Think Smart

間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法
未読
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出版社
サンマーク出版

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出版日
2020年01月22日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

どうすれば成功を収め、幸福になれるのか。誰もが知りたいであろう、この究極の問いの答えは未解明なのだという。ただし、拍子抜けする必要はない。何が人々の成功や幸福を遠ざけるのかを知り、先手を打っておくことは可能だ。その際に役立つのが、認知心理学や行動経済学などの学術研究から導き出した52の思考法である。この思考法をまとめた本書は、スイスの知の巨人であり、日本でもベストセラーとなった『Think clearly』著者による、待望の新刊だ。

思考の罠は、さまざまな形で私たちのもとに忍び寄ってくる。たとえば、やるべきことを先延ばしにし、土壇場で焦ってしまう。「この商品をお得に買える最後のチャンス」という言葉につられて、ほしくもないものを購入する。仕事の計画を立てても、その通りに進まない――。要約者は何度耳が痛かったことか。

人類の進化の過程で構築されてきた思考・行動パターンを正せるようになるには、時間がかかるだろう。だが、思考の誤りを学べば、大事な意思決定で「すべきでないこと」を排除でき、失敗の数をいまよりも確実に減らせる。それが人生の向上につながるという希望を見出すことができた。

アリストテレスは、「賢人がめざすべきは、幸福を手に入れることではなく、不幸を避けることだ」という格言を残している。その意味をかみしめながら、要約では52の思考法の一部を紹介している。これらは人生という航海において賢く船を進めるための「思考の礎」となってくれるはずだ。新年の抱負をたてたものの、実現できるか心もとない方には必読の内容といえる。

ライター画像
松尾美里

著者

ロルフ・ドベリ
作家、実業家。1966年、スイス生まれ。スイス、ザンクトガレン大学で経営学と哲学を学び、博士号を取得。スイス航空会社の複数の子会社で最高財務責任者、最高経営責任者を歴任後、ビジネス書籍の要約を提供する世界最大規模のオンライン・ライブラリー「getAbstract」を設立。35歳から執筆活動をはじめ、ドイツ、スイスなどの主要紙や、ビジネス・経済誌を中心にコラムを多数執筆。著書は40以上の言語で翻訳出版され、著者累計売上部数は250万部を超える。前著『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』(サンマーク出版)は日本でもベストセラー。余暇を利用して書いた小説は、ドイツのディアゲネス出版社より刊行されている。スイス、ベルン在住。
https://www.dobelli.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    大事なことを「先延ばし」しないようにするには、リラックスする時間を設けること、注意が逸れる原因となるものをあらかじめ排除しておくこと、そして期限を設定することが効果的だ。
  • 要点
    2
    私たちは、ほかの人も自分と同じように考えると思いこんでしまう。これを防ぐには、自分自身に対して懐疑的になることが重要となる。
  • 要点
    3
    フラッシュバルブ記憶のように、非常に鮮明に感じられる記憶でさえ、半分は間違いだといえる。
  • 要点
    4
    「最後のチャンス」と聞くと、私たちは分別をなくす。大事な決断の前には「思考の罠」にはまっていないか熟慮が必要だ。

要約

新年の抱負が達成できないわけ

なぜ大事なことをいつも「後回し」にするのか?
Creative-Family/gettyimages

今年こそフィットネスセンターに行こう。このような新年の抱負を掲げても、実行できたことはあるだろうか。重要だが厄介な行為になかなか取りかかれない傾向を、研究者は「行為の先送り」または「先延ばし」と呼ぶ。先延ばしは不毛な行為だとわかっているのに、私たちはなぜ大事なことを後回しにしてしまうのか。

それは、「始めてから成果が出るまでに、時間がかかる」からだ。その時間を耐えるには強い意志力が必要となる。ところが、意志力を持続させることは難しい。エネルギーを消費しきってしまうと、その後しばらくは難題をこなせるだけの力を失ってしまうためだ。

期限を設定せよ

では「先延ばし」を避けるにはどうしたらいいのか。大事なのは、リラックスしたり、横道に逸れたりするインターバルを設けることだ。また、横道に逸れたままにならないよう、注意を逸らす要因をあらかじめ排除しておくのもよい。著者は、長編小説を書く際は、ネットサーフィンの誘惑にかられないよう、インターネットの接続を切っているという。

特に効果的なのは「期限を設定する」ことだ。心理学者のダン・アリエリーは、外部から期限が設定されている場合が、先延ばしを最も効果的に防げることを突き止めている。自分で期限を設ける場合は、やるべきことをいくつかのパートに分けて、パートごとに期限を設けるようにしたい。明確な中間目標がなければ、新年の抱負が失敗に終わるのは目に見えているのだ。

比較しすぎると、いい決断ができなくなってしまうわけ

私たちが陥りがちな「決断疲れ」

あなたがもし、これからCEOの前で正念場となるプレゼンテーションを控えているとしよう。開始時間には、午前8時、午前11時、午後6時が提示されている。心理学的に、果たしてどの時間が最適なのだろうか。

比較し、吟味し、決断をすると、私たちは疲弊してしまう。こうした状態を「決断疲れ」と呼ぶ。意志力が消耗した結果、消費者は広告に惑わされやすくなり、衝動買いに走ってしまう。また、重要な決定を下す立場にある人は、誘惑に惑わされやすくなるという。

なぜ、IKEAのレストランは順路の真ん中にあるのか?
Kikovic/gettyimages

意志力を充電するには、休憩をとってリラックスしたり、何かを食べたりするとよい。血糖値が低いと、意志の力は衰える。

そのことを熟知しているのが、スウェーデンの家具メーカーIKEAだ。同社は、レストランを順路の真ん中に設けている。その理由はなぜか。

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要約公開日 2020.01.21
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