なぜ倒産
平成倒産史編

未 読
なぜ倒産
ジャンル
著者
日経トップリーダー(編) 帝国データバンク(協力) 東京商工リサーチ(協力)
出版社
定価
1,600円 (税抜)
出版日
2019年08月13日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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平成倒産史編
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日経トップリーダー(編) 帝国データバンク(協力) 東京商工リサーチ(協力)
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定価
1,600円 (税抜)
出版日
2019年08月13日
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総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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レビュー

本書は昨年発売され好評を得た『なぜ倒産』の続編であり、「平成倒産史篇」と銘打たれている、倒産をした中小企業の事例集だ。ただし前作が倒産の要因ごとに集められていたのに対し、本作は平成30年間の事例を時系列でまとめており、それ自体が平成の経営史として読めるようになっている。意欲的な編集である。

「成功はアート、失敗はサイエンス」というのが、前作から踏襲されたコアメッセージだろう。成功はいくつかの要因が組み合わさっており、時の運ということもある。だから成功談はおもしろいが、自社には取り入れにくい。それに対して失敗は、究極的には特定のミスによるものが多く、シミュレーションが容易であり、自社に置き換えて考えやすい。成功事例は再現性が低いが、失敗事例は再現性が高いのである。

さて、本書のなかで経営者の自死を取り上げた事例が2つあり、胸を突かれた。痛ましいことではあるが、自死は真の解決からは程遠い。その事実は本書でも示されている。また中小企業の経営者が銀行から金を借りるときに、かならずしも個人保証は必要ではないことを、要約者ははじめて知った。知り合いの経営者数人にも聞いてみたところ、ほとんどが知らなかったので、要約でも厚目に取り上げている。

本書は24社からなる事例集であるが、要約では具体的な事例には触れていない。薄めた事例を紹介するよりは……と考え、倒産からみる平成の経営史と、事例を読み解くための情報を中心にまとめた。そのことをあらかじめお断りしておく。

しいたに

著者

日経トップリーダー(編)
企業経営者向けの月刊誌(日経BP刊行)。1984年「日経ベンチャー」として創刊し、2009年「日経トップリーダー」に誌名変更。経営者の成長にコミットし、名経営者の独自の発想や高収益企業を支えるユニークな仕組みなどを取材、分かりやすく解説する。本書の題材となった「破綻の真相」は、1992年「倒産の研究」として始まり、四半世紀以上続く人気連載。

本書の要点

  • 要点
    1
    経営はカネの出入りをきちんと把握しておくことが基本である。バブル崩壊後は、放漫な経営を続けたため倒産した中小企業が多かった。
  • 要点
    2
    次いで重要なのがヒトである。創業者やオーナー経営者の場合、適切な助言者が身近にいないことはリスクになる。人材不足から事業承継がうまくいかず、経営が立ち行かなくなる企業も多い。
  • 要点
    3
    たとえいま事業が好調でも、信頼できる弁護士を探す、使える制度に目を配るなど、企業経営者は倒産のリスクに備え、日ごろから手を打っておくべきである。

要約

平成の30年、経営の進化

バブルからの脱却(1990年代)
Yagi-Studio/gettyimages

平成はバブル絶頂の1989年に幕を開けた。だが早くも2年後の91年、バブルは崩壊する。その間、ほとんどの経営者、識者、そしてメディアは「一時的な後退局面」と捉え、バブルの余韻に浸っていた。

そのような90年代前半を象徴するのが、地価の暴落などに起因する「バブル型倒産」だ。経営者のマインドとしては、「売上至上主義からの転換」ができたかどうかが明暗を分けた。バブルの熱狂の下で、「売り上げさえ伸ばしていれば大丈夫」という経営をそのまま続けてきた企業は、財務管理の未熟さによって次々と倒産した。言い換えるならば、どんぶり勘定を改められなかったのである。

生き残った日本企業は、この教訓を受けて、徐々に売上市場主義からの脱却を図り、利益重視、キャッシュ重視の経営に舵を切っていく。

90年代の後半には、「貸し渋り」という言葉が広がる。金融機関の経営破綻が相次いだ97、98年には、これが原因で倒産する中小企業が増加した。

デフレへの対応(2000年代)

00年頃をピークに、日本の生産年齢人口(15~64歳)は減少に転じる。02年頃には景気が反転し、日本経済に明るい兆しが見られるかと思われた。しかし製造業がパソコンや携帯電話の市場拡大などで比較的潤っていた一方で、人口動態の影響を受けやすいサービス業では顧客の奪い合いが激しくなり、デフレの流れが決定的になった。

景気が回復しても経営は一向に楽にならない。この時代、中小企業の経営者に問われたのは、市場縮小に対応した新しい事業モデルへの転換であった。

こうした流れに、2つの要素が加わった。1つはデジタル化の進展である。フィルムからデジタルに移行したカメラが典型的であるが、インターネットの普及も相まって、消費者の金と時間を巡る競争環境が複雑さを増した。

もう1つは、戦後に創業した会社の多くで、事業承継の時期を迎えたことである。後継者選びに失敗したり、承継のタイミングが遅れたりした企業は、時代の変化に堪えられなかった。

求められる事業の再定義(2010年代)

近年の傾向で特徴的なのは、企業倒産に占める老舗企業(業歴30年以上)の構成比が増加していることである。

15年に日本の総人口が減少に転じ、あらゆる業界で市場縮小が鮮明になった。過去の勝ちパターンを大きく見直さなくてはならない時期に入ったため、過去のやり方こそが資産と考え、変化を拒む老舗はどんどん倒れていった。

どんな企業にも、創業期、成長期、安定期といったライフサイクルがある。企業が成長を続けるには、折に触れ自社の事業を見直すことが必要だ。事業の本質的な価値に立ち返り、市場の変化に合わせて「再定義」する。それを踏まえて次の一手を打ち続ける。今後はますますそうした取り組みが求められていくだろう。

【必読ポイント!】 倒産のシミュレーションをしよう

私的整理
Chalirmpoj Pimpisarn/gettyimages

倒産を経験した経営者の多くが、「もっと早目に決断をしていれば」と後悔している。後手に回った要因には、「何とかなるのではないか」という、物事を先送りにする気持ちもあるが、倒産についての知識不足も関係している。

倒産のシミュレーションをする際は、関連法制の枠組みだけでも知っておきたい。

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