72歳、今日が人生最高の日

未読
未読
72歳、今日が人生最高の日
出版社
出版日
2020年07月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

大人になると、多くの人が「若いころに戻りたい」「学生のときは楽しかった」などと言うものだ。一方、本書の著者は、72歳であるいまが「最高」だと断言している。いったい彼女はどんな人物で、どんな人生を送ってきたのだろう。そんな期待を胸に、本書を紐解いた。

本書の著者は、メイ・マスク氏。テスラとスペースXのCEO、イーロン・マスク氏の実の母親であり、白髪のトップモデルとして活躍する人物だ。そんな彼女がいかに生まれ育ち、子どもを生み育て、仕事に向き合ってきたのかが、本人の視点から丁寧に描かれている。

彼女の人生はまさに波瀾万丈だ。カナダで生まれて南アフリカに転居し、現地の言葉に苦労しながら学問に励むうちに、ストレスで過食に走ってしまう。「大切にする」という言葉を信じて腐れ縁の恋人と結婚したが、結婚するや否や暴力を振るわれるようになり、やっとの思いで離婚する。その後は、モデルと食生活コンサルタントの仕事をしながら、3人の子どもを育て上げた。

モデル歴50年以上の大ベテランでありながら、60歳を過ぎてからトップモデルになった著者。逆境を乗り越え、成功を勝ち取ったからこそ、「今日が人生最高」と言い切ることができるのだろう。自分は著者と同じ年齢になったとき、同じことを言えるだろうか。年齢を重ねれば重ねるほど輝くような人生を送るために、いま何ができるのだろう。そんな問いを投げかけてくれる一冊だった。

著者

メイ・マスク(MAYE MUSK)
国際的なスーパーモデル。栄養士。『ヴァニティ・フェア』『ヴォーグ』『コスモポリタン』『マリ・クレール』といったファッション誌で活躍。長男はテスラ、スペースXのCEO、イーロン・マスク。

本書の要点

  • 要点
    1
    メイ・マスクは白髪のスーパーモデルだ。モデルとしてデビューしたのは15歳のときで、当時、モデルは18歳までしか続けられない職業だとされていた。だがモデルの仕事はますます楽しくなっており、いまが最高だと断言できる。
  • 要点
    2
    仕事も生活もうまくいっていたとき、息子の希望で海を越えた引っ越しをした。ときには思い切って変化することも重要だ。うまくいかなくても、やり直せばいい。
  • 要点
    3
    「確実な“イエス”」は存在しないが、頼まなければ「確実に“ノー”」だ。どうしても手に入れたいものがあるなら、粘り強くアプローチしよう。

要約

生き方

人生はどんどんよくなる
Moyo Studio/gettyimages

著者は67歳のとき、ニューヨーク・コレクションに初出演し、3分の1の年齢の女性たちと一緒にランウェイを歩いた。ヴァージン・アメリカ社の広告のオーディションでは、自分よりも若い300人の女性たちの中から、見事選ばれた。タイムズスクエア、地下鉄、アメリカじゅうの空港……著者の顔を見ずに電車や飛行機から降りることはできないほど、その広告はあちこちに掲出された。白髪のスーパーモデル、それがメイ・マスクだ。

著者が初めてランウェイを歩いたのは15歳のときだ。当時、モデルは18歳までしか続けられない職業だと言われていた。著者自身、モデルをこんなに長く続けるなんて思っていなかったし、71歳で最盛期を迎えるなんて考えたこともなかった。

いま確実に言えるのは、ますます楽しくなっているということだ。日を重ねるごとにわくわく感が増し、何かおもしろいことが起きそうな予感でいっぱいだ。たとえ何も起きなくても、SNSやウェブサイトに投稿して、自ら何かを起こせばいい。

冒険

快適さは不要

著者と両親、そして兄妹たちはあるとき、カナダから南アフリカ共和国に転居した。毎年夏になると、家族でカラハリ砂漠を冒険するのがお決まりだった。父が自家用飛行機を操縦し、母が車を運転することもあれば、家族みんなで方位磁石をもってトラックに乗り、3週間かけて砂漠を横断することもあった。母は車に3週間分の食糧と水とガソリン、そして5人の子どもたちを積み込んだ。

冒険の旅を通して学んだのは、快適さは不要だということ。支出はいくらでも抑えられる。贅沢に暮らしている人を羨む必要もない。最善を尽くし、生き残るために奮闘するだけだ。

やらない理由なんてない
princigalli/gettyimages

大学で栄養学を専攻していた著者だが、3年生のときに出場した美人コンテストが、その後の人生を一変させた。同級生から、美人コンテストに推薦すると言われたのだ。著者はそもそも、そのコンテストの存在すら知らなかった。興味がないし、自分にはふさわしくない。そう断ったのに、推薦されてしまった。ほんとうに出場していいものか迷ったが、とりあえず参加してみることに決めた。やってみない理由なんてない。

コンテストの会場に到着して初めて、いかにほかの出場者たちが本気で参加しているかを知った。彼女らは髪をきちんと整え、メイクはプロの手を借りている。一方、著者は、水着は自分で用意したし、ヘアセットもメイクも自分の手によるものだった。

そんなふうに参加したコンテストだったのに、なんと優勝してしまった。ヨハネスブルクのモデル学校に通い、モデルとしての技術とプロ意識を身につけることになった。

著者は、何かを依頼されたら、それほど考えずに「イエス」と答えるようにしている。いくら自分が「やらない理由なんてない」と考えても、やらない理由を見つけてくる人もいるだろう。それでも、どうしたら自分が幸せになれるかという観点のもと、結論を出してほしい。そして、自分のために人生の扉を開くのだ。試してみないかぎり、何もわからないのだから。

結婚

著者が通っていたのは、南アフリカ共和国にある、地元の大学だ。著者が学びたかった食事療法の学位はアフリカーンス語(南アフリカ共和国の公用語のひとつ)で授業が行われる大学でしか取得できなかった。カナダで育った著者にとって、アフリカーンス語の習得はきわめて難しいものだった。ストレスを発散するために食べすぎてしまい、大学を卒業するときには体重が大きく増えていた。

そんな著者には、10代の頃から別れてはまたよりを戻す恋人がいた。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2277/3754文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2020.07.31
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
その名を暴け
その名を暴け
古屋美登里(訳)ジョディ・カンターミーガン・トゥーイー
未読
未来をつくる言葉
未来をつくる言葉
ドミニク・チェン
未読
私の仕事
私の仕事
緒方貞子
未読
2050年 世界人口大減少
2050年 世界人口大減少
ダリル・ブリッカージョン・イビットソン倉田幸信(訳)河合雅史(解説)
未読
レイシズム
レイシズム
ルース・ベネディクト阿部大樹(訳)
未読
リビング・シフト
リビング・シフト
柳澤大輔
未読
超成長都市「福岡」の秘密
超成長都市「福岡」の秘密
石丸修平
未読
養生訓
養生訓
前田信弘
未読
法人導入をお考えのお客様