パン屋ではおにぎりを売れ

想像以上の答えが見つかる思考法
未読
パン屋ではおにぎりを売れ
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想像以上の答えが見つかる思考法
未読
パン屋ではおにぎりを売れ
出版社
かんき出版

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出版日
2020年06月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「しっかり考えなさい」とよくいわれるが、「考える」方法を習ったことがある人は少ないのではないだろうか。ではどうやって考えたらよいのか。その重要な問いと向き合うのに格好の一冊が本書だ。

著者の柿内尚文氏は、これまで50冊以上の本を10万部以上のベストセラーに育てあげてきた敏腕編集者だ。そう聞くと、クリエイティブなセンスの賜物ではないかと思うかもしれないが、著者は自分のことを平凡だと評価する。そんな著者がなぜベストセラーを連発できたのか。それは、自分なりに「考える技術」を身につけ、それを言語化してきたからにほかならない。

本書では、その「考える技術」が惜しげもなく詳細に解説されている。タイトルの「パン屋ではおにぎりを売れ」という発想は、考える技術の1つである「ずらす法」によって生み出したものだ。「パン屋が本気でつくったおにぎり」のように、パン屋の魅力をずらして生み出した商品を売れば、新たな顧客を取り込めるのではないか。このような具体的な着眼点が用途別にふんだんに盛り込まれているのが、本書の最大の魅力といえる。

まだ身につけている人が少ない「アイデアの出し方」をいち早く習得すれば、周囲から「企画力がある人」と一目置かれることだろう。さらには、より幸せな人生を送るためにとれる選択肢の幅を広げてくれることだろう。

ライター画像
池田友美

著者

柿内尚文(かきうち たかふみ)
編集者。1968年生まれ。東京都出身。聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。その後、ぶんか社、アスキーを経て現在、株式会社アスコム取締役編集局長。
長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本の累計発行部数は1000万部以上、10万部を越えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。特に実用書のジャンルで数々のヒットを飛ばしている。
現在は本の編集だけでなく、企業のクリエイティブコンサルティングや事業構築のサポート、講演やセミナーの講師など多岐に活動。

本書の要点

  • 要点
    1
    目的を達成するうえで、「考える」という行為には、未来を変えるほどの大きな力がある。
  • 要点
    2
    アイデアを生むためには、「ゴールを決める」「インプットして現状を整理する」「考える=『考えを広げる+考えを深める』」の3つのルールに沿って考えていくのが効果的だ。
  • 要点
    3
    天才に見えるヒットメーカーたちは考える時間を多くとっている。自分で考えたことを実行し、自分で自分の未来をつくるために、考える時間をしっかりとるとよい。

要約

考える行為には突破力がある

アイデアが自分の悩みを解決してくれる
peepo/gettyimages

本書はまず、ある「問題」から始まる。男子校に通っており、女の子にモテない男子高校生は、たくさんの女の子と友だちになりたいと考えていた。しかし、女の子と知り合うきっかけもなければ、ナンパする勇気もない。そんな彼が女友だちをつくるにはどうしたらいいだろうか。

本書の回答はこうだ。文化祭の研究課題という名目で、「女子校研究会」を立ち上げる。そして、研究という「大義名分」のもと、堂々と女子高生に街頭アンケートと称して声をかけ、友だちをつくるというのだ。

これは著者の体験をもとにした実話だ。著者が衝撃を受けたのは、実際に女友だちができたことよりも、考えたアイデアが自分の悩みを解決してくれたことのほうだった。そこから、「考えるという行為にはとんでもない突破力がある」という気づきを得た。ここでの「考える」とは、「目的を達成するために考えること」を指す。「考える」には技術が必要だ。本書をベースに、「考える」ための方程式を学び、「考える技術」を自らのものにしよう。

「考える」について知ってほしい3つのこと

「考える」とは、「広げる」+「深める」である。「広げる」とは可能性を考えて新しいものを生み出すこと、「深める」とは本質的価値を考えることである。この両方を実現したのが、「ほぼ日手帳」だ。手帳の本質的価値を深く考え、「LIFEのBOOK」という価値づけをしたうえで、バリエーション豊かな手帳カバーや使い方事例、手帳をテーマにしたイベントなど、その楽しみ方を広げることにもトライしている。このように、どんな議題でも、「広げる」と「深める」が「考える」ことのベースとなる。

次に、「考える」は「思う」や「知っている」とは違うことを認識しよう。「考える」のは、単に頭に浮かんでくる、感じることを意味する「思う」とは異なる。目的のために意識的に思考することである。この「思う」を「考える」と誤解しているケースがじつは多い。

また、調べて「知っている」ことを「考える」と勘違いしているケースもある。インプットはあくまで「答えを見つけるための材料」だ。調べてまとめることはゴールではない。

さらに、「考える」には「論理的に考える」と「非論理的に考える」の2つがある。「考える」というと「ロジカル・シンキング」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、いままでにないものや社会の未来を考える際には、それだけではなかなか答えが出ない。「未来」を考えるときに必要なのは、「非論理的に考える」ことだ。ロジックから始める思考と、直感や思いなどの非論理的なものから始める思考を組み合わせることで、「考える力」がレベルアップしていく。

考える技術が未来を変える
Serge_Bertasius/gettyimages

「町中華」という言葉をご存知だろうか。昔ながらのラーメンと餃子とチャーハンが売りで、安くてボリューム満点。そんな何の変哲もない中華料理店のことだ。ところが、「町中華」と命名され、テレビやSNSで紹介されるようになった。すると、中華料理店自体は何も変わっていないにもかかわらず、若い女性にまで人気の魅力的な店に変貌を遂げた。このように、同じものでも、視点を変えるだけで魅力的になったり違う価値が生まれたりする。

考える技術を使えば、これからの時代のキーワードたりうる価値をつくることができる。しかし、この技術を身につけている人は、思いのほか少ない。よって、早く習得すれば強烈な強みになる。

著者はもともとクリエイティブなセンスに長けているわけではなかったが、ベストセラーを連発してきている。その秘密は、個人の技術となっていた書籍編集のノウハウを言語化し、「考える技術」を共有できるようにしたことにある。

「考える」には忍耐が必要だ。しかし、ほんの小さなことでも、毎日積み重ねていくことで、変化は確実に訪れる。やがて考える技術が身につき、行動が変わり、脳も変化していく。そうなると、その影響力は周囲にまで広がり、他人の考えや行動をも変えていくのだ。自分が思い描く未来を実現できるか否かは自分の思考にかかっている。

【必読ポイント!】 アイデアを生み出すための3つのルール

ルール1:ゴールを決める

ここからは具体的に「考える技術」を身につけ、アイデアを生み出す方法を紹介しよう。アイデアを生み出すのは、特別な能力やスキルを持っている人の特権ではない。方法さえわかれば誰でもアイデアを生み出せる。

アイデアを生むためには、「ゴールを決める」「インプットして現状を整理する」「考える=『考えを広げる+考えを深める』」という3つのルールを活用するとよい。

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要約公開日 2020.07.19
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