
「超」独学法
野口悠紀雄
未 読
リンク
APIエコノミー
APIエコノミー
佐々木隆仁
未 読
リンク
WORK DESIGN(ワークデザイン)
WORK DESIGN(ワークデザイン)
イリス・ボネット 池村千秋(訳) 大竹文雄(解説)
未 読
リンク
マインドセット
マインドセット
キャロル・S・ドゥエック 今西康子(訳)
未 読
リンク
逃げる力
逃げる力
百田尚樹
未 読
リンク
コンテンツのつくり方
コンテンツのつくり方
髙瀬敦也
未 読
リンク
あなたの人生の意味 上
あなたの人生の意味 上
デイヴィッド・ブルックス 夏目大(訳)
未 読
リンク
創造と変革の技法
創造と変革の技法
堀義人
未 読
リンク
1
神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り
神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り
星渉
未 読
リンク
2
amazon 世界最先端の戦略がわかる
amazon 世界最先端の戦略がわかる
成毛眞
未 読
リンク
3
スモール・スタート あえて小さく始めよう
スモール・スタート あえて小さく始めよう
水代優
未 読
リンク
新社会人、なにを読むか迷ったらとりあえずこれ!
新社会人、なにを読むか迷ったらとりあえずこれ!
2018.04.11 update
リンク
出版業界に風穴を開ける「仕掛け人」
出版業界に風穴を開ける「仕掛け人」
2016.01.14 update
リンク