売上を、減らそう。

たどりついたのは業績至上主義からの解放
未読
日本語
売上を、減らそう。
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たどりついたのは業績至上主義からの解放
未読
日本語
売上を、減らそう。
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2019年06月17日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

『売上を、減らそう。』、なんと衝撃的なタイトルだろう。どの企業も売上を伸ばし、業績を上げるために必死だというのに、どういうことだろうか。

著者は京都の小さな定食屋「佰食屋」を経営している。売上を追うことをやめ、「1日100食限定」を掲げることで、「社員の働きやすさ」と「会社の利益」の両方を実現している。本書は、そんな画期的な佰食屋の経営手法を余すことなく解説した一冊で、読者が選ぶビジネス書グランプリ2020 イノベーション部門賞を受賞した作品だ。「年収は百貨店と同水準」「18時には全従業員が帰宅」「賞与は年3回」「有給休暇は100%取得」。飲食業界の常識を覆すような言葉が並ぶ。これらはすべて、1日100食限定と決めたことによる効果だという。

「社員を犠牲にしてまで追うべき数字なんてない」。著者のこうした信念のもとに、従業員全員が働きやすく、持続可能な「奇跡のビジネスモデル」が誕生した。結果、佰食屋では、いろいろな背景をもつ人が生き生きと働いており、ダイバーシティが実現されている。働き方改革が叫ばれて久しいが、労働力人口の減少の進展とともに、業績至上主義は限界を迎えつつある。私たちは「豊かさ」について真剣に問い直し、新たな働き方や経営の道を模索すべきではないだろうか。本書はそのための大事な視点を与えてくれる。

佰食屋のような超ホワイト企業が、どのように生まれ、維持されているのか。そこには、絵空事ではない、「経営と働き方のイノベーション」があった。日々追われる「数字」をいったん忘れて、ぜひとも本書をお読みいただきたい。

ライター画像
池田明季哉

著者

中村朱美(なかむら あけみ)
1984年生まれ、京都府出身。専門学校の職員として勤務後、2012年に「1日100食限定」をコンセプトに「国産牛ステーキ丼専門店 佰食屋」を開業。その後、「すき焼き」と「肉寿司」の専門店をオープン。連日行列のできる超・人気店となったにもかかわらず「残業ゼロ」を実現した飲食店として注目を集める。また、シングルマザーや高齢者をはじめ多様な人材の雇用を促進する取り組みが評価され、2017年に「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選出。2019年には日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」大賞(最優秀賞)を受賞。同年、全国に「働き方のフランチャイズ」を広めるため、100食限定をさらに進化させた「佰食屋1/2」をオープン。従来の業績至上主義とは真逆のビジネスモデルを実現させた経営者として、最も注目される起業家の一人。

本書の要点

  • 要点
    1
    1日100食限定にし、それ以上の売上を諦めれば、従業員もお客様も満足できる経営が実現できる。
  • 要点
    2
    100食限定だからこそ、早く帰って、その後の時間を自由に過ごせる。これが最高のインセンティブとなる。
  • 要点
    3
    「誰がやってもできる仕事」にこだわることで、マイノリティ人材も活躍でき、従業員、お客様両方のダイバーシティが実現した。
  • 要点
    4
    1日100食という目標以外すべての数字を捨てたことで、業績至上主義から解放された。

要約

「100食限定」だからこそのメリット

厳しい飲食業界の現実
佰食屋

国税局の発表する民間給与実態統計調査によると、業種別の平均年収で「宿泊業・飲食サービス業」は最も低い253万円だった。慢性的な人手不足、そしてそれを補うための過重労働。にもかかわらず、賃金は上がらず疲弊していく。これが飲食業界の現実だ。

売上を上げ、利益を得るために、経営者は利益率の高いアルコールを販売しようと考える。それには夜間営業が不可欠だ。夜はお客様によって飲食の時間がまちまちになるので、営業時間が長くなる。また、同じだけテナント料を払うなら、長時間営業したほうがいいという発想になる。そこからランチ営業、朝食営業、さらには24時間営業へと膨らんでいく。こうして朝から深夜までの長時間勤務、年中無休という理不尽な状態が生まれる。

生活の根幹を担う「食」に関わる人たちが、しっかりと休めず、家族と過ごす時間もままならない――。著者は佰食屋を通じて、こうした現状を打破し、理想とする働き方を実現しようとした。

100食限定、それ以上は売らない

佰食屋とは、サービスを極限まで絞ることで売上を上げている店だ。「100食限定」は、サービスを絞り、それ以上の売上を諦めることでもある。この方針により、想像を超えたブレークスルーが生まれた。具体的なメリットを紹介していこう。

まずは従業員が早く帰れることだ。佰食屋の営業時間は、11時から14時半または15時まで。最長でも4時間で100食を売り切る。そのため正社員でも17時45分には帰ることができる。

また、正社員は勤務時間を自分で決められる。子育てや介護など、個々人の状況に合わせて柔軟に対応できるのが特徴だ。

「早く帰れる」は金銭以上のインセンティブ

佰食屋は「営業時間」ではなく、「売れた数」を区切りにしている。通常の飲食店では、忙しい日になると労働時間が延び、従業員は次第にやる気を削がれてしまう。一方、売る上限を決めていれば、「お客様が多い日=忙しくない日」となる。佰食屋では整理券配布の仕組みをとっているが、お客様が早く集まれば、その分整理券を早く配り終えられる。よって、営業時間中は厨房と接客に集中しやすいのだ。早く帰れるために、通常は敬遠されがちな土日祝日の勤務も、従業員は進んで行う。早く帰れることは、それほど魅力的なインセンティブなのである。

人生の幸福度を決めるカギは「自己決定権」だ。就業時間や働き方、仕事内容、役職、そして帰宅後の時間の使い方を、すべて自分で決められる。それが納得のいく幸せな人生につながっていく。

「毎日を丁寧に暮らしたい」と願う人は多いが、そのためには物理的な時間が必要だ。心の余裕と時間は、ベーシックインカム以前に、人生において保障されるべきものである。

100食限定で「フードロスほぼゼロ化」を実現
佰食屋

整理券配布、100食限定というビジネスモデルは、フードロス削減にも効果的だ。佰食屋では、電話やインターネットによる予約を一切受けつけていない。それは、無断キャンセルを減らすためだ。整理券を配る際は、必ず客と従業員が顔を合わせる。その時点で「顔なじみ」の関係が生まれ、無断キャンセルの発生が格段に減るのだ。そしてフードロスが少ない分、食材の質にお金をかけられる。

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