残業学
明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?

未 読
残業学
ジャンル
著者
中原淳 パーソル総合研究所
出版社
定価
994円
出版日
2018年12月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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レビュー

本書は、2万人を超える人を対象とした大規模な調査のデータを分析し、あらゆる角度から徹底的に残業の実態を解明した一冊である。

近年、「働き方改革」が叫ばれている。実際、パソコンの強制シャットダウンなどの施策を実行している企業も増えたはずだ。一方で、現場の実情を顧みないトップダウンの人事施策ばかり実施され、現場に「やらされムード」が漂っている企業もまた多いのではないだろうか。

そもそもなぜ、日本には長時間労働の慣習があるのか。どんな歴史を経て、長時間労働が当たり前の社会になってしまったのか。残業はなぜなくならないのか。長時間労働に従事する人は、何を思っているのか。これらの問いは、個人の経験談だけではなく、データやエビデンスをもとに、その構造的な面から検討されなければならない。

そうした構造的な検討をしてくれるのが本書だ。本書を読めば、日本における残業のすべてがわかるだろう。もちろんあらゆるデータだけでなく、データをもとにした、具体的な残業削減施策も提示されている。「自社でも同じことが起こっていないか?」「この施策を自社に導入するとしたら?」という視点で読み進めていただければと思う。

どうすれば、会社も働く個人も希望を感じられる働き方を実現できるのか。少子高齢化が進む日本において、どうすれば働き手を確保できるのか。それを考えるきっかけとして、ぜひ本書を手に取ってほしい。

西 広海

著者

中原淳(なかはら じゅん)
立教大学経営学部教授。同大学ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)主査、リーダーシップ研究所 副所長。1975年北海道生まれ。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・リーダーシップ開発について研究。

パーソル総合研究所(ぱーそるそうごうけんきゅうじょ)
パーソルグループの総合研究機関。2017年、中原淳とともに「希望の残業学」プロジェクトを立ち上げた。

本書の要点

  • 要点
    1
    長時間労働は、個人にも企業にもリスクをもたらす。
  • 要点
    2
    残業は仕事ができる人に「集中」し、暗黙の了解のもとに「感染」し、上司から部下へと「遺伝」していく。
  • 要点
    3
    残業削減施策には、「外科手術」的な方法と「漢方治療」的な方法がある。「外科手術」を成功させるには、残業を「見える化」すること、会社としてのコミットメントを高めること、導入後1カ月の「死の谷」を乗り越えること、効果を「見える化」して残業代を「還元」することがポイントだ。

要約

【必読ポイント!】なぜ「働き方改革」が必要なのか

「働く人」=「長時間労働が可能な人」?
metamorworks/gettyimages

残業や長時間労働は昔からあった問題だ。なぜ今、これほど注目を集めているのだろうか。

その背景には、少子高齢化がある。高齢化した社会を支えていくためには働き手を増やさなければならないが、「長時間労働」がその障壁になっているのだ。長時間労働の慣習をなくさない限り、長時間労働が可能な人しか働くことができない。つまり共働き夫婦、外国人、高齢者などの「長時間労働ができない人」が働けなくなってしまう。働き手不足の日本社会を運営していくためには、長時間労働が当たり前という風潮をなくし、一人ひとりのニーズにあった働き方を選べるようにしなければならない。

長時間労働の弊害は、労働力が不足することだけではない。過労死や労働生産性の低さなどといった課題とも密接に結びついている。残業は、今すぐ改善に着手すべき問題だといえるだろう。

残業が個人にもたらすリスク
monzenmachi/gettyimages

長時間労働は、働く人にとって2つのリスクがある。

第1に、「健康リスク」である。少子高齢化が進む日本では、働き手を確保するため、老後も働き続ける必要がある。長く働き続けるには心身ともに健康でなければならないが、長時間労働によって健康やメンタルを損なう可能性がある。「長期間」働き続けるためには、「長時間」働き続けないことが重要だ。

第2に、「学びのリスク」である。現代においてはビジネスがどんどん変化していくため、一度身につけたスキルや経験もすぐに使えなくなってしまう。だから別の組織に移っても通用する人材になるためには、常に新しいことを学び続けなければならない。長時間労働をしていては、新たな知識を学んだり、学び直したりする時間が持てないままになってしまうだろう。

残業が企業にもたらすリスク

社員に長時間労働を強いることは、企業経営にもリスクをもたらす。

1つめは「採用に関わるリスク」である。2030年、日本には644万人もの働き手が足りなくなってしまうと言われている。しかも、外国人やグローバルに働ける人材、ワーク・ライフ・バランスを重視する若年層は、長時間労働を敬遠する傾向にある。SNSなどによって企業の内情が可視化される時代において、長時間労働を強いる企業が採用に苦労するであろうことは想像に難くない。

2つめは「人材育成・早期離職のリスク」である。新入社員に対する意識調査では、75.9パーセントが「残業が少なく自分の時間を持てる職場」を希望していることがわかっている。労働環境を改善しなければ、数百万円かけて採用した人材もすぐに離職してしまうだろう。

3つめは「サービス開発・イノベーションに関わるリスク」である。企業が生きていくためにはイノベーションが不可欠だが、残業をしたからといってイノベーションが生み出せるわけではない。イノベーションを生むのは、異質な出来事や多様な人々との議論だ。長時間労働によって会社にいる時間が長くなると、こうした体験をするチャンスが減ってしまう。

4つめは「労務管理・コンプライアンスに関するリスク」である。厚生労働省は、労働基準法違反の取り締まりを厳しくする傾向にある。長時間労働を放置する企業は、行政や社会からの制裁を受けるリスクが高い。

残業のメカニズム

日本で残業文化が根付いた背景

日本で残業文化が根付いた背景には、日本の職場における「時間の無限性」と「仕事の無限性」がある。

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未 読
残業学
ジャンル
スキルアップ・キャリア 生産性・時間管理 リーダーシップ・マネジメント 人事 産業・業界
著者
中原淳 パーソル総合研究所
出版社
定価
994円
出版日
2018年12月20日
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