ユニクロ潜入一年

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ユニクロ潜入一年
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2017年10月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

衝撃の内容である。安価で高品質な「ユニクロ」の服は、誰のクローゼットにも1枚はあるのではないだろうか。そのユニクロの製品が、こんなにも過酷な労働のうえに成り立っているものだとは……。

本書で指摘されるユニクロの問題点は、サービス残業、長時間労働、パワーハラスメントといった言葉に集約される。とくに「感謝祭」というセール期間に入ると、店舗は圧倒的な人手不足に陥り、過酷なシフトが勝手に組まれることも日常茶飯事だという。

こういったことを噂話として語るのは簡単だ。しかし本書が特異なのは、著者が実際にアルバイトとしてユニクロで働き、取材をおこなったという点にある。以前にもユニクロを告発する書籍を執筆している著者だが、今回は自分の名前を変えてまでユニクロに潜入している。その甲斐もあってか、本書では実際に働いた者にしかわからない現場のリアルが生々しく描かれている。またユニクロ製品を生産している海外の下請け工場の取材もおこなわれており、日本よりもさらに劣悪な労働環境が浮き彫りになってくる。

日本で「働き方改革」が叫ばれるようになって久しいが、届かない現場の声、経営者の独裁、慢性的な人手不足などは、多くの日本企業に共通した問題でもある。「働き方」や「企業のあり方」について、あらためて真剣に考えさせられる一冊だ。

ライター画像
池田明季哉

著者

横田 増生(よこた ますお)
1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、99年フリーランスに。著書に『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』(朝日文庫)、『評伝 ナンシー関「心に一人のナンシーを」』(朝日文庫)、『中学受験』(岩波新書)、『ユニクロ帝国の光と影』(文春文庫)、『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ユニクロではマニュアル通りに仕事をすることが最優先され、現場からの意見は一切反映されない。徹底した人員管理で、現場の士気は下がる一方だ。
  • 要点
    2
    海外工場は人件費の安い国へ移転していっているが、その劣悪な労働環境は黙認されつづけている。
  • 要点
    3
    仕事量に対して時給が安いため、集まるのは外国人ばかりになり、ミスコミュニケーションによるトラブルが続発している。その結果作業効率が下がり、さらに人手が足りなくなるという悪循環が起きている。
  • 要点
    4
    本人の意思を無視して、長時間働かされる「ブラックバイト」。シフトは勝手に組まれ、辞めたくても辞めさせてもらえない環境がユニクロにはある。

要約

潜入までの経緯

潜入を決意した理由
Krittiraj Adchasai/gettyimages

2011年3月、著者は『ユニクロ帝国の光と影』を出版した。この内容についてユニクロは、連載を掲載した週刊文春を提訴した。ユニクロの国内店舗と中国の委託工場での労働環境の描写が、ユニクロの名誉を毀損しているという主張だった。裁判では、元店長と元店長代行者(副店長)、中国工場の元社員などから勤務実態についての陳述書を得て、記事は事実にもとづくものであることが主張された。

結果はユニクロの敗訴。しかしこれ以降、新聞や雑誌で独自取材によるユニクロ記事がほとんど見られなくなった。「ユニクロは裁判も辞さない」という姿勢を見せることで、調査報道を萎縮させることに成功したようである。

ユニクロの柳井社長は「ユニクロはブラック企業である」との批判に対し、「限りなくホワイトに近いグレー企業」と語っている。いわくユニクロの「悪口」を言っているのは、社長と実際に会ったことも会社を見たこともない人であり、そういう人にはぜひユニクロで働いてみて、どういう企業なのか体験してもらいたいとのことだった。

この柳井社長のコメントを受けて、著者はユニクロへの潜入取材を決意する。妻と一度離婚し、再婚することで自分の苗字を妻のものに変え、ユニクロのアルバイトの面接へ。そして2015年10月、著者はユニクロ〈イオンモール幕張新都心店〉での勤務を開始する。

潜入開始 届かない現場の声

現場の悲鳴

イオンモール幕張新都心店の時給は1000円だ。交通費は支払われない。著者はアルバイトとして、商品の袋むきやレジ打ち、接客など、通常のユニクロ業務をこなしていく。激務となる11月の「感謝祭」はしかし、ユニクロ全体で不振に終わる。

ユニクロでは柳井社長が絶対的な権力を持っており、誰もそれに異を唱えない。柳井社長が下した「2年連続値上げ」という判断が業績の不振を招いたにもかかわらず、社内では誰もそれを口にすることができないのだ。

加えてユニクロはことあるごとに「会社の倒産」を口にして、人件費を削ろうとする。繁忙期には過酷なシフトが勝手に組まれる一方で、閑散期には出勤日を大幅に減らされてしまう。

さらに感謝祭の不振にもかかわらず、本部からは商品が販売計画通りに送られてくる。バックルームには在庫が積み上がり、業務に支障をきたすようになっていく。しかもユニクロの商品は工場からの買い切りであるため、返品もできない。在庫は売れるまで値下げして売り切られる。商品が売れなければ新商品が置けないからだ。現場から聞こえるのは悲鳴である。

現場を監視・管理する「店舗監査」
Ildo Frazao/gettyimages

著者は2016年6月、〈ららぽーと豊洲店〉での勤務を始める。ららぽーと豊洲店は繁盛店で、時給も1150円と他店より150円高い。しかしそのぶん人手不足に陥っている店舗であった。そのため日本語力に疑問のある外国人アルバイトも多くいた。

著者がららぽーと豊洲店にいたとき、店舗監査が入った。本部からの監査員が、店内の写真をくまなく撮っていく。店内の商品陳列や金銭管理の帳面などをチェックし、それぞれの店舗はA(最高評価)からD(最低評価)までの評価を受ける。店舗としてはこの監査に合わせて急いで店舗を整えることになるため、スタッフの作業は必然的に増える。

またユニクロでは「守秘義務」「機密情報」といった言葉が頻繁に聞かれる。

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