全員経営者マインドセット

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全員経営者マインドセット
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2019年04月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

中古車買取・販売の最大手ガリバー(現 株式会社IDOM)は、創業4年で株式公開、10年で売上高1000億円を実現した、世界でも数少ない「ハイパーグロースカンパニー」である。その組織を支えてきたのが、経営戦略・組織戦略のエキスパートである著者だ。創業メンバーとして参画し、専務取締役として18年間在任、一貫して関わったものの一つが「人事・評価制度の構築」と「社員や幹部の育成・教育」であった。

本書は、そんな著者が、組織づくりの手法、組織力を高める方法を解説した一冊である。その手法の中心は、マインドセットの高低をタテ軸に、スキルの高低をヨコ軸にとった「MSマトリクス」である。MSマトリクス上に、自分やメンバーの位置を示すことで、組織の現状や改善の方向性が明らかになる。

会社や組織を成長させる上で大切なことは、どれだけのメンバーが経営者に近い「100%マインドセット」を持っているかということだ。本書では、マインドセットの概念が徹底的に解説されるとともに、マインドセットを向上させる具体的な方法が明らかにされている。

本書は、会社の社長・幹部・マネジャーに限らず、組織に携わる全ての人にとって必読の一冊である。MSマトリクスを作成して自社の組織課題を知り、組織戦略を描いてみよう。全員経営者マインドセットへの挑戦のスタートである。

ライター画像
木下隆志

著者

吉田 行宏(よしだ ゆきひろ)
元 株式会社ガリバーインターナショナル(現 株式会社IDOM)専務取締役。創業4年でガリバーを全国展開させ、同社を株式公開に導く。創業10年で1000億円の売上を達成し、世界でも数少ない「ハイパーグロースカンパニー」となった同社で、FC事業・経営戦略・マーケティング・人事・教育・IT・財務等の担当役員を歴任。2012年に退任するまでの18年間、一貫して人事・評価制度の構築・運営及び社員・幹部の育成・教育を行い、独自の研修や育成理論を構築する。ガリバー退任後は、若手経営者の育成支援と、共同での新規事業創造のため、株式会社アイランドクレアを設立。現在25社以上の企業の役員・戦略顧問などを務めるほか、出資支援等を行っている。著書に『成長マインドセット』がある。

株式会社アイランドクレア 代表取締役/株式会社LIFE PEPPER 代表取締役/株式会社POL 取締役/株式会社FiNC Technologies 社外取締役/Japan Taxi株式会社 組織戦略顧問/株式会社マネーフォワード 組織戦略顧問/株式会社ニューズピックス 組織戦略顧問

本書の要点

  • 要点
    1
    会社の成長に必要不可欠な4大要素は「ミッション・ビジョン・中期目標」「戦略力」「組織力・人材力」「市場創造・イノベーション」だ。
  • 要点
    2
    MSマトリクスとは、タテ軸に「マインドセット」を、ヨコ軸に「スキル」を置いた、組織戦略を考える際の拠り所となる概念図である。
  • 要点
    3
    組織が目指すべきは、経営者のようなマインドセットの持ち主が集まる「全員経営者マインドセット組織」だ。
  • 要点
    4
    マインドセットの高い上位2割のマインドセットをさらに向上させることで、組織全体のマインドセットも改善する。

要約

【必読ポイント!】MSマトリクスで組織力を向上させる

会社の成長に必要な4大要素
tadamichi/gettyimages

著者は、会社の成長に必要不可欠な4大要素は「ミッション・ビジョン・中期目標」「戦略力」「組織力・人材力」「市場創造・イノベーション」だと考えている。その4つのうち、「組織力・人材力」と「戦略力」はとりわけ重要だ。これら2つは、会社の両輪となり、会社の成長を促進させる。

会社の「ミッション・ビジョン・中期目標」を達成するために、戦略が必要なことは言うまでもない。しかし、その戦略が必ずしも思い通りに実現するわけではない。

では、戦略を実行できるか否かは何によって決まるのか。その鍵を握るのは、本書のテーマである「組織力・人材力」だ。強い「組織力」がなければ、優れた戦略を実行することができず、市場創造も成し遂げられない。これは著者がガリバーの役員時代に身をもって感じたことである。

MSマトリクスの効用

本書では、「MSマトリクス」というツールを活用し、自社の抱える組織課題の本質的な要因を探っていく。

MSマトリクスとは、タテ軸に「マインドセット」を、ヨコ軸に「スキル」を置いた概念図である。シンプルな図だが、これを活用すれば、自社の組織や人材を俯瞰し、成長を促すことができる。さらには、組織戦略のさまざまな課題を整理し、継続的・本質的な打ち手を実行することも可能だ。

作成方法は簡単だ。大きめの紙かホワイトボードを用意する。タテ軸はマインドセットだ。下から順に、20%、40%、60%、80%、99%、100%という目盛りを記入する。ヨコ軸はスキルである。目盛りは左から、C、B、A、S、SSだ。

次に、付箋をたくさん用意し、付箋1枚につき1名の社員の名前を書き出す。社員数が多ければ、リーダークラスと主要な社員だけでもいい。リーダーと社員で、付箋の色を変えることもポイントだ。

紙と付箋を用意したら、次に説明する「MSマトリクスの軸の定義」に沿って付箋を振り分けていく。あまり深く考え込まず、直感的に貼っていこう。

MSマトリクスの軸の定義
metamorworks/gettyimages

タテ軸の「マインドセット」は、6つの要素を複合的に勘案し、0〜100%の間で判断する。その6つの要素とは、(1)当事者意識、(2)覚悟、(3)オーナーシップ、(4)全体最適、(5)ミッションフィット、(6)バリュー体現である。それぞれの言葉の意味は、次の通りだ。

(1)当事者意識:事業部や会社での課題を当事者として捉え、自分ができることを主体的に実行できているか。

(2)覚悟:自分の仕事に対して覚悟を持って行動できているか。

(3)オーナーシップ:何事も他責にせず、「自分の人生の主人公は自分である」という自覚を持って生きているか。そして仕事も人生の重要な一部として捉え、「私たちの会社」というマインドと経営者視点で仕事ができているか。

(4)全体最適:自分や自部門の都合やメリットだけでなく、全社のミッション・ビジョン・バリューに則り、全体・中長期視点でも思考・判断・行動ができているか。

(5)ミッションフィット:会社のミッションに深く共感し、自分の目指すものとして捉えて行動しているか。

(6)バリュー体現:自分たちの会社の価値観をどれだけ体現し、それを踏まえた言動を取っているか。他の人の模範になっているか。

ヨコ軸の「スキル」は、(1)テクニカルスキル、(2)組織マネジメントスキル、(3)コンセプチュアルスキル、(4)戦略思考力の4つのスキルを総合的にみて、SS、S、A、B、Cのレベルに分ける。それぞれの言葉の意味は、次の通りだ。

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要約公開日 2019.07.22
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