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小さな会社でも今すぐ始められる「人工知能」導入の実践ステップ
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出版社
朝日新聞出版

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出版日
2019年07月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

近年盛り上がりを見せる最先端技術「人工知能」。なんとかビジネスに活用できないかと考えている人も多いだろう。本書は、人工知能を導入してみようかと考えている人にも、導入は決まったが何から始めていいのかと悩んでいる人にもぴったりの、人工知能のいろはを教えてくれる一冊だ。

本書には、人工知能を導入する際のステップや、導入にあたって考慮すべきことなど、人工知能を活用するために知っておくべきことが具体的に紹介されている。著者は人工知能の専門家だが、身近なものを例に挙げて丁寧に解説してくれているので、予備知識がなくても容易に内容を理解できるだろう。

人工知能は、導入しさえすればどんな課題でも解決してくれるようなツールではない。うまく導入しなければ、導入コストさえ回収できないままに終わることもあるだろうし、人工知能を使わずに人力で解決したほうがいいような課題もあるだろう。そもそも人工知能を使うべきなのか、使う場合はどのように導入すべきなのか、適切に判断しなければならない。

豊かな想像力を持って人工知能を活用すれば、世界中の人々の生活を変えるほどのサービスを作り出すことも夢ではない。日本の国際競争力が低下する今日、人工知能を用いたビジネスによって日本発のサービスが世界中に展開されるようになればいい。本書には、そんな著者の願いが込められているように思う。

ライター画像
池田明季哉

著者

中西 崇文(なかにし たかふみ)
武蔵野大学データサイエンス学部データサイエンス学科長。准教授。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター主任研究員。デジタルハリウッド大学大学院客員教授。1978年、三重県伊勢市生まれ。2006年3月、筑波大学大学院システム情報工学研究科にて博士(工学)の学位取得。情報通信研究機構にてナレッジクラスタシステムの研究開発、大規模データ分析・可視化手法に関する研究開発等に従事。2019年4月より現職。専門は、データマイニング、ビッグデータ分析システム、統合データベース、感性情報処理、メディアコンテンツ分析など。著書に『スマートデータ・イノベーション』(翔泳社)、『シンギュラリティは怖くない――ちょっと落ちついて人工知能について考えよう』(草思社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人工知能導入を成功させるには、「どのような課題(イシュー)を解決するために、人工知能を適用していくか」を考えることが大切だ。
  • 要点
    2
    人工知能には、「汎用型人工知能」と「特化型人工知能」がある。現時点において実現されているのは、何か一つの役割に特化した部分で性能を発揮する「特化型人工知能」だ。
  • 要点
    3
    人工知能を活用するにあたっては、イシューの設定が肝となる。設定は、イシューの表出化、要件化、データ化、指標化の4段階を経る。
  • 要点
    4
    人工知能をうまくビジネスに組み込めば、コスト削減や業務効率化が可能となる。

要約

AIで「競争優位」を生み出すために

「イシュー指向型」であるべき理由
tadamichi/gettyimages

人工知能(AI)は、アプリやソフトウェアのようにインストールしてすぐ使えるものではない。目的に応じて作り変えたり、目的に応じたデータを収集したりする必要がある。そのため、人工知能を導入するにあたっては、「どのような課題(イシュー)を解決するために、人工知能を適用していくか」を考えることが重要だ。つまり、「イシュー指向型」で人工知能の活用方法を考えることが、人工知能導入を成功させるためのキーとなる。イシュー指向型AI、データサイエンスについては、もともと慶應義塾大学の清木康教授が提唱していたものであり、それを受けて武蔵野大学データサイエンス学部のカリキュラムなどにも取り入れている。

ここでいう「イシュー指向型」とは、解決しなければならないイシューを見極め、その本質的な課題を起点にして人工知能の導入を進めていく方法を意味する。

人工知能導入の落とし穴

人工知能の導入を「イシュー指向型」ではない形で進めようとすると、「事例疲れ」や「PoC(ポック)疲れ」が起こることがある。

まず、「事例疲れ」だ。いくら自社と似ている事例でも、すべての条件が同じであるはずはない。だからいくら似た事例を集めても、導入につなげることは難しい。

「事例疲れ」に陥らないためには、既存の事例に合わせるのではなく、自社のイシューを解決するためのヒントとして事例を参考にするというスタンスで臨むとよい。

次に、「PoC疲れ」だ。PoC(Proof of Concept)は、新しい概念、理論、アイデアが本当に実現可能かどうかを検証する工程を指す。転じて「PoC疲れ」とは、実証実験ののち、導入やビジネスに結びつかずに頓挫してしまうことを指す。

「PoC疲れ」を避けるためには、「自社にとって解決すべきイシュー」を発見し、磨き、人工知能に活用できる形に細かく分解する作業をないがしろにしないことだ。イシューを解決できることがはっきりすれば、導入前に足踏みすることはなくなるだろう。

人工知能の分類

人工知能には、人間の知能そのものを持つ「強い人工知能」と、人間が知能を使って行うことを機械にさせようとする「弱い人工知能」がある。現在研究されているものの大半は「弱い人工知能」である。

また「汎用型人工知能」と「特化型人工知能」という分類もある。前者は、入力に応じて様々な役割をこなし、人間と同様もしくはそれ以上の能力を持つ人工知能のこと。後者は、何か一つの役割に特化した部分で性能を発揮する人工知能を指す。例えば、囲碁でプロ棋士を打ち負かした人工知能は、囲碁に限って人間の能力を凌駕(りょうが)する特化型人工知能だといえる。

現時点において実現され、ビジネスに応用できる人工知能は、弱い人工知能であり、特化型人工知能である。

「競争優位を生み出す人工知能」とは
Devrimb/gettyimages

現時点における「競争優位を生み出す人工知能」は、「特化型人工知能」である。例としては、Google HomeやAmazonのEchoといったスマートスピーカーが挙げられる。スマートスピーカーが搭載しているのは、「音声認識」という特化型人工知能だ。

スマートスピーカーは、デバイスを通じてユーザーの情報を取得している。取得した情報は、さらなる競争優位につながる。スマートスピーカーを通して得られた情報を分析することで、ユーザーの嗜好により合致したコンテンツを提供できるからだ。

要するに、

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要約公開日 2019.12.30
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