はじめての経営組織論

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はじめての経営組織論
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はじめての経営組織論
出版社
定価
2,090円(税込)
出版日
2019年09月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

これまで自分が知識として持っていた組織論が、いかに流行に流された偏ったものであったのか。本書を通読すると、要約者はそれを痛感させられた。本書は、ビジネスパーソンが必要とする「経営組織論」についての基礎知識や理論的枠組みを体系的に提供してくれる、おそらく初めての本である。網羅性、一覧性に優れた一冊だ。

現代は「組織の時代」であり、「変化の時代」であるといわれる。それに呼応するように、さまざまな新しい「組織モデル」が、途切れることなく登場している。しかし、どのような組織にもそのまま適用できる組織モデルは存在しない。そのモデルが自分の組織に適合するものかどうか、取り入れるとすればどういうところなのかといった点を吟味することが必要だ。その際には、本書が提供してくれる知識体系が大いに役立つだろう。

本書は大きく3部に分かれる。第1部は、組織を捉える基本的な見方を紹介する。第2部は、組織の構造とプロセスという切り口から比較的伝統的な組織の課題を扱う。第3部は、変動する環境における組織のあり方を考え、イノベーションといった今日的なテーマについて論じる。

要約では主に第1部を扱うが、本書の体系的な構成を活かすため、第2部と第3部の項目もできるだけ取り上げた。組織やその経営を理解するための体系的知識は、組織の時代である現代社会を生きる上での教養といえるだろう。

ライター画像
しいたに

著者

高尾義明(たかお よしあき)
東京都立大学大学院経営学研究科教授、博士(経済学、京都大学)
1967年、大阪市に生まれる。
1991年、京都大学教育学部教育社会学科卒業。
神戸製鋼所勤務を経て、
2000年、京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。
九州国際大学経済学部専任講師、流通科学大学情報学部専任講師・助教授を経て、
2007年、首都大学東京大学院社会科学研究科経営学専攻准教授。
2008年、京都大学経営管理大学院京セラ経営哲学寄附講座客員准教授・教授(~14年)。
2009年、首都大学東京大学院社会科学研究科経営学専攻教授。現在に至る。
主要著作
『組織と自発性:新しい相互浸透関係に向けて』(白桃書房、2005年)
『経営理念の浸透:アイデンティティ・プロセスからの実証分析』(王英燕との共著、有斐閣、2012年)
「過去に所属した組織に対する支援的行動:組織アイデンティフィケーションからのアプローチ」(『組織科学』48(4)、2015年)
「エコシステムの境界とそのダイナミズム」(椙山泰生との共同執筆、『組織科学』45(1)、2011年)など

本書の要点

  • 要点
    1
    組織全体に共通する「組織目的」が存在するという信念が、その組織の関係者に共有されることは、組織の成立に欠かせない。それは、個人では達成することのできない、その組織固有のものである。
  • 要点
    2
    組織における「コミュニケーション」の本質とは、それによって他者の行動や意思決定の前提に変化を加えることである。
  • 要点
    3
    組織は、メンバーが主体的に問題解決を図るような「貢献意欲」を引き出さなければならない。そのためには、一体感の醸成などによる、組織の目的と個人の目的との関係づけが求められる。

要約

【必読ポイント!】 第1部「組織を捉える基本的な見方」

意思決定と制約された合理性
z_wei/gettyimages

現代は組織の時代といわれる。そもそも組織とは何か。経営学者のチェスター・バーナードによると、組織は「2人以上の人々によって担われた、意識的に調整された活動や諸力のシステム」と定義される。

その組織に対して、本書は「意思決定」という側面からアプローチする。組織論では、組織におけるあらゆる活動を意思決定と捉える。意思決定は、問題を認識し、問題解決のために適当な選択肢をつくり出し、それらの選択肢を評価して選び出す、というプロセスから成る。

ここで考慮しなければならないのは、人間の合理性には限界があるという「制約された合理性」だ。私たちは、あらゆる選択肢を網羅的に知ることも、選択肢の帰結を正確に予測することもできない。これを前提に調整の仕組みをつくり上げることで、より合理性の高い意思決定を追求するのが、組織という制度である。

組織目的 組織の成立条件(1)

組織が成立する条件として、組織目的、貢献意欲、コミュニケーションの3つがあげられる。まずは「組織目的」に関してだ。組織全体に共通する目的が存在するという信念が、その組織の関係者に共有されることは、組織の成立にとって不可欠だ。それは、個人では達成することのできない、その組織固有のものである。経営理念などという形で定式化・公表されている場合もある。

組織では、上位の目的を達成する手段が、下位の目的となる「目的のブレイクダウン」が起きている。このような「目的-手段の連鎖」を通じて、部門-部-課-個人という具合に目的がどんどんブレイクダウン(落とし込み)され、整合性のある具体的な活動につながっていく。

誘因と貢献

組織の目的と個人が組織に参加する目的の関係について、考えてみたい。まず経営組織論では、それらは基本的に別物だという視点からスタートする。

組織と個人の関係は、ギブ・アンド・テイクの交換関係ととらえられ、誘因と貢献のペアになっている。「誘因」とは、経済的報酬など組織から個人に提供されるものである。一方、「貢献」とは、組織の目的追求のために個人から提供される労働力のことだ。誘因は、経済的報酬とは限らない。スキルの向上を通じたキャリア開発の機会なども、個人にとって大きな誘因になりうる。

コミュニケーション 組織の成立条件(2)
dorian2013/gettyimages

では組織におけるコミュニケーションの本質とはどのようなものだろうか。組織では、専門化などの要因により、さまざまな「分業」が行われている。そのようにいったん「分化」した組織を、組織目的に向けてもういちど「統合」しなければならない。そこで重要なのが、コミュニケーションによる「調整」である。いわば、整合性をとる、またはベクトルを合わせることをめざした活動だ。

そのメカニズムは、意思決定のプロセスにおいて、大事な前提となる「決定前提」を参加者間で共有することである。それは、客観的な情報に留まらず、課題の優先順位や目的など、価値判断を伴う「価値前提」も含まれる。

コミュニケーションとは単なる情報伝達ではない。それによって他者の行動や意思決定の前提に変化を加えることが、組織におけるコミュニケーションの本質といえよう。

コミュニケーションの円滑化

コミュニケーションを適切にマネジメントするための1つのアプローチは、あらかじめ円滑にコミュニケーションが進むように、制度を「構造化」しておくことだ。

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