ニューエリート

グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち
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おすすめポイント

仕事上のやり取りに、メッセンジャーやスカイプなどのチャットアプリを使う人は多いだろう。たった10年ほど前まではメールが中心だったが、新しいテクノロジーの登場で、今やビジネスの常識も変化している。

「今、目の前にある世界は当たり前ではない」。これが著者の「変わらぬ」信念である。共産主義体制下のポーランドで生まれた彼は、10代のうちにベルリンの壁の崩壊や、冷戦終結による社会構造の激変を経験している。西側の資本主義が流入したことで、それまで地元の雇用を担ってきた企業や国有工場は倒産し、多くの人が失業した。

変化は急にやってくる。そしてその変化は避けることができない。だからこそ変化を受け入れ、乗りこなしていくことが大切だ。これが、本書の根底に流れるテーマだといえそうである。

本書は「グーグル流」と銘打っているが、実際にはグーグル流を消化した「ピョートル流」であり、著者の実体験に基づく、地に足ついたメソッドが多数紹介されている。しかも著者は日本在住歴17年ということで、日本の事情にも詳しい。本書に出てくる事例も、私たちに馴染みがあるものばかりで、とっつきやすいだろう。

本書はビジネス書の類ではあるが、主婦でも学生でもリタイアした方でも、「自分をもっとアップデートしたい」と望む者であれば誰もが楽しんで読むことができるだろう。変化を楽しみ常に学ぶこと。それが「成功者」になる第一歩なのである。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

ピョートル・フェリクス・グジバチ(Piotr Feliks Grzywacz)
ポーランド生まれ。ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を経て、2006年よりモルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、2011年よりグーグルにて、アジアパシフィックでのピープルディベロップメント、さらに2014年からは、グローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。現在は、独立して2社を経営。日本在住17年。ダイビングと合気道を行う。
著書に『0秒リーダーシップ』(すばる舎)、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』(SBクリエイティブ)がある。

プロノイア・グループ http://www.pronoiagroup.com
モティファイ株式会社 www.motify.work

本書の要点

  • 要点
    1
    今は変化の時代である。これまでの「成功者」がこれからの「成功者」になるとは限らない。これからは、「新しい価値を生み出す人」「自分の見たい世界を作る人」が時代をリードする。
  • 要点
    2
    チャンスをつかむ人は学び続ける人だ。学びの機会をあえて仕事の中に求め、投資として「インパクトが低く、学びが多い仕事」にもある程度取り組むとよい。
  • 要点
    3
    決断はスピーディに直感で。そうすれば素早く行動できるし、自分の価値観に近い判断を下せる。

要約

【必読ポイント!】これからの成功者とは

エリートの定義が変わる

東大やハーバード大の卒業生の中には、代々同大学を出ているというエリート家系の人がいる。裕福な家族が手厚い教育投資をし、子どもは有名大学へ進む。そして卒業後は弁護士や医者になるという、いわゆる典型的なエリートである。

しかし今やAIや自動化・アウトソーシング化により、これまでの仕事は急速に変わってきている。たとえば、現在エリート職種と認知されている弁護士になるためには、既存の法律の知識をつめこみ、過去の判例を学ばなければならないが、それらはAIにより自動化できる。アメリカの大手ソフトウェア会社シマンテックのサービスを利用すると、2日で57万件の文書を分析できるそうだ。もはや人間が太刀打ちできる次元ではない。おそらく、10年後の弁護士の仕事は、現在のそれとは大きく違っているはずだ。

つまり、今の「エリートコース」に乗ったからといって、安泰ではない。もっと言えば、そこから外れている人にも、チャンスがあるということだ。

大切なのは、未来の波を先読みしつつ、新しい波を自ら作ることだ。

新しい価値を生み出す
anilakkus/gettyimages

日本の大手企業では、だいたい20代後半から30歳頃にかけて、出世コースに乗る人と外れる人に選別される。出世コースから外されて、悩む社員は多い。

しかし社会を見渡すと、グーグル、フェイスブック、エアビーアンドビー、ウーバーのような、現在成功している企業は「新しく業界を作ろうとしている企業」であることに気づくはずだ。これをキャリアに置き換えてみると、社内の出世競争に価値があるのは、たまたま会社が安定し存続しているから。もし会社ごとなくなれば、効力は一瞬で消える。

一方で、たとえ会社に属していても、自分にしかできない仕事を作り出し、新規事業や社内起業で成功している人たちもいる。彼らこそ、会社という枠組みを超えて活躍できる人材だ。

グーグルには「就業時間の20%は好きなことをしていい」という20%ルールがある。世界中の美術品を鑑賞できるアプリ「Google Arts & Culture」は、まさにこのルールから生まれたサービスだ。日本の企業でもチャレンジできる環境は整っていくはずで、その中で新しい価値を生み出せるかどうかが、今後のキャリアアップの鍵となるだろう。さらに、会社や業界の外にも目を向け、さまざまなコミュニティを作ることも武器になる。

「自分が見たい世界」を作る
undefined undefined/gettyimages

これから時代をリードする人材は、「こういう世界を描きたい、見たい」という確かなビジョンを持っている。そして「見たい世界」を作るために、自分がやるべきことであるミッションを探し出し、それを果たしていく。

ビジョンには、実現しようとする意志の強さが必要だ。ビジョンを実現したいというエネルギー、すなわちパッションさえあれば、賛同者は必ず現れる。ビジョン、ミッション、パッションが揃えば、確実に結果を出せるのだ。

そして、新しい働き方において重要なのは、仕事でのアウトプットにプライドがあるかどうかということ。加えて、アウトプットを出すまでのプロセスを楽しんでいるか、ということである。今そのように感じられない人は、仕事の内容を見なおすか、仕事そのものを変えるか、どちらかを選択すべきだ。

学び続けて、自分をアップデートする

仕事の中で学ぶ

自分のスキルや生産性を高めるために、日常的な学びは欠かせない。しかし著者はあえてMBAなどを取るのではなく、仕事の中に「学び」の要素を取り込むことをすすめている。

自分の仕事を、インパクトと学びの高低でマトリクスにしてみよう。ちなみに、インパクトが高いとは、一定の時間で生み出す価値が高いことだ。すると、次の4つに分けられるだろう。

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要約公開日 2019.12.28
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