RE:THINK
答えは過去にある

未 読
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ジャンル
著者
スティーヴン・プール 佐藤桂(訳)
出版社
定価
2,420円(税込)
出版日
2018年11月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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答えは過去にある
著者
スティーヴン・プール 佐藤桂(訳)
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定価
2,420円(税込)
出版日
2018年11月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
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レビュー

「そのアイデアは過去にすでにあったものだ」と言われたら、あなたはどう思うだろう。ネガティブな意味で捉える人がほとんどではないだろうか。

近年は「独創性」がもてはやされている。だが実はそうした「独創性」や「創造性」は、過去にすでに考えられたアイデアから生まれるのだという。本書は「ほとんどのアイデアは過去にルーツがある」としたうえで、そうした過去のアイデアを「再考」することの必要性を説くものだ。電子タバコや電気自動車といったものでさえ、昔からあったアイデアというから驚きである。

さまざまな形でよみがえったアイデアを、著者は歴史を縦横無尽に駆け巡りながら紹介する。21世紀に軍事作戦で使われる古典戦法、別の用途に転用することで起死回生を果たした過去の技術はもちろんのこと、現代によみがえった天動説をめぐる考察なども興味深い。さらにはバイオテクノロジーの発達とともによみがえる優生学など、現代の諸問題も議論として取り上げられている。

人々の生活や文化だけでなく、「正しさ」も時代とともに変化するものだ。過去の成功や過ちを見続け、「再考」し続けることが、人類の進化には欠かせない。歴史の中には、思いもよらない先人たちのドラマチックな思索の物語が広がっている。アイデアに行き詰まっている人は、息抜きのつもりで手に取っていただきたい。きっと現状を打破するヒントが得られるはずである。

池田明季哉

著者

スティーヴン・プール (Steven Poole)
英国のジャーナリスト。≪ガーディアン≫≪ウォールストリート・ジャーナル≫≪アトランティック≫≪タイムズ文芸付録≫などに言葉や文化・社会に関する記事や書籍を寄稿する。著書に本書のほか、Unspeak, You Aren’t What You Eat, Trigger Happy 2.0,Who Touched Base in My Thought Shower?など。

本書の要点

  • 要点
    1
    現在の問題に対する答えは過去にある。一度捨てられたアイデアでも、時間とともに正しさが証明されたり、別の用途に使われて新たな価値が発見されたりすることもある。
  • 要点
    2
    一見新しいアイデアでも、思いのほか古いルーツがあることも少なくない。また間違ったアイデアでも、間違い方によっては役に立つ場合もある。
  • 要点
    3
    社会の価値観は驚くほど速く変化していく。常にその社会での「正しさ」を「再考」し続けることが、革新につながる。

要約

答えは過去にある

最適解は「古典」にある
santypan/gettyimages

新しい状況に古いアイデアがぴたりと適合することがある。「最新が最良である」と考えられがちな軍事、医学、心理学などの分野でも、古典ともいえる過去のアイデアが現代の問題を解決してきた事例はこれまで多くあった。

発表された当時はまったく無視され、嘲笑さえされたアイデアでも、時が満ちて正しかったと証明される場合もある。手洗いの重要性がいい例だ。19世紀のウィーンの医師ゼンメルヴァイスは、ある診療所における妊婦の死亡者数があまりに多いことに着目し、医学生たちに死体を取り扱った後は普通の石鹸と水ではなく、さらし粉水溶液で手を入念に洗うよう推奨した。そして実際にその数カ月後、診療所での妊婦死亡率はゼロになった。

ゼンメルヴァイスはこの成功体験を、できるかぎりヨーロッパに広めようとした。しかし彼の考えは当時、ヨーロッパの権威たちにはまったく受け入れられなかった。そんな考えは非科学的で根拠に乏しいと見なされてしまったのだ。

ところが最近になって、ゼンメルヴァイスの教訓がふたたび呼び起こされることがあった。2004年に小児科医のドン・バーウィックは、「病院スタッフの衛生改善によって、患者の感染症のリスクを90%以上できる」というあまり知られていない論文を見つけ出し、衛生改革の必要性を叫んだ。この主張に対しては反発する者や受け流す者もいたものの、実際にこの施策を導入した病院では、18カ月のあいだに10万人を超える患者の死亡を阻止できたと報告されている。

このように一度は見捨てられたアイデアから着想を得て、それが作用すると明らかになることもあるのだ。

新しい場所で輝く古いアイデア

古いテクノロジーを別の用途に使うことで、革新が起きるのは珍しいことではない。

製薬業界だと、古いものの新しい用途を見つけることは「リポジショニング」と呼ばれ、革新のための戦略のひとつとされている。たとえばLSDはいわゆるドラッグとして知られているが、現在はうつ病などの治療に役立つと考えられている。

また中国の古典的な兵法書である『孫子』は本来の役割を超え、投資家やスポーツのコーチ、マフィアやスパイにまで参考にされている。

もしアイデアが消滅寸前に見えたり、まるきり的外れだったりする場合、まったく新しい文脈に投入してみるのもひとつの方法だ。

受け入れられない「いいアイデア」
Oxana Medvedeva/gettyimages

アイデアの中には、時代を先取りしすぎたものもある。革新的なアイデアは権力者に挑戦的な内容だったり、まだ必要と思われなかったり、大胆すぎる概念の転換を含んでいたりするので、なかなか最初は受け入れられないのだ。たとえば民主主義の定着や奴隷制の廃止には長い時間がかかったし、ときには科学やテクノロジーが受け入れられないこともある。

アイデアが正当化されるまで、数百年あるいは数千年かかることもある。現在では珍しくなくなった電子タバコも、こうしたアイデアのひとつだった。

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