10年後、君に仕事はあるのか?
未来を生きるための「雇われる力」

未 読
10年後、君に仕事はあるのか?
ジャンル
著者
藤原和博
出版社
ダイヤモンド社 出版社ページへ
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2017年02月09日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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未来を生きるための「雇われる力」
著者
藤原和博
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1,400円 (税抜)
出版日
2017年02月09日
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4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
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レビュー

私たちにライフデザインのアップデートを提起したロングセラー『ライフ・シフト』。そこに描かれるのは、一生が100年になるという未来である。また、AI×ロボット化で仕事が消滅していくといわれて久しい。親世代の読者のなかには、「子どもたちは果たしてどんな時代を生きていくのだろう?」と、自分自身のこと以上に疑問や不安を抱く方もいるのではないだろうか。

先の読めない不確実な時代において、子どもには自分らしく幸せな人生を歩んでほしい。そのためには、今のうちからどんな力を養えばいいのか。もちろん唯一の正解はない。しかし、『ライフ・シフト』で描かれる未来と、目の前の一歩をつなげてくれる、より地に足のついた本を要約者は待ち望んでいた。本書はまちがいなく、そんな架け橋となってくれる一冊である。

著者は都内で義務教育初の民間人校長を務め、「よのなか科」という、アクティブ・ラーニングの先駆け的な授業を広めてきた藤原和博さん。本書は高校生に語りかけるスタイルでありながら、大人にも自分の人生や子育て・教育観を問い直すよう促してくれる稀有な一冊だ。藤原さんご自身が多様なキャリアを掛け合わせ、教育というテーマに真摯に向き合い続けてきたからこその説得力が、そこにはある。

今後、学力は不要になるのか? 「雇われる力(エンプロイアビリティ)」を鍛えるには? 高校生や大学生、その親世代だけでなく、今のキャリアにモヤモヤを抱える20代にとっても、本書はライフデザインの頼れるガイドブックとなってくれるはずだ。強力な武器を手に、独自のフロンティアを切り拓いていただきたい。

松尾美里

著者

藤原 和博(ふじはら かずひろ)
教育改革実践家。元リクルート社フェロー。1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリーの創業も手がける。1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務める。2008年〜2011年、橋下大阪府知事の特別顧問。2014年から佐賀県武雄市特別顧問。2016年から18年春まで、一条高等学校校長。『人生の教科書〔よのなかのルール〕』『人生の教科書〔人間関係〕』(いずれも、筑摩書房) など人生の教科書シリーズ、『35歳の教科書』(幻冬舎)、『坂の上の坂』(ポプラ社)、『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(東洋経済新報社)など著書多数。また、『日経ビジネス』で8年間にわたって書評を執筆。講演会は1300回、動員数25万人を超える人気講師としても活躍中。

本書の要点

  • 要点
    1
    これからの時代に必要な「生きるチカラ」は、基礎的人間力を土台にして、情報処理力と情報編集力を積み上げたものとなる。今後は情報編集力の重要性が増していく。
  • 要点
    2
    情報編集力の高い人には、「遊び」と「戦略性」が高いという共通項がある。
  • 要点
    3
    一生が90年の時代においては、30代までは、恥や嫉妬にあまり惑わされず、よい意味で無謀に生き、できるだけ希少性を磨くことが大切になる。

要約

これからの10年で世界は激変する

高校生と親世代の決定的な3つの違い
west/gettyimages

いまの高校生は、どんな未来を生きるのか。まずは、親世代の人生と比べて決定的に違う点として、次の3つを心に留めておきたい。

1つは、2020年の半ばには、多くの親が体験した「標準的な人生モデル」は期待できないという点だ。終身雇用も新卒一括採用も、珍しいものになっている可能性が高い。

2つ目は、世界の50億人がスマホでつながり、さらには、このネットワークに人工知能(AI)がつながるという点である。日常生活のあちこちで、ネットとつながったロボットが色々な働きをしてくれるようになるだろう。このような未来の社会は、ネット内に建設されていく。「AIとロボットの発展により、仕事が消滅していく」という言葉をよく耳にする。しかし、より本質的には、世界の半分がネット内に建設され、人間がその世界で人生の半分を過ごすようになるから、という点を忘れてはいけない。

3つ目は、人生の長さ(ライフスパン)が決定的に異なるという点だ。人生を90年と仮定してライフデザインをすることが求められる。

人間が人間らしくなる時代

この10年で、かなり複雑な判断が必要な仕事まで、「AI×ロボット技術」に取って代わられるだろう。人間に求められるのは、今まで以上に「人間ならではの仕事」をすることである。すると、人間として本当に必要な知恵と力が活きてくる。

本要約では、そのカギとなる情報編集力にフォーカスしながら、「雇われる力(エンプロイアビリティ)」の鍛え方、「一生が90年の時代のライフデザイン」のポイントを取り上げる。

仕事が消滅する時代に身につけておきたいこと

「情報処理力」と「情報編集力」

今後、学校での地道な勉強によって身につく学力は、必要なくなるのだろうか。著者はそうした学力不要論に疑問を呈している。アスリートや芸術家など、すでに特定のキャリアを意識しているケースを除けば、後に選択肢の幅が広がるように、基礎学力を高めることは必須だからだ。

これからの時代に必要な「生きるチカラ」を、著者は次のように表している。まず、土台となるのが「基礎的人間力」である。体力や精神力、集中力、直感力など、家庭教育や学校での人間関係、部活、旅などを通じて育まれていく。

この上には左側に情報処理力、右側に情報編集力が積み重なる。情報処理力とは、早く正確に正解を導く力で、狭義の基礎学力を指す。主に数学や国語、理科などの教科学習で鍛えられる。いくら知識がネット上に蓄えられても、情報処理力がなければ上手にググれない。

これに対し情報編集力とは、正解がない、または正解が1つではない問題を解決する力のことだ。まるで本の編集業務のように、コンセプトが実現できて、編集者と著者の両者が納得できる解、「納得解」を紡ぎ出す力だといえる。

グローバル時代を生き抜く5つのリテラシー
fizkes/gettyimages

今後グローバルに通用する人材をめざすには、どんな条件が必要なのか。著者は次の5つのリテラシーを身につけることが大事だという。

(1)コミュニケーション:異なる考えをもつ他者と交流しながら自分を成長させること

(2)ロジカルシンキング:常識や前例を疑いながら柔らかく「複眼思考」すること

(3)シミュレーション:アタマのなかでモデルを描き、試行錯誤しながら類推すること

(4)ロールプレイ:他者の立場になり、その考えや思いを想像すること

(5)プレゼンテーション:相手とアイディアを共有するために表現すること

この5つの要素は、情報編集力の必要条件でもある。もちろん、情報処理力を鍛えることは相変わらず大事である。ただし、今後は情報編集力が必要とされる割合が高まっていき、現状の情報処理力偏重から、情報処理力:情報編集力が7:3くらいにまでシフトしていくだろう。

情報編集力が高い人には、「遊び」と「戦略性」がある

情報編集力の5つの要素は、遊びを通じて学べるものである。遊びの最中には、想定外の出来事が絶えず起こる。そのため、正解のない問題に対処する力が自然と鍛えられていく。受験もゲームのようにとらえることで、情報編集力を身につけるまたとない機会に変わる。

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