スタンフォード式 最高のリーダーシップ

未読
スタンフォード式 最高のリーダーシップ
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スタンフォード式 最高のリーダーシップ
出版社
サンマーク出版

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出版日
2019年05月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

理想のリーダー像を聞かれたら、どんな人を思い浮かべるだろうか。カリスマ性があって、強い意志を持ち、チームを引っ張ってくれる人? それとも、知識や経験が豊富で、的確に成功へと導いてくれる人だろうか。

本書を読むと、そのどちらも理想的なリーダーではないことがわかる。もっといえば、「理想のリーダー像」を他人事のように考えていること自体が間違いだと知ることになる。本来、すべての人がリーダーであり、リーダーシップを持って仕事に取り組むことが必要だ。リーダーシップは、自分が成長するためにも大切なスキルなのである。

著者のスティーヴン・マーフィ重松氏は、スタンフォード大学医学部で教鞭を執っている人物だ。彼のリーダーシップ論は、西洋と東洋の英知を融合させながら、心理学や脳科学の知見に下支えされている。そのため非常に信頼がおけるうえに実践的だ。

本書は、エゴと謙虚さのバランスがとれた、「アサーティブ・リーダー」という、めざすべきリーダー像を提示する。そのうえで、アサーティブ・リーダーに必要な4つのスキルを体系的に解説してくれる。

チームの運営がスムーズにいかないと悩む人にこそ、本書をおすすめしたい。もしかしたら、間違ったリーダー像にとらわれているのかもしれない。読後には、最高のリーダーシップを身につけることの意義を痛感するだろう。

ライター画像
中山寒稀

著者

スティーヴン・マーフィ重松
スタンフォード大学の心理学者。スタンフォード大学ハートフルネス・ラボ創設者。
日本で生まれ、アメリカで育つ。ハーバード大学大学院で臨床心理学博士号を取得。1994年から、東京大学留学生センター・同大学大学院の教育学研究科助教授として教鞭を執る。
その後、アメリカに再び戻り、スタンフォード大学医学部特任教授を務める。現在は、医学部に新設された「Health and Human Performance」(健康と能力開発プログラム)における「リーダーシップ・イノベーション」という新しいプログラム内で、マインドフルネスやEQ理論を通じて、グローバルスキルや多様性を尊重する能力、リーダーシップを磨くすべなどを様々な学部生に指導している。また、「Global Youth Leadership Program」(国際青少年リーダー育成プログラム)のディレクターも務めている。
学外では、米国政府、日本企業、医療・教育機関などでリーダーシップやマインドフルネスに関するワークショップ、講演を行うほか、ヨーロッパ、アジア各国でも講演活動を行っている。
著書に、『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』(講談社)、『多文化間カウンセリングの物語(ナラティブ)』(東京大学出版会)、『アメラジアンの子供たち――知られざるマイノリティ問題』(集英社新書)、『Multicultural Encounters』(Teachers College Press)、『When Half is Whole』(Stanford University Press)、『From Mindfulness to Heartfulness:Transforming Self and Society with Compassion』(Berrett-Koehler Publishers)などがある。
著者HP https://www.murphyshigematsu.com

本書の要点

  • 要点
    1
    リーダーシップとは、生き方であり、働き方である。すべてのビジネスパーソンに必要なスキルであり、リーダーシップを備えた人が影響し合う職場は、組織として強くなる。
  • 要点
    2
    著者がめざすべきリーダー像として提唱するのが、「アサーティブ・リーダー」である。自分の弱さを受け入れ、チームのメンバーにその弱さをさらけ出すことで、メンバーとの信頼関係が生まれる。
  • 要点
    3
    チームのリーダーの役割は、チームを引っ張ることではない。メンバーの背中を押し、その人の最高の能力を引き出すことである。

要約

【必読ポイント!】 最高のリーダーとは?

リーダーシップとは生き方であり働き方である
scyther5/gettyimages

「私たちはみな、リーダーである」

スタンフォード大学で心理学の教鞭を執る著者が、授業で必ず口にする言葉である。この考え方こそ、リーダーシップの基盤であり、原理原則である。これはアメリカの一流大学の学生に限ったことではない。私たち一人ひとりにはリーダーになる能力があり、そうなるべきなのだ。それを素直に信じられるかどうかは、自分はリーダーだと自負があり、自分の能力に自信が持てるかどうかの違いにすぎない。

私たち一人ひとりが「自分が今、何をすべきか」を決定して、主体的に最終的な判断を下し、一体となって最善の道へと進んでいく。これが、仕事の現場で最高のパフォーマンスを発揮するために欠かせない。

リーダーシップを備えた人が影響を与え合う職場は、組織として強くなる。そして、リーダーシップを発揮する働き方は、その人個人を成長させる。リーダーシップとは、生き方であり、働き方でもある。

人間性心理学をはじめとする心理学的エビデンスや脳科学の知見などに支えられ、伝統的な知恵と科学的な裏付けをブレンドした最先端のリーダーシップ。これが「スタンフォード式 最高のリーダーシップ」である。これを身につけることにより、リーダーとして、チームや組織で成果を出せるようになるのだ。

最高のリーダーに必要な「4つのリーダーシップ」

著者は、めざすべきリーダー像として「アサーティブ・リーダー」を提唱する。「アサーティブ(assertive)」とは、直訳すると「主張型」「積極性」という意味だ。アサーティブ・リーダーになるためには、4つのリーダーシップを身につけなければならない。

(1)Authentic Leadership(本質的なリーダーシップ)

(2)Servant Leadership(支援するリーダーシップ)

(3)Transformative Leadership(変容をもたらすリーダーシップ)

(4)Cross-Border Leadership(壁を越えるリーダーシップ)

アサーティブ・リーダーは、積極的に主張し、人を動かす。エゴと謙虚さのバランスをうまくとって、弱さを内包した本当の意味での強さを身につける。さらには、自分自身を尊重し、人を否定することなく、自分とチームの利益のために行動できる。先述した4つのリーダーシップを兼ね備えることにより、人としての厚みが増す。やがて、その存在自体がチームを引きつけ、求心力を高めていくのだ。

リーダーは仕事上の役割だが、リーダーシップは個人のためのスキルである。一人ひとりがリーダーシップを発揮することが、成果を出し続け、自分を成長させるうえで重要なのである。

人心をつかむオーセンティック・リーダーシップ

本当の自分を表現する
AaronAmat/gettyimages

本要約では、4つのリーダーシップのうち、「オーセンティック・リーダーシップ(Authentic Leadership)」「サーバント・リーダーシップ(Servant Leadership)」の2つを紹介する。

まず、4つの中で土台となるのが、「オーセンティック・リーダーシップ」だ。オーセンティックな状態とは、自己を知り、ありのままの飾らない姿を指す。嘘や気取りがなく、本当の自分を表現することで、周りの人に信頼感を与える。

オーセンティック・リーダーシップを磨くには、次の5つの方法がある。(1)「弱さ(ヴァルナビリティ)」を認める、(2)「役割性格」を越える、(3)「人」と比べない、(4)自分の「生涯の大きな目的」を見つける、(5)「超・集中状態」になる。

この5つを実践すると、自己を知ることができ、それが他者理解にもつながっていく。すると、他者の感情を感じながらも客観的でいられる「コンパッション」な共感ができるようになる。これは、部下の気持ちを理解した上で解決策や目的、とるべき行動を示すのに役立つ。

これら5つの方法は連動している。1つの方法がうまくいけば、他の方法もうまくいくようになり、オーセンティック・リーダーシップ全体が高まっていく。

弱さは自信に変わる

ここでは、オーセンティック・リーダーシップを磨く5つの方法のうち、(1)「弱さ(ヴァルナビリティ)」を認める、(2)「役割性格」を越える、の2つをとりあげる。

(1)については、自分の弱さを受け入れ、さらけ出すことである。これにより、人はあなたを、「取り繕いがない、常に本心でいてくれる存在」だとみなし、信頼するようになる。

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要約公開日 2019.09.02
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