「畳み人」という選択

「本当にやりたいこと」ができるようになる働き方の教科書
未読
「畳み人」という選択
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「畳み人」という選択
出版社
プレジデント社

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出版日
2020年02月28日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

壮大なアイデアという大風呂敷を広げる経営者やリーダー。彼ら「広げ人」は脚光を浴びることが多いが、実際には、彼らのアイデアを実現可能な状態へと導いていく「畳み人」こそ、ビジネスで重要な存在ではないのか? そんな問いを提起し、「畳み人」としてキャリアを開花させる方法を解説した一冊が登場した。

著者は、マイナビから幻冬舎に転職し、電子書籍やコンテンツマーケティングなどの新規事業を成功に導いてきた。現在は、ブロックチェーン専門メディア「あたらしい経済」の編集長や、幻冬舎の関連会社の取締役を複数兼務している。著者がやりたい仕事を次々に実現できているのは、畳み人としてキャリアを積んできた賜物だといえる。

その経験から導き出された仕事哲学・マネジメント術は、経営層とチームメンバーの間に立って、メンバーをマネジメントしていく立場にある方にとっても実に有意義だ。何より、畳み人というポジションに光を当てたいという、熱い思いが伝わってくる。

いくら斬新なアイデアが生まれても、それを着実に実行し、形にしていく畳み人がいなければ、そのアイデアから価値は生まれない。イノベーションが求められる現在、畳み人のニーズは高まる一方だ。畳み人の意義やキャリアの可能性を知るにつれ、畳み人こそがどんな業種でも引っ張りだことなる、最強の「仕事人」だと気づくはずだ。

畳む技術を存分に発揮していけば、やがては「本当にやりたいこと」を実現するときに必要なスキルと人とのつながりが生まれていることだろう。

ライター画像
木下隆志

著者

設楽悠介(しだら ゆうすけ)
株式会社幻冬舎編集本部コンテンツビジネス局局次長/あたらしい経済編集長
1979年生まれ。明治学院大学法学部卒。マイナビを経て、幻冬舎に入社。同社でコンテンツビジネス局を立ち上げ、電子書籍事業・WEBメディア事業・コンテンツマーケティング・新規事業等を担当。仮想通貨・ブロックチェーンに特化したメディアプロジェクト「あたらしい経済」を創刊し編集長に。マンガ出版の幻冬舎コミックス、CAMPFIRE との合弁会社エクソダス、その他関連企業の取締役を複数社兼務。またエン・ジャパンの新規事業「pasture」のアドバイザーも務める。個人としてNewsPicks 野村高文氏とのビジネスユニット「風呂敷畳み人」を組み、Voicy で「風呂敷畳み人ラジオ」の配信や「風呂敷畳み人サロン」など、数々のビジネスコンテンツを発信。イベント登壇やメディア出演も多数。またサウナ好きがこうじて「サウナサロン」も主宰。

本書の要点

  • 要点
    1
    畳み人の仕事とは、広げ人のアイデアを実行可能な戦略に落とし込み、そのプロジェクト全体を牽引して成功に導くことである。
  • 要点
    2
    畳み人にとって、広げ人のアイデアをはじめは面白がることが大切である。それにより、後日そのアイデアに対する意見や提案をしやすくなる。
  • 要点
    3
    畳み人の醍醐味は、広げ人のアイデアをアレンジし、「クロスカウンターが決まったような痛快な瞬間」を味わえることである。
  • 要点
    4
    広げ人にも畳み人のスキルは欠かせない。畳み人の経験があるからこそ、広げ人は大いに風呂敷を広げられる。

要約

畳み人が求められる理由

「風呂敷畳み人」とは何か?

壮大なアイデアという大風呂敷を広げる経営者やリーダー。彼らを「広げ人」とするならば、仕事のアイデアを形にして実行に移す人を「畳み人」と呼ぶことができる。畳み人とは、リーダーを支える名参謀や右腕といった存在に近い。

会社の役職であれば、CEOが広げ人で、日々の業務執行の責任を請け負うCOO(最高執行責任者)が畳み人といえる。新規事業であれば、プロジェクトリーダーが広げ人で、リーダーと現場メンバーをつなぐNo.2の存在が畳み人だ。

では畳み人の仕事とは何なのか。広げ人の仕事がアイデアを0から1にすることならば、畳み人の仕事はその1を100にすることといえる。具体的には、広げ人の側近として一緒にアイデアを組み立て、それを実行可能な戦略に落とし込み、社内外での根回しをして、チームをマネジメントすることで、その事業全体を牽引して成功に導く。これが畳み人の仕事なのである。

なぜ畳み人が求められるのか?
taa22/gettyimages

「いいアイデアをひらめいても、プロジェクトがなかなか進行しない」。こんな悩みを抱える経営者やリーダーは多く存在する。アイデアを具体的に進められる人材が、社内でなかなか見つからないのだ。

一方で現場からは、「プロジェクトをどう進めたらいいかわからない」「上層部の意見がコロコロ変わる」という声が多くあがっている。プロジェクトには、予算組み、社内外のメンバー集め、スケジュールの段取り、資金集めといった細かな業務が発生する。これらの業務に着実に対処し、アイデアを実行に移せる人材は、経営者やリーダーから非常に重宝される。つまり畳み人とは、どの企業も喉から手が出るほどほしがるスター人材だ。例えば、スティーブ・ジョブズ氏とともにピクサーを立て直したローレンス・レビー氏、任天堂を世界企業に押し上げた山内溥氏のアイデアを具現化させた岩田聡氏。このように、成功を収めた企業には、必ず畳み人が存在しているのである。

【必読ポイント!】 畳み人としての仕事の進め方

広げ人のアイデアを「はじめは」一緒に面白がれ

畳み人が仕事を進めるうえで重要なポイントは何か。それは、広げ人がアイデアを出して畳み人に意見を求めた際に、そのアイデアの「面白いところ」を探し出して、そのアイデアを「はじめは」面白がることである。

広げ人が出すアイデアというのは、突拍子もなく実行困難なものが多い。しかし、すぐ実行できそうにないからこそ、そのアイデアには大きな価値がある可能性が高い。広げ人としては、まずは共感してほしい、「いいですね!」と背中を押してほしいという思いもあるだろう。

だからこそ、アイデアを聞いた畳み人は、そのアイデアの「面白いところ」を探すようにしたい。懸案事項はいったん脇に置いて、共感できるポイントを大いに面白がるのだ。すると、広げ人とのコミュニケーションに変化が生まれていく。

アイデアの共犯者として軌道修正できるポジションを
DragonTiger/gettyimages

広げ人のアイデアを一緒に面白がることのポイントは、「はじめは」という部分である。これにより、アイデアの共犯者になることができ、その後軌道修正の提案がしやすくなる。

人は自分のアイデアを最初に否定されると、否定した人の意見に耳を傾けない傾向がある。一方で、自分のアイデアに共感した人のアドバイスには、耳を傾けようとする。

そのため、広げ人のアイデアに対して何らかの意見や提案をしたいならば、まずはそのアイデアを面白がることが有効である。これこそが畳み人の最初に取るべきポジションだ。

広げ人のことを世界で一番理解しろ

広げ人のなかには、自分で出した意見をすぐに変えてしまうタイプなど、様々なタイプが存在する。そこで畳み人に求められるのは、広げ人のことを世界で一番理解しようと努めることである。著者は、広げ人とプロジェクトを進める際、広げ人の行動、考え、癖などを含めて、広げ人のことを誰よりも理解するようにしているという。

広げ人を理解するには、とにかく観察することに尽きる。広げ人の発言の意図やそのときの心理状況を想像するのだ。特に一緒に働き始めて間もない頃であればあるほど、この習慣が大事になる。

広げ人は孤独な存在だ。社内から反発や抵抗を受けることもある。そんなとき、畳み人が広げ人の一番近い味方になれば、どんなに心強いだろうか。広げ人が周囲に迷いや不安を見せなくても済むよう、畳み人は積極的に広げ人の不安や迷いを受け止めるようにしたい。

感情的になるな、冷静さを保て

広げ人と一緒にいると、「感情の起伏が激しくてつきあうのが難しい」と思うことがあるかもしれない。畳み人にとって大事なのは、感情的にならずに、常に冷静さを保つことだ。特にプロジェクトのミスやトラブルに対応するためには、畳み人は冷静に状況を判断し、次の一手を考えなければならない。

ではどのようにして、冷静さを保つのか。ポイントは、「自分はチームにおいて一番冷静でいよう」「物事を俯瞰的に捉えよう」と意識することだ。

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要約公開日 2020.03.31
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