凡人起業

35歳で会社創業、3年後にイグジットしたぼくの方法。
未読
凡人起業
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35歳で会社創業、3年後にイグジットしたぼくの方法。
未読
凡人起業
出版社
CCCメディアハウス

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出版日
2019年03月28日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

起業家と聞くと、「やりたいことを追求するキラキラした人」「成功できるのは、エリートか天才的な才能をもつ人」というイメージを抱く読者も少なくないだろう。これに対し、本書で語られるのは、そうしたイメージとは真逆の、「凡人」による起業ストーリーである。

凡人とは、三日坊主、誘惑に弱い、心配性などの特徴をもった、普通の人のことを指す。ただし、凡人とは「無知の知」を自覚した謙虚な人でもある。著者自身は自分が凡人であるという強い自覚から、それを強みに変えて、コツコツと事業を軌道に乗せてきた。本書では、凡人の特徴を強みに変えた「凡人なりの戦い方」、地に足のついた起業をするメソッドを紹介している。

今後、新しい事業を生み出す人材は、既存の大企業にとっても重宝される。さらには、凡人が起業しやすい環境が整いつつあるというのも、凡人起業の追い風になっているという。「だれでも起業に挑戦できる」。こんな強いメッセージを発信している点でも、本書は他の起業本とは一線を画している。

会社員としてキャリアを積んできた読者も、著者や「凡人起業家」の先輩たちの経験談を読むことで、自分なりの強みを整理し、それを活かして起業する方法を、スピーディーに学べる。「自分に自信がないが起業に憧れを抱いている」という読者にとっては、夢への一歩を踏み出すための強力な武器を得られるにちがいない。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

小原 聖誉(おばら まさしげ)
起業家・エンジェル投資家、株式会社StartPoint代表取締役。1977年生まれ。98年、大学在学中に起業家のインターンに参加したことでベンチャー企業の経営を間近で見る機会にめぐまれ、「やがては自分も起業しよう」と考えるきっかけとなった。2013年、株式会社AppBroadCast創業。起業を意識してから15年が経っていた。ABC社ではスマホゲームのマーケティング支援事業を独自のフレームワークに基づいて展開。徹底して凡人であることを前提に経営したことで、立ち上げたメディアは2年で400万ダウンロードを超えた。創業して3年目の2016年、大手通信会社グループに同社をバイアウト。現在は自らの創業経験をもとにIT起業の支援・投資活動を行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    凡人起業で大事なのは、いかに失敗しないかである。そのためにはやりたいことを追求するよりも、負けないことに注力するのがよい。
  • 要点
    2
    凡人起業の3原則は、「成長市場に参入する」「その道のプロになる」「仕事に集中する仕組みをつくる」の3つである。
  • 要点
    3
    30代からの起業では失敗が許されない。過去の経験を活かすためにも、まずは自分を認め、強みを棚卸しして、事業のアイデアを生み出すことが重要となる。

要約

【必読ポイント!】 凡人なりの戦い方

先行者になる

著者によると、「凡人には凡人なりの起業の仕方がある」という。自分には強みが特にない、凡人だという自覚があるならば、逆にこの特徴を凡人なりの戦い方に転嫁できる。自分を優秀だと思うがゆえに、自分のやり方に固執して失敗する起業家は多い。そこで、凡人なりの戦い方を徹底すれば、起業家になれる可能性が充分ある。

著者は学生時代、ITベンチャーでインターンとして働いていた。そこで、当時最先端であったiモードの携帯アプリ検索サービスを開発した。拡大しているインフラ向けのサービスを手掛けることで、営業をしなくても問い合わせが次々に舞い込んでくる。いわゆる先行者利益を得た。

この経験から著者は、「つくりたいものをつくるよりも、時代に乗ることのほうが大切」という教訓を得た。時代の流れに乗れば、たとえ人脈がなくても、「お客様窓口」からでも売り込める。このように、凡人起業の成功の秘訣は、「成長市場で誰よりも先にやること」なのだ。

失敗しない方法論
Deagreez/gettyimages

著者がIT業界で起業したのは、大きな資金が不要だからだ。例えば飲食業ならば、良い立地の物件を借りるためにお金がいる。しかし、信用がなければ融資も受けにくい。さらには、設備投資なども必要となり、ひとたびお店を開くと、常連がつくのに時間がかかる。このように、飲食業は条件や制約が多い業種なのである。

一方、ネットサービスのビジネスは24時間365日営業できるうえに、設備投資も不要だ。そのため素人でも始められる。サービス開始後にコツコツ修正ができれば、確実に伸びる起業方法である。自分にアピールする強みがない場合は、ネットサービスのように、勝てなくても工夫次第で「負けづらい手段」をとるとよい。

凡人起業で大切なことは、「いかに失敗しないか」である。まずは、拡大市場において、たたき台を早くつくることだという。完成度は8割でよいので、「これでいける」というものを世に出すのだ。その後、すばやくPDCAを回すことで、戦略的にその市場での先行者になれる。

コツコツやる仕組みをつくる

自分が凡人だと自覚していた著者が重視したのは、失敗確率を下げる仕組みをつくり、その中に自分を置くことだ。これにより、三日坊主な自分を律するというわけだ。

著者が起業する半年前は、iPhoneに比べてAndroidの市場が小さい時期だった。そこで、AndroidというニッチなOS・プラットフォームでビジネスをしようと決めたのだ。

それを念頭に、毎日Androidに関する情報を発信した。特定の業界について毎日発信していると、自然とその分野で専門家になれ、周囲から次第に喜ばれるようになる。こうすると、発信が楽しくなり、コツコツ続けられる。

また、毎日続けることは信用にもつながる。信用がなければビジネスは続かない。こうしたコツコツやる取り組みは、会社員のうちから実践できる。せっかくなら、自分の強みや経験が活かせて、かつ今後拡大・成長しそうな市場で情報発信を積み重ねるとよい。何かの領域のプロになれば、会社がなくなっても、社外から声がかかる可能性が高まるからだ。

起業しやすい現代

ビジネスをつくれる人材の重要性
Peshkova/gettyimages

日本の経済力は低下する一方だ。30年前の世界での時価総額ランキングでは、日本の企業が名を連ねていた。だが、現在では、上位20位に日本企業は一社も入っていない。

また、人口減少が進み、平均年齢が若い国との間に生産年齢人口の差ができている。人口が減れば国力が減り、日本語圏内でのビジネスは縮小する。この流れの中では、既存のパイを取り合うより、新たなパイをつくるビジネスが重要となる。

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要約公開日 2019.07.31
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