読書という荒野

未 読
読書という荒野
ジャンル
著者
見城徹
出版社
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2018年06月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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読書という荒野
読書という荒野
著者
見城徹
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出版社
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2018年06月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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レビュー

『読書という荒野』――このタイトルを見て、何を感じるだろう。本書には、「血で血を洗う読書という荒野を、僕は泣きながら突き進むしかない」というフレーズがある。いくら本が好きでも、ここまで本気で読書に向き合っている人はそういないのではないだろうか。

そんな刺激的なタイトルを冠する本書の著者は、幻冬舎の代表取締役社長、見城徹氏である。本書では、見城氏の生まれ育った環境から学生時代、新卒で就職した廣済堂出版での経験、幻冬舎の設立に至るまで、見城氏の歩みが彼の強烈な読書体験とともに語られる。まるでエッセイのように読み進められる箇所もあるのだが、その通底には見城氏ならではの読書論、そして仕事論がある。

著者が何度も繰り返すのは、「他者への想像力」というフレーズだ。五木寛之さんと仕事をすることを夢見た見城氏が、五木さんのすべての作品を読み、その感想を手紙にしたためていたエピソードは有名だろう。同様に、石原慎太郎さんと初めて会ったときには、『太陽の季節』を暗唱してみせたという。また初めてのベストセラー『公文式算数の秘密』をつくるときには、公文式に対し、出版によって得られるメリットを強調したそうだ。これらの行動はすべて、「他者への想像力」という言葉で説明できるのではないだろうか。

特段読書が好きな人でなくても、ぜひ本書を手に取ってみてほしい。きっと「仕事人」としての自分のあり方を見直さずにはいられないはずだ。

庄子結

著者

見城 徹(けんじょう とおる)
幻冬舎代表取締役社長。1950年12月29日静岡県清水市(現:静岡県清水区)生まれ。静岡県立清水南高等学校を卒業し、慶應義塾大学法学部に進学。大学卒業後、廣済堂出版に入社。初めて自身で企画した『公文式算数の秘密』が38万部のベストセラーに。75年、角川書店に入社。「野性時代」副編集長を経て、「月刊カドカワ」編集長に就任、部数を30倍に伸ばす。400万部を超えた森村誠一の『人間の証明』や5本の直木賞作品をはじめ数々のヒット作を生み出し、41歳にして取締役編集部長に。93年、角川書店を退社し、幻冬舎を設立。五木寛之『大河の一滴』、石原慎太郎『弟』、唐沢寿明『ふたり』、郷ひろみ『ダディ』、天童荒太『永遠の仔』、村上龍『13歳のハローワーク』、劇団ひとり『陰日向に咲く』、長谷部誠『心を整える。』、渡辺和子『置かれた場所で咲きなさい』など24年間で23冊ものミリオンセラーを世に送り出す。著書に『編集者という病い』(集英社文庫)、『異端者の快楽』(太田出版)、『たった一人の熱狂』(幻冬舎文庫)、『憂鬱でなければ、仕事じゃない』『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ』(藤田晋との共著、ともに講談社+α文庫)、『危険な二人』(松浦勝人との共著、幻冬舎文庫)、『過剰な二人』(林真理子との共著、講談社文庫)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    著者は劣等感にまみれた少年時代を送った。小学校高学年のときには、同級生のみならず担任教師からもいじめを受けた。その悔しさはいまだに消えていない。
  • 要点
    2
    中学校2年生の夏、死ぬ覚悟でいじめに反撃した。この出来事で学んだことは、何かを変えるためには死ぬ覚悟を決めなくてはいけないことだった。
  • 要点
    3
    大学に入学すると、読書と学生運動にのめり込んだ。このとき出会った吉本隆明の著作に多大な影響を受け、今も週に1回は読み返している。
  • 要点
    4
    読書と旅と恋愛をやりきれば、大きく成長し、人生を豊かに生きることができる。

要約

小学生・中学生時代

劣等感に苛まれた少年時代
KatarzynaBialasiewicz/gettyimages

著者は劣等感にまみれた少年時代を送った。劣等感の対象になったのは自分の顔だ。自分の顔が世界で一番醜いと思っていた。さらに自身の身体の小ささにも劣等感を抱いた。

嫌な思い出があるのは小学校高学年のときだ。佐々木先生という担任教師が著者を激しく嫌っていたのだ。彼女は自分の子どもを教室に連れてくることがあり、子ども好きだった著者はその子の相手をしてやっていた。すると先生は、「触らないで。あんたには触ってほしくないのよ」と言ってきたという。

同級生からもいじめられていた。当時から膨大な量の本を読んでいたし、自意識過剰なところがあった著者が目障りだったのだろう。

親には、いじめを受けていると伝えなかった。こども社会で疎外されていることが屈辱的だったし、母が学校に相談に来たら嫌だからだ。身体が小さくケンカも弱かったので、殴られたり屈辱的なあだ名で呼ばれたりしたが、すべて耐えるしかなかった。

このころ、通知表の性格に関する評価では、ほとんど最低評価をつけられていた。いじめっ子たちが先生に悪口を吹き込んでいたのだ。先生から「最低なやつ」というレッテルを貼られた悔しさは、いまだに消えていない。

ここではない「ほかの場所」を求めて

同級生からのいじめは、中学校に進学してからも続いた。状況が変わったのは中学2年生の夏だ。いつもの連中から山の中腹にある神社に呼び出された。もう殴られっぱなしになるのはやめよう。その結果自分が死んだっていいし、相手を殺してもいい――そう考えた著者が道に落ちていた鉄製のパイプを見せ、「俺は本気だ。死んでもいい」と言うと、彼らはひるみ、逃げていった。それをきっかけにいじめはやんだ。この出来事から著者は、何かを変えるためには死ぬ覚悟を決めなくてはいけないことを学んだ。

著者が猛烈に本を読むようになったのは、現実世界で疎外感や孤独を抱えていたからだ。読書をしていれば自分だけの世界のなかにいられるし、誰かにいじめられることもない。だからこそ、著者の好む本には2つの傾向があった。

1つは動物と話したり、交流したりする話だ。ドリトル先生シリーズや『野生のエルザ』を愛読した。

もう1つは海外留学ものだ。植山周一郎の『サンドイッチ・ハイスクール』や大山高明の『アメリカ青春旅行』、加藤恭子の『ヨーロッパの青春』である。

この2つのジャンルから見えてくるものは何か。著者にはアナザープレイスへの願望があったのだ。現実世界で疎外感に苦しんでいるからこそ、ここではない他の場所の物語を求めていたのだろう。

読書で身につけた自己検証能力
CasPhotography/gettyimages

中学校を卒業すると、県立清水南高校に進んだ。弁が立ち、成績もよかった著者は、学校全体のヒーロー的な存在になっていた。

校則を破るようなことばかりしていたのもこの時期だ。禁止されていたソフトボールの試合をやったり、政治的な活動をしたりもした。ベトナム戦争の反戦デモにも参加した。

読書体験に後押しされ、政治活動にのめり込むようにもなった。

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