ささいなことに動揺してしまう敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本

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ささいなことに動揺してしまう敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本
出版社
秀和システム

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出版日
2018年12月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「感情の起伏が激しい」「ちょっとしたことでひどく動揺してしまう」「他人の気分に左右されやすい」「人と接するのが大好きなのに帰宅後はぐったりする」「子どものころから『敏感だ』『内気だ』と言われてきた」……。「これは自分のことだ」と思ったら、本書を手に取ってほしい。本書はこうした「敏感すぎる人=HSP」のために書かれたものだ。

HSPは刺激や感情に敏感で、他の人よりも多くの情報を取り込んで処理しているのだという。そのため作業にとりかかるまでに時間がかかり、「仕事が遅い」などと評価されがちだ。自身もHSPだという著者は、こうしたHSPの悩みや「自分はおかしいのではないか」という不安に寄り添い、言語化することで、自己理解と問題解決のためのヒントを示してくれる。

本書の特徴は、HSPの悩みの中でも「働き方」や「キャリアプランニング」に注目している点だ。仕事や働き方の選択肢はこれまでよりもずっと多様化している。本書には、HSPの特徴をよく理解し、自分のやりたいことを明確にすることで、「自分らしく」働ける仕事は必ず見つかるという強いメッセージが込められている。

今の仕事がしっくりこない、なぜかわからないが毎日疲れてしまうという人は、本書のHSPセルフチェックを試してみてほしい。大切なのは自己理解だ。自分の中のモヤモヤに名前が与えられることで、解決への道がひらけるかもしれない。

ライター画像
池田明季哉

著者

みさき じゅり(美崎 珠莉)
ご相談者のモヤモヤを言葉にしつつ、じっと寄り添うHSP専門のカウンセラー&キャリアコンサルタント(厚生労働省認定国家資格)。自身もナイーブな感受性と好奇心の旺盛さをあわせ持つ「刺激追求型」のHSP。
青山学院大学国際政治経済学部卒。東芝、ノキア・ジャパンでの法人営業、外国人エンジニアの人材育成、大学生就活支援を経験後、2017年より活動開始。HSP研究の第一人者・E.アーロン博士の「専門家認定プログラム」修了(日本人初)。クライアントは日本国内にとどまらず、ヨーロッパ、アジアなどからも訪れる。
2018年9月末、アーロン博士の講演を含むHSP Gathering Retreats ™(ニューヨーク郊外)に唯一の日本人として参加するなど、国内外におけるHSPの最新動向を追い続けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    HSPとは、「敏感すぎる人」のことだ。病気や障害のように「治療」するものではなく、状況によって使い分けられるものでもない。受け入れ、現実との折り合いをつけていかなければならない。
  • 要点
    2
    HSPは、深く納得しなければ次のステップに進めない。自分のペースがあり、作業工程を理解するまで時間がかかるが、一度全体を把握すると高い成果をあげることができる。
  • 要点
    3
    自分に合った環境やペースを明らかにして、自分らしく働ける仕事を見つけることが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 敏感すぎる人、HSP

HSPとは

HSP(Highly Sensitive Person)とは、「敏感すぎる人」「繊細すぎる人」のことを指す。HSPは感覚から得た情報を処理する神経が敏感で、ちょっとしたことに敏感に反応してしまったり、疲れてしまったりする。国籍や性別にかかわらず、人口の5人に1人はHSPだと考えられているが、外見からそれと見分けることはできない。

HSPは病気でも障害でもない。したがって、「治療」するものではない。その特徴をじっくり理解し、受けとめて、現実的に折り合いをつけていく必要があるものだ。

HSPの「気質」
metamorworks/gettyimages

HSPは性格ではなく、持って生まれた「気質」である。つまり、成長に従って変化することもなければ、状況をみて使いわけることもできない。

HSPには大きくわけて4つの気質がある。

1つ目は処理の深さだ。HSPは人よりも多くの情報を取り込むため、脳が情報を処理するのに時間がかかる。情報を処理している間、まわりからは「考えてばかりで手が止まっている」ように見えてしまうため、「考えすぎ」「心配しすぎだよ」と言われてしまうこともある。

手を動かす前に頭の中で何度もシミュレーションし、納得したがるのも、HSPの特徴だ。自分の行動がどんな結果につながるのか、そしてその結果は自分の想定している通りなのか、納得しなければ動き出すことができない。

その一方で、「なぜそうするのか」がみえ、深く理解できれば、優れた成果をあげることができる。HSPが先見性や洞察力に優れているのも、処理の深さによる。

2つ目は神経の高ぶりやすさだ。HSPは疲れやすさに悩むことが多いが、それはこの特徴に起因している。処理が深いため、脳が疲れやすく、神経が高ぶりやすいのだ。よくない気分が増幅して落ち込んでしまうことが多い反面、いいことがあった場合には気分が高まって、はしゃいでしまうことがある。

驚いて反応が止まってしまうこともある。たとえば、職場で突然、大声で叱られたとする。そんなとき、HSPはショック状態に陥り、思考停止してしまう。言われたことは頭に入ってはいるが、きちんと理解できていない状態だ。家に帰ってからようやく内容を咀嚼し、「言われる覚えのないことで怒鳴られていた」などと気づくこともある。

このようにHSPは、自分の意見をまとめるまでに時間がかかる。テンポよく反応を返すのは苦手だ。

3つ目は感情反応の強さだ。HSPはまわりにいる人の気持ちや考えに強く影響を受けやすく、感情表現が他の人より大げさになることが多い。なぜならHSPの脳は、そうでない人に比べて、ミラーニューロンが活発だからだ。ミラーニューロンとは、ほかの人の行動を自分のことのように感じて反応する脳の神経細胞である。

4つ目はささいなことを察知する力が強いことだ。その場の雰囲気や他の人の機嫌のよしあしなど、小さな変化によく気づく。壁紙の模様や光の強さなどといった細部が気になってしまうこともある。

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要約公開日 2019.04.28
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