未来を創るプレゼン

最高の「表現力」と「伝え方」
未読
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未来を創るプレゼン
出版社
プレジデント社

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定価
1,100円(税込)
出版日
2020年05月26日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

近いうちにプレゼンをしなければならないとしたら、あなたはどう感じるだろうか。少なからず緊張し、できることならやりたくないと感じるかもしれない。プレゼンに苦手意識を持っている人は多いものだろう。

本書の著者である伊藤羊一氏と澤円氏は、年間300ほどにものぼるプレゼンを行う、「プレゼンの神」だ。そう聞くと、プレゼンが得意な人たちがそれを生業にしているだけで、自分とは違う世界の話だと感じられるかもしれない。だが実は、そうではない。

伊藤氏と澤氏は、どちらも挫折を経験し、それを糧にしながら成長し、自分の想いを伝える手段としてプレゼンを選んだのだという。驚くほどたくさんのプレゼンを行う著者らであっても、人前で話すことが得意だからプレゼンを始めたわけではないのだ。そして、表現は違えど、2人の主張は根底では共通している。

私たちは変化の激しい社会のなかで生きている。そのなかで、自分はどうありたいのか、何をするべきなのかという問いはこれまで以上に重要な意味を帯びてくる。それを突きつめて考えた先には、きっと創りたい未来があるはずだ。プレゼンは、その未来を実現するための強力な武器になり得る。

本書を読み終えると、単にプレゼンのノウハウを知ったということにとどまらず、自分が伝えたい想いは何か、創りたい未来はどんなものかという本質的な問いについて考えざるを得ないだろう。

ライター画像
池田友美

著者

伊藤羊一(いとう よういち)
ヤフー株式会社コーポレートエバンジェリスト、Yahoo!アカデミア学長。株式会社ウェイウェイ代表取締役。1967年、東京都に生まれる。東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。2003年、プラス株式会社に転じ、事業部門であるジョインテックスカンパニーにてロジスティクス再編、事業再編などを担当し、2011年より執行役員マーケティング本部長、2012年より同ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括する。2015年にヤフー株式会社に転じ、次世代リーダー育成を行うだけでなく、グロービス経営大学院客員教授として教壇に立つほか、大手企業で様々な講演・研修を実施している。著書には、『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』『「わかってはいるけど動けない」人のための 0秒で動け』(ともにSBクリエイティブ)、『やりたいことなんて、なくていい。将来の不安と焦りがなくなるキャリア講義』(PHP研究所)などがある。

澤円(さわ まどか)
日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。株式会社圓窓代表取締役。
1969年生まれ、千葉県出身。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報共有系コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年、マイクロソフトテクノロジーセンター・センター長に就任。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみ授与される、ビル・ゲイツの名を冠した賞を受賞した。現在は、年間300回近くのプレゼンをこなすスペシャリストとしても知られる。ボイスメディア「Voicy」で配信する「澤円の深夜の福音ラジオ」も人気。著書には、『外資系エリートのシンプルな伝え方』(KADOKAWA)、『マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    輝かしい経歴の著者らでも、挫折や劣等感を感じる経験が多くあり、そうした経験が現在の活躍の礎となっている。
  • 要点
    2
    プレゼンで相手の心を動かすためには、自分の伝えたいことではなく、聞き手やアピールする対象にフォーカスをあて、相手本意で伝え方や内容を考えなければならない。
  • 要点
    3
    プレゼンによって聞き手をアクションに導くには、序盤でエピソードを語り、中盤で問題提起をし、終盤で結論を示してクロージングするのが効果的だ。

要約

伊藤氏:譲れない想いを持て

拒絶された経験
KatarzynaBialasiewicz/gettyimages

本書ではまず、伊藤羊一氏(以下、伊藤氏)と澤円氏(以下、澤氏)の経験してきた失敗や挫折と、そこから得られた両氏の信念が紹介される。

伊藤氏はこれまでのキャリアを通して、「人は変われる」というメッセージを伝え続けてきた。その背景には、自分自身がかつて「へっぽこな状態」から成長してきたという意識がある。

伊藤氏が斜に構えて生きるようになったのは、高校1年生のときにテニス部をクビになったことがきっかけだった。中学から硬式テニスに打ち込んでいた伊藤氏は、学校のテニス部だけでなく近所のテニスクラブでも練習し、のちにトッププロとなる選手たちと試合ができるほどに強くなっていた。しかし、学校の部活の練習にはあまり出ていなかったことから、クビを言い渡されたのだ。すべてをかけてテニスをやっていたのに、人から拒絶された――そう感じ、あっさりとテニスをやめてしまった。

それからは授業をサボって繁華街へ繰り出してばかりで、勉強もせず、現役で大学に進むことができなかった。浪人中も、なりふり構わず勉強することをかっこ悪いと感じていたため、「東大なんて余裕だ」と斜に構えたふりを続ける。大学に進学できてからも、優秀な人に囲まれてコンプレックスがどんどん増していき、人と触れ合うのが嫌になっていった。

人は変われる

新卒で日本興業銀行へ入社すると、「研修不合格」を言い渡される。研修不合格になったのは、160人いる同期のうちたった4人だった。その後に課された通信教育すら終えられず、不良社員として社会人生活をスタートすることになった。

上下関係が厳しい時代だったことも手伝って、会社に通うのが苦痛になり、まともに眠ることすらできず、生活は荒んでいく。まだうつが一般に認知されていない時代だったため、自分のことを「サボり病」だと思い、玄関先に桶(おけ)を置いて毎朝そこに吐いてから出社していた。

そんなとき、融資を引き受ける銀行を探していたあるマンションデベロッパーから、担当者として指名される。頼られたことをうれしく思うも、それまでまともに働いていなかったため、何から手をつけていいかもわからない。そんな伊藤氏に、周りの同僚や先輩たちは、必要な知識を丁寧に教えてくれた。この出来事をきっかけに、真面目に仕事をすることや、真面目に生きることの大切さを理解した。

伊藤氏はそれ以来、「人は変われる」というメッセージを可能な限り多くの人に伝えるために仕事に取り組んでいる。何十年経ったいまでも、まったく仕事をしない日はないほどだ。

大切なのは、まず自分の「譲れない想い」を考えることだ。その想いを追い求め、人生をかけてがんばり続けた先に、天職が待っている。

澤氏:考えられる人であれ

ひとりの「個人」として生きる
JohnnyGreig/gettyimages

現在様々なテーマで精力的にプレゼンを行っている澤氏が、顧客や社内イベント以外でもプレゼンをするようになったのは、2006年に社内でグローバルな賞を受賞したことがきっかけだ。同じ賞の候補になっていた大谷まりさんから、NPO団体の資金集めのイベントでプレゼン講師を務めてほしいと頼まれたのだ。はじめて人からお金をもらってプレゼンを教えたそのとき、自分の経験や持っている情報を「言語化」することの重要性を知った。

そんな澤氏は、自己肯定感が低い子どもだった。「円」という名前から、両親は女の子が欲しかったのだ、自分は期待外れの子なのだと思い込んでいたからだ。

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