ソフトウェア・ファースト
あらゆるビジネスを一変させる最強戦略

未 読
ソフトウェア・ファースト
ジャンル
著者
及川卓也
出版社
定価
1,900円 (税抜)
出版日
2019年10月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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ソフトウェア・ファースト
ソフトウェア・ファースト
あらゆるビジネスを一変させる最強戦略
著者
及川卓也
未 読
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出版社
定価
1,900円 (税抜)
出版日
2019年10月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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レビュー

時価総額ランキングを見れば、GAFAなどの米国IT企業のみならず、中国のIT企業が上位に並ぶ。一方で日本からは、そんなIT企業は出ていない。米国・中国と日本は何が違うのか。そんな疑問を抱いたことがある人も多いのではないだろうか。

著者はその原因の一つとして、日本企業のIT軽視があるという。製造業が強いがゆえ、デジタルよりアナログを重視し、ITを単なる業務効率化ツールとして捉えてきたのだ。ITシステム開発を外部のITベンダーに丸投げした結果、IT活用のノウハウが社内に蓄積されないままになっている。

一方、GAFAのみならずアリババやテンセントなどといった中国企業は、本書のタイトルでもある「ソフトウェア・ファースト」だ。IT(とそれを構成するソフトウェア)活用をベースに事業を構築し、徹底的なデータ活用で顧客体験を最適化している。

現在のビジネスにおいては「ただ買ってもらえればいい」ではなく、「継続して使い続けてもらえること」がより重要となった。だからこそ「ソフトウェア・ファースト」な企業が台頭しているわけだ。

ただし著者は、ソフトウェアが万能だと言っているわけではない。ソフトウェアの可能性と限界を理解し活用していくことが重要だとも書いている。そのうえで「ソフトウェア・ファースト」な組織体制の整え方、採用、個人のキャリアの築き方などを考えていかなければならないのだという。本書にはそれらの情報が網羅されているので、IT業界以外の人にもぜひお読みいただきたい。

若旦那

著者

及川 卓也(おいかわ たくや)
大学卒業後、DEC(ディジタル・イクイップメント・コーポレーション)に就職してソフトウェアの研究開発に従事する。その後、MicrosoftやGoogleにてプロダクトマネジャーやエンジニアリングマネジャーとして勤務の後、プログラマーの情報共有サービスを運営するIncrementsを経て独立。2019年1月、テクノロジーにより企業や社会の変革を支援するTably株式会社を設立

本書の要点

  • 要点
    1
    現代においては、映画業界から農業、国防までさまざまな業界がソフトウェアによってディスラプトされ、ソフトウェアが企業の競争力を左右するようになっている。
  • 要点
    2
    クラウド化などの変化に乗り遅れた日本企業は、世界市場で存在感を失った。
  • 要点
    3
    デジタル・トランスフォーメーションでは、ITの企画、設計、実装、運用まで全てのフェーズを自らコントロールできるようにしなければならない。

要約

ソフトウェア・ファースト

ビジネスモデルの変化
west/gettyimages

近年、AppleMusicなどの音楽配信サービス、GmailやGoogleドライブ、さらには会計ソフトウェアや勤怠管理システムなど、ありとあらゆるものがSaaSとして提供されるようになった。SaaSはSoftware as a Serviceの略で、ソフトウェアをクラウドの形態でサービスとして提供するもののことを言う。

SaaSは、ビジネスモデルに大きな変化をもたらした。従来、IT事業者はソフトウェアをパッケージ販売するのが主流であった。ひとたびパッケージソフトを販売すると、保守サービスを通じてしかユーザー接点が持てない。販売後に得られる収益も保守サービス費とユーザー数が増えた場合の追加ライセンス料金のみとなる。ソフトウェアが使われ続けても、ユーザーが新しいバージョンにアップグレードしない限りは収入にはならなかった。

ところがSaaSでは、ビジネスはサブスクリプション型となる。このビジネスモデルでは、購入された直後の収益は少ない。だが、継続して利用されることで利益が上がる仕組みだ。

また技術面においても、Webを通じて常にユーザーの利用状況を把握でき、プロダクトをスピーディーに改善できるようになった。その一方で、利用状況に基づいて改善しなければすぐに解約されてしまう。

ソフトウェア・ファーストとは

ソフトウェア・ファーストとは、IT(とそれを構成するソフトウェア)活用をベースに事業やプロダクト開発を進めていく考え方である。ソフトウェアは一つの手段でありながら、既存の産業構造や製品・サービスのあり方を根底から覆すような破壊力を持っているのだ。

Web黎明期にブラウザを開発したことで有名なネットスケープ創業者のマーク・アンドリーセン氏は、2011年、「Why Software is Eating the World」というレポートを発表した。レポートで彼は、映画業界から農業、国防までさまざまな業界がソフトウェア企業によってディスラプト(破壊)されていると指摘。いずれすべての企業がテクノロジー企業になっていくと予測した。

それから8年が経ち、彼の予測通り、凄まじい破壊力を持つソフトウェアが企業の競争力を左右するまでになっている。一方、ソフトウェアだけで解決できない領域も明らかになりつつある。

ソフトウェア・ファーストにおいては、ソフトウェアの特徴や可能性、限界を理解してプロダクト開発や事業開発に活用していく姿勢が重要だ。また、ソフトウェア技術を理解して事業に活用できる人材と、そうした人材が活躍できる組織体制も欠かせない。

【必読ポイント!】日本の課題

失われた競争力
metamorworks/gettyimages

戦後、日本を世界屈指の経済大国としたのは、製造業を中心とした輸出産業である。70年代までは繊維や鉄鋼業、80年代以降は自動車、家電、半導体、スーパーコンピューターなどのハイテク製品が輸出された。

日本企業は半導体市場において、自社製の半導体を開発するだけでなく、それらを用いて汎用機からパーソナルコンピューターまでさまざまなタイプのコンピューター製品を安価に製造していた。そんなことが可能だったのは、世界最高レベルの技術力を持っていたからだと言えるだろう。

しかし90年代に入ると、状況は徐々に変わっていく。

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