すいません、ほぼ日の経営。

未 読
すいません、ほぼ日の経営。
ジャンル
著者
川島蓉子 糸井重里
出版社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2018年10月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.0
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著者
川島蓉子 糸井重里
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定価
1,500円 (税抜)
出版日
2018年10月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
4.0
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レビュー

糸井重里氏が主宰するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(以下、ほぼ日)。その名前は、誰もが一度は聞いたことがあるだろう。ほぼ日が始まってから、今年で20年が経った。その間も巻頭コラム「今日のダーリン」は毎日更新され、多くの人に読まれている。また2001年の発売以来、毎年利用者を増やしているロングセラー商品「ほぼ日手帳」も有名だ。ほぼ日では雑貨や洋服、食べものなど、幅広いラインアップのオリジナル商品が売られており、東京と京都の「TOBICHI」という空間ではいくつものイベントが企画されているなど、活動の場はどんどんと広がっている。

とにかく話題のつきないほぼ日だが、一番驚かされたのが、2017年3月に東京証券取引所のジャスダック市場に上場したことだ。「ほぼ日はどこに向かうのか」――本書もそんな疑問から始まっていて、聞き手である川島蓉子氏が、語り手の糸井氏に対し、さまざまな角度からほぼ日の経営について問いかけている。

本書を読んでよくわかったのは、ほぼ日の経営が一般的な経営と一線を画しているということだ。その経営方針は一朝一夕には真似できないし、真似をしたところで他の場所ではうまく機能しないだろう。糸井氏や社員たちが、みずから考えつくりあげたからこそ、ほぼ日のシステムや商品は人の心が通ったものとなり、それを感じ取った周囲の人々に受け入れられているのだ。

本で読んだことをただ実践するのではなく、じぶんの頭で「考える」ことの大切さをあらためて教えてくれる一冊である。

池田明季哉

著者

川島 蓉子 (かわしま ようこ)
1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません! 』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞出版社社)など。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

糸井 重里 (いとい しげさと)
1948年群馬県生まれ。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。株式会社ほぼ日代表取締役社長。1971年にコピーライターとしてデビュー。「不思議、大好き。」「おいしい生活。」などの広告で一躍有名に。また、作詞やエッセイ執筆、ゲーム制作など、幅広いジャンルでも活躍。1998年6月にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げてからは、同サイトでの活動に全力を傾けている。近作は『思えば、孤独は美しい。』(ほぼ日)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    暮らしにかかわるあらゆるものがほぼ日の事業対象であり、社員のアイデアがきっかけとなって、それぞれのプロジェクトチームは発足されている。
  • 要点
    2
    人事や評価についても、これまでの常識にとらわれず、まるで手仕事のように手間をかけて取り組んでいる。
  • 要点
    3
    社員がより成長し、人がよろこぶものを追求すること。ほぼ日は上場を、そのためのトレーニングのようなものと捉えている。

要約

アイデアをかたちにする

「おもしろい」を重視するプロジェクト制

ほぼ日のプロジェクトは、誰かが「これをやりたい」と思ったときに始まる。そこから他の社員に相談し、糸井重里氏へと相談。周囲から同意が得られると、正式なプロジェクトとなる。チームメンバーは社員同士の声がけで決まる。企画書や進捗報告も必要ない。

重視しているのは、あくまで発案者や周囲がそれを「おもしろい」と思っているかどうかだ。おもしろいと考えた要素を、深く考えたり探ったりすることに力を注ぐのである。

ほぼ日手帳も、ある社員が「ほぼ日読者の生徒手帳をつくろう」と言い出したことがきっかけで生まれた。そこからチームで話し合ってアイデアを出し、印刷や製本のプロと相談しながら、実際に手帳をつくっていった。

「マーケティング」は必要か
z_wei/gettyimages

ほぼ日手帳の作成にあたっては、一般的なマーケティングはおこなわなかった。その代わりに、じぶんがお客さんになったら本当によろこぶかどうかを考え、「これは売れるに決まっている!」というところまでもっていくことを繰り返した。実際に手帳ができてからも、お客さん自身が手帳の使い方を発見することで、さらなる魅力が生まれていった。

当初は「ほぼ日」の中だけで販売していたほぼ日手帳だったが、あるとき社員が「ロフトで売れたらいいな」と言い出し、ロフトの公募制度に申し込むことになった。いざロフトでの取り扱いが始まると、売り場でお客さんが一緒にいた友人にほぼ日手帳の魅力を熱く語り、「営業」してくれた場面に出くわしたこともある。ほぼ日に営業はいない。だがお客さんも含め、みんなで営業するのがほぼ日なのかもしれないと糸井氏は語る。

人のよろこびを追求する

暮らしにかかわるあらゆるものが、ほぼ日の事業対象だ。期間限定の商店街のようなリアルイベント「生活のたのしみ展」は、「人間の生きる総体を見せたい」、「世界のどこにもない雑貨の見本市をやりたい」という思いからスタートした。雑貨を買うことは、生活を楽しむことにつながる。買いものはじぶんのポテンシャルの表現であり、自由のシンボルでもあるからだ。

会場ではお客さんたちが、ただサービスを受けるだけではなく、「つくり手」として「じぶんにもなにかできるか」と考えてくれて、「じぶんが役に立っている」というよろこびが双方向で生まれた。

【必読ポイント!】 ほぼ日の働き方改革

労働時間を減らして給料のベースを「上げる」
scyther5/gettyimages

ほぼ日の「働き方改革」は、労働時間を減らしながら給料のベースを「上げる」というものだった。多くの会社は「集中して生産性を高めよう」と考える。しかし糸井氏は、この「集中」の定義について疑問を抱いている。生産性が上がるということは、質のいいアイデアをたくさん生み出すということだ。ならば勤務時間が減ったとしても、いいアイデアさえ生まれれば、それが新たな事業となり、利益を生み出すはずである。

「漫然と働く時間はもったいない」と感じた糸井氏は、社員に刺激を与えたいという気持ちから、一日の労働時間を一時間減らすことに決めた。加えて「ひとりで考える時間がアイデアを生む」と考え、打ち合わせなどの予定を入れず、会社に来なくてもいい「インディペンデントデー」も設けている。アイデアが生まれやすい環境をつくることが、ほぼ日の働き方改革なのだ。

「いい人」を募集する

人事採用の際は、採用告知そのものを「ほぼ日」の記事とし、「いい人募集」と呼びかけた。

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