ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国
「経営と技術」から見た近代化の諸問題

未 読
ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国
ジャンル
著者
谷島宣之
出版社
日経BP社
定価
1,620円
出版日
2013年12月24日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国
「経営と技術」から見た近代化の諸問題
著者
谷島宣之
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出版社
日経BP社
定価
1,620円
出版日
2013年12月24日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
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レビュー

本書のタイトルは、「ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国」であるが、日米のITやシステムの違いを紹介している本ではない。むしろ、副題にある「経営と技術から見た近代化の諸問題」について、著者がこれまで経験し考察したことを紹介するのが主題である。近代化の諸問題を、本書では「適応異常」という言葉で表現している。適応異常は、外部から何かを取り入れた際に、自分では適応できたつもりでいても、実際には異常をきたしており、さらにその自覚症状がないという点で非常に厄介なものだ。本書では、日本が起こしている適応異常についてその実態、原因、対策について考察している。

例えば、日本企業はカスタマイズを好むという先入観からは意外であるが、自社で使用するシステムは、実は米国の方が内製化比率は高い。これは米国の方が「ITの前にビジネス」という原則を徹底しており、競争優位の源泉としてITをとらえているからだ。その結果、米国では社内で実際のビジネスが分かる強い情報システム部門がおり、ベンダーの言いなりになることはないという。日本企業としては、このような自身の適応異常を認め、再び「ITの前にビジネス」の原則を真摯に考えるべきなのではないだろうか。

本書はこのように適応異常の例を紹介するとともに、その背景を含めた考察をしている。本書を読んでも、何か明日からの行動が変わるというような安易なノウハウを得られる訳ではない。しかし、メガトレンドとしてのグローバル化が進む今、再び彼我の差を見つめ直す視点を本書は与えてくれるだろう。

著者

谷島 宣之
日経BP社
日経BPビジョナリー経営研究所 上席研究員 兼
日経BPイノベーションICT研究所 上席研究員
1960年生まれ。1985年電気通信大学情報数理工学科修士課程修了。日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社、日経コンピュータ編集部に配属。日経ウォッチャーIBM版記者、日経ビズテック編集委員を経て、2007年から日経ビジネスオンライン、日経コンピュータ、ITProの編集委員。2009年1月から日経コンピュータ編集長。2013年1月から現職。一貫して経営や事業とITなど技術の融合に関心を持つ。ここ数年は事業や情報システムの全体像を描くグランドデザインとそれに必要な力について取材。著書に「システム障害はなぜ起きたか」「動かないコンピュータ」(いずれも日経BP社刊)がある。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本は欧米から取り入れた技術・システムに対して、自分では適応出来たつもりでいても、自覚症状がないうちに適応異常に陥っている。
  • 要点
    2
    適応異常に克つには、「道は一本しかない」という思い込みを捨てて、柔軟にグランドデザインや全体像をつかむ思考方法が有効である。
  • 要点
    3
    手段を目的化するのではなく、グランドデザインを元に改善するというある意味「当たり前」のことを再び考える必要がある。

要約

日米経営スタイルの違い

Fuse/Thinkstock
競争優位の源泉としてのソフト開発

日米の経営スタイルの大きな違いの1つに、コンピュータソフトウェアへの投資とソフト開発技術者の所属先に関する差がある。日本企業は自社で利用するソフトのほとんどをIT企業に開発させているのに対して、米国企業はソフトを内製する比率が高い。

「SEを極める五十の鉄則」を著した馬場史郎氏によると、同一業種で事業規模がほぼ同じ場合、米国企業の情報システム部門の人数は日本企業のざっと十倍ということだ。これの意味することは、米国企業は新しい技術を取り入れる場合、社内にその技術が分かるプロフェッショナルを用意しているということだ。

米国企業では情報システム部門だけではなく、事業部門の現場が率先してパッケージソフトを使いこなそうとする。米国企業はソフトをカスタム開発せずにパッケージを使い、日本企業はカスタム開発にこだわりパッケージを使わないという話はよく聞かれる。確かにパッケージ利用率は米国の方が日本よりも高いのだが、米国はカスタム開発を止めた訳ではない。

内製、外注、パッケージソフト購入をバランスよく行い、競争優位につながるような戦略的なソフトは内製で開発しているのだ。事業を知る社内の事業部門と情報システム部門が議論しながら開発していくのが米国流の開発手法である。

社長はセールスマン
Purestock/Thinkstock

もう一つの日米の経営スタイルの大きな違いに、トップセールスのあり方がある。米国企業の経営トップは、時折顧客を訪問し自社の製品やサービスを自ら売り込む。CEOはもちろんCレベルのマネジメントはたいてい営業ができる。一方で、日本企業もトップセールスを行うが、その実態は単なる表敬訪問だ。そのため、日本企業トップは米国からCEOが来ても表敬訪問としか受け止めていないことも多い。また、日本企業には「社長は大きな話を語り、現場には介入しない」という不文律があるのもその原因だろう。

米国の経営トップはすぐにトップセールスができるように、日頃から重要顧客について詳しい報告をあげさせ、商談を把握しようという姿勢がある。このような米国経営トップが一番怒るのは、突然の失注報告(英語ではサドンロス)である。米国系企業の日本法人でも、米国側が最も怒るのはサドンロスである。

米国トップからすると、担当者が失注するまで何も気づかず手を打たなかった無能者に見えるのだ。

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ジャンル
生産性・時間管理 グローバル
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谷島宣之
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1,620円
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2013年12月24日
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