QRコードの奇跡

モノづくり集団の発想転換が革新を生んだ
未読
日本語
QRコードの奇跡
QRコードの奇跡
モノづくり集団の発想転換が革新を生んだ
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QRコードの奇跡
著者
出版社
東洋経済新報社

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定価
1,980円(税込)
出版日
2020年02月27日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

電子マネーでの支払いが一般化しつつある昨今。クレジットカードでの支払いができない居酒屋でも、QRコードを使用したサービスを用い、スマホで会計できるところが増えている。気づけば、生活のあらゆる場面でQRコードを目にするようになっている状態だ。これはとてつもなくすごい出来事ということが、本書を読むとよくわかる。

QRコードはもともと、トヨタの発注先であるデンソーが開発したものだ。日本だけを見ても、通信や交通などのカギを握る技術として、インフラにおける静かな変革を支えている。先端技術の開発という点でも、欧州発明家賞を日本ではじめて取得するなど、世界的な名声を得ている。

だがもともとQRコードは必要に迫られて開発され、限定的な用途で用いられたものだった。それがいかにして汎用性の高い技術につながったのか。技術は開発するだけでは意味がない。国内あるいは国際的な舞台で、その規格が標準化される必要がある。本書ではそのプロセスが詳述されており、世界に通用する製品や商品、モデルなどを作りたい人にとって、学びの多い内容となっている。

また、QRコードのさまざまな活用事例についても紹介されている。「中国ではQRコード決済が一般的」という話はあまりにも有名だが、じつは東京の駅ホームドアの開閉にも用いられているという。

「プロジェクトX」さながらのノンフィクション小説のような開発秘話、ぜひご堪能いただきたい。

著者

小川進 (おがわ すすむ)
神戸大学大学院経営学研究科教授、MITリサーチ・アフィリエイト。1964年兵庫県生まれ。87年神戸大学経営学部卒業、98年マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院にてPh.D.取得。2003年より現職。研究領域は、イノベーション、経営戦略、マーケティング。主な著作に『イノベーションの発生論理』『はじめてのマーケティング』(ともに千倉書房)、『競争的共創論』(白桃書房)、『ユーザーイノベーション』(東洋経済新報社)がある。英語論文では、フランク・ピラーとの共著“Reducing the Risks of New Product Development”やエリック・フォン・ヒッペルらとの共著“The Age of the Consumer-Innovator”(ともにMIT Sloan Management Review掲載)などがあり、ユーザーイノベーション研究では世界的な評価を得ている。組織学会高宮賞(2001年)、吉田秀雄賞(2011年、準賞)、高橋亀吉記念賞(2012年、優秀作)などを受賞。

本書の要点

  • 要点
    1
    QRコードは、トヨタの発注先であるデンソーが開発した。トヨタの生産方式である「かんばん」を電子化しようとしたことが、そのはじまりであった。
  • 要点
    2
    より大容量の情報を短時間で簡単に、ミスなく処理できるものとして、当時アメリカで開発が進んでいた二次元シンボルを独自アレンジして生まれた。
  • 要点
    3
    パブリックドメイン化し、入念な準備によって国内外で規格が標準化されたことで、一般生活でも広く利用されるものとなった。

要約

QRコードの発端

すべては「かんばん」から始まった

すべての始まりは、デンソーがトヨタに部品を納入していた関係で、トヨタの生産方式である「かんばん」を導入したことにある。「かんばん」とは、何をどこから仕入れ、どこに置いておくかをわかるようにした標識のようなもので、「必要な時に必要なものを必要な量だけ」生産することを目的としている。

だがデンソーでは、多頻度納品による検品や伝票の起票作業などで、時間と人手がかかってしまうという課題が生じていた。そこで「かんばん」をコンピュータで読めるようにすれば、製品のチェックと伝票の自動作成を行えるようになると考えたのだ。

独自のコードとリーダーの開発
Eetum/gettyimages

しかし、ことはそう単純にはいかなかった。自動車部品工場の現場は油汚れが多く、ひどい状態の「かんばん」でも読み取れるようにしなくてはならなかったからだ。しかも「かんばん」に含まれる製品の情報を収納するために、少なくとも60桁以上のデータを格納できる必要があった。それを満たす既製品のバーコードとそのリーダーは、まだ市場になかった。

そこでデンソーは取引のあった神崎製紙の自動写植機をもとに、印刷にも強い「NDコード」を開発するとともに、当時普及していたものより読み取り性能が高く、安価なバーコードリーダーを発明した。

コンビニでの採用

それだけでは終わらない。このバーコード技術の保守・修理・管理を担当する会社として設立されたSKKは、小売企業への導入に乗り出した。

最初に手を挙げたのはセブンイレブンだ。POSレジを導入したばかりだったセブンイレブンは、販売情報を迅速に管理するだけでなく、頻繁に入れ替わる大量の商品の納品と検品を手早く正確に行うために、このバーコード技術を自分たちで応用した。すると売り逃がしロスが減り、売上も飛躍的に向上。結果、他のコンビニエンスストアでも導入されるようになった。

こうして得られた売上を原資としながら、デンソーはQRコード開発へと踏み出していく。

【必読ポイント!】 QRコードの誕生

「かんばん」の限界

QRコードの父と言われているのが、当時デンソーで技術者をしていた原昌宏であった。

1980年代に入り、モノ不足の時代からモノ余りの時代に突入したことで、自動車にも多様性が求められるようになった。部品工場でも多種多様なものを管理する必要に迫られ、NDコードの「かんばん」に限界が見られはじめた。NDコードのような一次元シンボルでは、取り扱える情報量が少ないためである。

そこで、アメリカで盛んに開発されていた二次元コードを独自にアレンジし、新しいコードの開発に着手することになった。より大容量の情報を短時間で簡単に、ミスなく処理できるようにする挑戦の始まりである。

マトリックス型の採用

新しい二次元コードには、少なくとも200桁以上の情報を「かんばん」に表示し、ワンタッチで油などの汚れにも強く、伝票処理に必要な情報を盛り込めるといった条件が求められた。

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