経営参謀としての士業戦略
AI時代に求められる仕事

未 読
経営参謀としての士業戦略
ジャンル
著者
藤田耕司
出版社
日本能率協会マネジメントセンター 出版社ページへ
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2019年06月30日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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経営参謀としての士業戦略
AI時代に求められる仕事
著者
藤田耕司
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日本能率協会マネジメントセンター 出版社ページへ
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2019年06月30日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
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レビュー

公認会計士兼税理士としてコンサルティング会社と会計事務所を設立した著者は、これまで1,000件超の経営相談を受けている、いわば経営参謀のプロフェッショナルである。本書はその著者が、AI時代において士業が取るべき事業戦略を解説したものだ。

士業の仕事は税務申告書の作成・提出など、制度として義務づけられた手続きを行う。いわば「買わなければならない商品」を扱っているわけだ。そのためこれまでは顧客や他の士業からの紹介などで、十分な収益を得られていた。しかし自動化が進む現代社会では、定型的で単純な手続き業務はAIに取って代わられ、価格競争も激化の一途をたどっている。いまここで行動を起こさなければ、単価の下落が見込まれる市場で、士業のビジネスモデルは成り立たなくなってしまう。

AI時代を迎えた市場で生き残っていくためには、自動化されにくい業務の割合を高めていくしかない。その業務こそが、経営者をサポートする経営参謀だ。経営者は業績拡大や新規事業の展開などの「攻め」の部分は得意でも、法律や会計といった「守り」の部分には疎いことが多い。この「守り」の部分は士業の専門分野であるため、士業は経営者の弱点を補完する経営参謀としてぴったりの存在というわけである。

「業務単価の下落が悩ましい」「激変するビジネス環境で将来が不安」と感じたことのある士業の方には、ぜひ本書を手に取って、今後の事業戦略の参考にしていただきたい。また将来のビジネス展開に悩むビジネスパーソンにとっても、本書は大いに参考になるだろう。今後取るべき行動のヒントが詰まった一冊だ。

木下 隆志

著者

藤田 耕司 (ふじた こうじ)
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、FSGマネジメント株式会社代表取締役、FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー

19歳から心理学を学び、心理カウンセラー等の複数の心理系の資格を取得。2011年に監査法人トーマツを退職し、コンサルティング会社と会計事務所を設立。人材育成から労務問題、採用、営業、マーケティングまで幅広い分野で、これまでに1,000件超の経営相談を受け、数字と人間心理の両面から経営改善を行う。また、これまでの経営改善事例から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理、自己の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営指導の成果を大きく高める。
現在、経営者人材や経営参謀の育成を目的として経営心理学を伝える経営心理士講座を主宰。全国から経営者や士業が集まっている。著書には『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社)、『もめないための相続心理学』(中央経済社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    技術進歩によって単純作業が自動化されていくなかで、士業は顧客との関わり方を「作業者」から「参謀」へと変化させる必要がある。
  • 要点
    2
    「自動化されやすい業務」については、効率化と低コスト化を行い、相場が下がっても利益が出せる体制を構築するべきである。
  • 要点
    3
    「自動化されやすい業務」の効率化によって生まれた時間を使い、「自動化されにくい業務」を拡充させるべきだ。そして参謀、経営参謀としての付加価値を高め、高単価で顧客を獲得するのである。
  • 要点
    4
    顧客が抱えている課題を引き出す上で重要なスキルは、「質問力」と「共感力」だ。

要約

これからの士業に求められること

日本のビジネスを左右する潮流

時代の流れを先読みして、人より先に動いてビジネスモデルを構築し、それを一気に横展開してシュアを確保する――ビジネスの成功者はそのような動きを取るものだ。ここで押さえるべきポイントは、「時代の流れに合ったビジネス展開をするべき」ということである。

では現代で先読みすべき「時代の流れ」とは何であろうか。業種業態を問わずに大きな影響を与える時代の流れとして、「少子高齢化」「グローバル化」「機械化」の3つが挙げられる。相続関連の市場拡大が見込まれる「少子高齢化」と、国際業務の機会が増える「グローバル化」の潮流は、士業にとってビジネスチャンスだ。一方で「機械化」という潮流は、士業にとって脅威となる。

機械が人間の仕事を奪う
Good_Stock/gettyimages

近年、機械化という文脈で注目を集めているのがAI(人工知能)だ。「AIが人間の仕事を奪う」「技術進歩によって機械が人間の仕事を奪う」といったニュースを耳にすることも多い。

この「機械が人間の仕事を奪う」という言葉が意味するのは、「技術進歩により業務の生産性が向上して、1人の人間がこなせる仕事量が増え、仕事をこなすのに必要な人間の数が減る」ということである。技術進歩によって従業者が仕事を失うことを「技術的失業」と呼ぶ。

ここでは「技術的失業」をさらに「直接的技術的失業」と「間接的技術的失業」の2つに分けて、士業に与える影響を分析していく。

2つの技術的失業

まず「直接的技術的失業」とは、自動改札や製造ロボットのように、新たな技術の登場で人間が不要になることを指す。

近年、AI関連分野で急速に進歩しているのが、学習機能によるパターン認識や「RPA」(Robotic Process Automation)による作業プロセスの自動化技術である。これにより影響を受ける代表的な業務が、会計の仕訳入力だ。AIなら過去の会計仕訳の内容を学習し、摘要や金額から内容を推測して自動作成できる。その他にも、パソコン上の単純作業は自動化が進んでいくと思われる。

一方で「間接的技術的失業」とは、技術革新により業務の低価格が進むことで、利益が出なくなり、ビジネスモデルが成り立たなくなることを意味する。

会計事務所であれば、かつては手書きで会計帳簿を作り、電卓を使って計算が合うかを確認し、合わなければその原因を調べて訂正していた。決算書ももちろん手書きだ。しかしいまでは会計システムに入力するだけで、会計帳簿も決算書も自動的に作成できるようになった。

このように技術革新で低コスト化に成功した企業は、売価を下げても利益が出る。そのため売価を下げることでより多くの顧客を獲得し、業界の相場を押し下げていく。

人間にしかできない仕事とは
Feodora Chiosea/gettyimages

どういった仕事が「人間の仕事」として残るのであろうか。

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