文芸オタクの私が教える
バズる文章教室

未 読
バズる文章教室
ジャンル
著者
三宅香帆
出版社
サンクチュアリ出版 出版社ページへ
定価
1,540円(税込)
出版日
2019年06月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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バズる文章教室
著者
三宅香帆
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定価
1,540円(税込)
出版日
2019年06月15日
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総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
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おすすめポイント

「バズる」とは一般的に、「(主にネットを中心に)爆発的に広まること」を意味する。だから本書についても「テクニックを駆使して一時的に大きな拡散を狙うもの」と思っていた。しかしそれは大きな誤解であった。というのも本書はまさに「そういうことをするのが苦手な人」のために、「バズる文章の書き方」を伝えてくれるものだからだ。

著者が書店でアルバイトをしながら、おすすめ本の紹介記事をブログに書いたときのことだ。小説の批評というニッチな分野にもかかわらず、執筆したブログ記事が大きくバズった。著者もはじめはなぜバズったのか不思議に思ったそうだが、何度もバズったあと、ある結論にたどり着く。それは「文章の内容よりもみんなに楽しんでもらうことを優先し、好感を持ってもらおうと工夫していたから」というものだった。

バズることを狙ってちょっと過激な文章を書くよりも、「みんなに好きになってもらえる文章」を書けるようになることが、バズる文章への近道となる――著者の解説とともに作家たちの文章を読んでいくと、それぞれの文章の楽しさの法則が解き明かされ、なるほどと何回も唸らされた。

「バズる」というキャッチーな言葉は、ひょっとするとターゲットを選ぶかもしれない。だが流行に関係なく、「言葉の発信力」を上げたい人にとって、じつに有益な一冊なのは間違いない。

ライター画像
小嶋平康

著者

三宅 香帆 (みやけ かほ)
文筆家、書評家。1994年生まれ。高知県出身。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。
2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。《リーディング・ハイ》」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。
著書に『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分の思いや発見を人に届けやすくするヒントが、文芸の世界にはたくさん集まっている。「文章で的確に伝える」という技術的な考えから一旦離れ、「文章で楽しんでもらう」という文芸的な目線で、文章を書いてみてはいかがだろうか。
  • 要点
    2
    著者は長年かけて、人気の作家をはじめ、アイドルからインフルエンサーにいたるまで、言葉のプロフェッショナルたちの文章を研究してきた。そして「読んでて楽しい文章の法則」を言語化し、それらをバズる「つかみ」「文体」「組み立て」「言葉選び」としてまとめている。

要約

バズるつかみ

北原白秋の配合力
metamorworks/gettyimages

文章は、書き出しさえばしっと決まっていれば続きをどんどん書いていける。ではそんな「魔法の書き出し」とは、どのような書き出しなのだろうか? 北原白秋先生の「桐の花とカステラ」の書き出しがまさにそうである。

「桐の花とカステラの時季となった」。この一文から始まる文章の中で語られているのは、「初夏、淡い紫色の桐の花が飾られたテーブルに出されたカステラが最高」ということだけ。だが北原白秋先生のセンスがすばらしいのは、「カステラ」について語るために、わざわざ「桐の花」を隣に置いたところである。カステラと桐の花を組み合わせたことにより、カステラに初夏の季節感が加わり、完全なオリジナル作品に仕上がっている。

ふたつの言葉は強い。一見なんの関連もなさそうなふたつの言葉を組み合わせると、そこに新しい世界が生まれる。ふたつの言葉を並べることによって、思考はそのふたつの言葉の共通点、相違点、類似点などを見つけ、展開させようと働く。

バズる文体

村上春樹の音感力

文章とはリズム感であると言ったのは村上春樹さんだ。しかしリズムがある文章とは、どのようなものなのだろうか。ここでは例として、彼の「ダンス・ダンス・ダンス」という小説の一文を抜粋する。

「おいらの言っていることはわかるかい? 踊るんだ。踊り続けるんだ。なぜ踊るかなんて考えちゃいけない」。とてもリズミカルで読みやすくないだろうか。なぜリズミカルに感じるかというと、文章の切れ目の後半が、だいたい「5音」「9音」でそろっているからである。

言葉のリズムに関して『言語学大辞典』(亀井孝ほか編)を引くと、「ある発話において、音の強弱、高低、長短などに関する一定のパターンがくり返し現われ、個々のパターンに要する時間がほぼ等しいとき、そこにはリズムがみられる」と説明されている。つまり言葉のリズムとは「一定のパターンのくり返し」。そして村上春樹さんの文章は、言葉の切れ目ごとの音節の数が、ずっと一定になっているのである。

リズム感に自信はないが、いいリズムの文章を書きたいという場合は、「一文を短くする」ことをおすすめする。一文を短くできれば、文章のリズムを調整しやすくなる。またカギカッコを挟んだり、語尾や接続詞を換えたりすることでも、リズムをつけるのは可能だ。

向田邦子の柔和力
gyro/gettyimages

漢字にするべきか、ひらがなにするべきか。それぞれの割合をどうするかは悩ましい問題だ。パソコンにまかせれば簡単に漢字に変換できるが、どちらがより読みやすくなるのかまでは、パソコンは判断してくれない。それは完全に「書き手の美的センス」にゆだねられている。

そのため決して正解があるわけではないが、

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