コンテンツのつくり方の表紙

コンテンツのつくり方

人がうごく


本書の要点

  • コンテンツ化というのは、受け手に対し、イメージを「狭めて」あげることで、「自分のためにあるのだ」と気づきやすくさせることである。

  • コンテンツづくりで最初に決めるべきなのは「目的」である。この目的は、究極的には「世のため人のため」という「大義」に辿りつく。

  • コンテンツを広げたいのなら、まずは「誰かに刺さるもの」をつくる必要がある。その「誰か」がコンテンツの拡散に不可欠な熱狂状態を生み出してくれるからだ。

1 / 4

コンテンツとは何か

世の中のもの、すべてが「コンテンツ」

Hyrma/gettyimages

コンテンツの定義はあいまいだ。一般的にはアニメや漫画、映画、音楽、ゆるキャラなど、モノや映像がブランド化され、それがビジネスにつながっているものが、コンテンツと認識されている。しかし著者によると、「この世にあるものすべてがコンテンツである」という。世の中に存在するものはどれも、誰かの発明であったり、誰かの想いが詰まっていたりする。生活者に理解しやすい形で伝えることで、「コンテンツ化」できる可能性を秘めているというのだ。コンテンツ化のポイントは、「どこから見るか、誰から見るか」である。たとえば、「南アルプスの天然水」というミネラルウォーター。長野県や山梨県の住民は、その価値に気づかないかもしれない。しかし、首都圏に住む人からすると、「南アルプスの大自然の中で育まれた水」というイメージがふくらみ、その価値が認識される。すると、今度は「南アルプスの天然水でつくられた水ようかん」や「南アルプスの天然水 源流を辿るトレッキングツアー」といった、多様な商品化の可能性を秘めた「コンテンツ」へと昇華していく。

「狭める」とコンテンツ化する

コンテンツ化に有効なのは「狭める」ことだ。これは生活者に対し、イメージを明確にすることと同義である。たとえば、「お金のことがわかる番組」より、「75歳以上の年金生活を考える番組」のほうが、よりコンテンツになりやすい。なぜなら、生活者にとってそれが「自分に関わることなのかどうか」を直感的に判断できるからだ。こうした理由から、イメージが明確なタイトルや商品名は至るところにある。コンテンツ化というのは、受け手に対し、イメージを「狭めて」あげることで、「あなたのためにあるのだ」と気づきやすくすること。同時に、「価値を感じたい」と思っている人に、「価値を感じてもらえるよう仕立てる」ことでもある。これはある種の「マッチング」といえよう。

「想い」がないと当たらない

当たり前のことながら、コンテンツはあくまで人がつくるもの。コンテンツには、コンテンツづくりに関わる人の生い立ちや生き様が、おのずと反映される。そうしてできたモノには「想い」が付加されている。「想い」のないコンテンツが人気を博すことはない。コンテンツづくりの成功をめざすには、たくさんの人の多様な意見のうち、不必要なものを排除しないといけない。これにはかなりの労力やリスクを伴う。そこで、実行し続けるための原動力になるのが、この「想い」なのである。

2 / 4

コンテンツをつくる

すべては「目的」が決める

den-belitsky/gettyimages

コンテンツづくりで最初に決めるべきことは「目的」である。コンテンツは完成後も、世相や環境、ニーズの移り変わりに応じて、変化を求められることもある。そんなとき、そのコンテンツをつくる目的がないと、何をどこまで変えていいのか判断できなくなってしまう。真の目的を見つけるには、「なぜ?」をくり返すとよい。そのコンテンツがなぜ必要なのかを掘り下げていこう。目的の大きさは、コンテンツがターゲットとする人数に比例する。対象が多ければ多いほど、大きな目的が問われる。すると究極的には、愛や平和といった、「世のため人のため」という「大義」に辿りつく。コンテンツのディテールを決めるのは、この大義である。著者が企画した「世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?」という番組を例にとろう。この番組では、二人のディレクターがレポーターとなって、一か国を二週間ずつ取材し、意外な文化や知られざる生活を紹介していく。この企画の目的は「異文化を知ることの大切さを伝えること」である。たくさんの人の心に響くように、それを楽しく視覚的なエンターテインメントに変換して伝えていくことが著者の狙いだった。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2691/4246文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2018.10.18
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

創造と変革の技法
創造と変革の技法
堀義人
独裁者たちの人を動かす技術
独裁者たちの人を動かす技術
真山知幸
御社の「売り」を見つけなさい!
御社の「売り」を見つけなさい!
小出宗昭
APIエコノミー
APIエコノミー
佐々木隆仁
すごいイノベーター70人のアイデア
すごいイノベーター70人のアイデア
ポール・スローン中川 泉(訳)
マルチプル・ワーカー
マルチプル・ワーカー
山田英夫
OST(オープン・スペース・テクノロジー)実践ガイド
OST(オープン・スペース・テクノロジー)実践ガイド
香取一昭大川恒
逃げる力
逃げる力
百田尚樹

同じカテゴリーの要約

AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
加藤俊徳
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
阿部恵
AIエージェント革命
AIエージェント革命
シグマクシス
やりきる意思決定
やりきる意思決定
中出昌哉
生成AI最速仕事術
生成AI最速仕事術
たてばやし淳