心を強くする

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心を強くする
出版社
出版日
2019年07月14日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

いま、日本テニス界を牽引している人物といえば、男子は錦織圭選手、女子は大坂なおみ選手(以下、なおみ)だ。なおみは日本人初のグランドスラム(四大大会)優勝、世界ランキング1位という、これまでのプレイヤーがなしとげられなかった偉業を次々と実現し、日本テニス界の歴史を塗り替えた。コーチとしてそんな彼女を一番近くで支えてきたのが、本書の著者であるサーシャ・バイン氏だ。

まだ若いなおみは、かつては試合の途中で感情をコントロールできなくなってしまう場面もあった。だがサーシャ氏とタッグを組んでからは、メンタル面で大きく成長し、全米オープンなどの大舞台でも持ち味を存分に発揮できるようになったと言われている。本書では、サーシャ氏がどのようになおみを変えたのか、なおみがどのようなメンタルトレーニングをしてグランドスラムに臨んだのか、その秘密が明らかにされている。サーシャ氏はなおみと組む前、セリーナ・ウィリアムズのチームに所属していた経験もあり、長く世界一に君臨したプレイヤーから学んだメンタルコントロール術も必読だ。

メンタルコントロールを身につけるべきなのは、何もスポーツ選手だけではない。大事なプレゼンを控えるビジネスマンや、受験のために勉強を続けている学生など、大事な場面で結果を出したいすべての人たちに、本書を通してメンタルコントロールの極意を学んでほしい。

ライター画像
山下あすみ

著者

サーシャ・バイン (Sascha Bajin)
テニスコーチ。1984年生まれ、ドイツ人。
ヒッティングパートナー(練習相手)として、セリーナ・ウィリアムズ、ビクトリア・アザレンカ、スローン・スティーブンス、キャロライン・ウォズニアッキと仕事をする。その後2018年シーズンから当時世界ランキング68位だった大坂なおみのヘッドコーチに就任すると、日本人初の全米オープン優勝に導き、WTA年間最優秀コーチに輝く。2019年には、全豪オープンも制覇して四大大会連続優勝し、ついに世界ランキング1位にまで大坂なおみを押し上げたところで、円満にコーチ契約を解消。

本書の要点

  • 要点
    1
    野心を抱いてこそ、成功が手に入る。必ず目標達成できると信じ、小さな目標を毎日こなしていくことが重要だ。
  • 要点
    2
    人は慣れ親しんだ環境に踏みとどまりがちだが、リスクをとって外の世界に飛び出さなければ、自分の真の価値はわからない。リスクをとるときは自分の気持ちを正直に見定め、変化を受け入れよう。
  • 要点
    3
    ナンバーワンになっても急に世界観が変わるわけではない。変わるのは周囲からの見られ方であり、それは「自分が認められた証拠だ」と自信を持てばいい。

要約

【必読ポイント!】 心は強くなる

大きな野心がなければ戦えない
masterzphotois/gettyimages

テニスのトーナメントの参加者128名のうち、燃えるような野心を持っている者は数えるほどしかいない。たいていのプレイヤーは、ベスト4やベスト8に残っただけで満足してしまう。

自分は本当に野心を抱いているかどうか、正直に自分を見つめ直すといい。野心を抱いてこそ、成功はあなたのものになる。目標を設定したうえで、その目標は必ず達成できると信じよう。

大きな野心を抱いたら、小さな目標を毎日こなしていく。こなすべき目標を明確に頭に刻み、一日の終わりに、今日なしとげたことに満足できるかどうか、自分に問いかけてみよう。

重要なのは、自分のしていることを信じて、その目標を達成するために邁進すること。そして、その目標を達成できたらすぐ、次の目標を設定することだ。

「罰ゲーム」で度胸をつける

著者は、大坂なおみ選手(以下、なおみ)と組む前、彼女のことを「お高くとまった女王様」だと思っていたという。なぜなら、すれちがうときに目を合わせてくれないからだ。きっとこっちを見下しているんだろうと思っていた。

だが、初めてきちんと言葉を交わしたとき、そんな印象は吹き飛んだ。お高くとまった女王様だなんてとんでもない。むしろ純真ではにかみ屋の女の子だったのだ。

実際に組んでみると、なおみの内気なところが気になった。彼女が他人の視線を気にしない度胸を身につければ、試合でももっと堂々と自分を押し出せるのではないか。そう考えた著者は、ある「罰ゲーム」を提案した。それは、「練習で勝ったほうが負けたほうに罰ゲームを科すことができる」というものだ。

あるとき、ミニゲームに勝った著者は、なおみに渋谷のスクランブル交差点でダンスをすることを命じた。この経験は、なおみに大切な教訓を教え込んでくれた。「たとえ他人にじろじろ見つめられようが、笑われようが、たいしたことはない」という教訓を。

誰かの真似はしない

なおみはよく「セリーナ・ウィリアムズに似ている」と言われていたという。打ち方やゲーム運び、髪型などがその理由だった。

そんななおみはセリーナに憧れていたものの、彼女と比較されることは嫌っていた。7年もセリーナと組んでいた著者をコーチに迎えてからも、セリーナがらみの質問は一切しなかった。それはなおみの、他人を真似ずに独自の道を切り拓くという決意の表れだった。

他人からインスピレーションを受けることは悪くない。だが、そのまま真似ることに意味はない。自分に本当に役立つことを見極めたうえで、そこに自分ならではの彩りを添えることが重要なのだ。

リスクだけが本当に心を強くする
NiseriN/gettyimages

著者はセリーナのヒッティング・パートナーを7年つとめたが、2015年に自ら別れを告げた。それは著者にとって大きなリスクを伴う決断だったが、結果として大坂なおみのヘッドコーチにつくことができ、世界ナンバーワンに挑戦することもできた。

ときには自分を怖がらせるような冒険も必要だ。

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要約公開日 2019.09.01
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