養生訓

すこやかに生きる知恵
未読
養生訓
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養生訓
出版社
日本能率協会マネジメントセンター

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出版日
2020年03月30日
評点
総合
3.2
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

『養生訓』は、江戸時代の儒学者である貝原益軒(かいばらえきけん)が書いた健康指南書である。本書は、『養生訓』に現代語訳をつけ、読みやすくまとめた一冊だ。

『養生訓』の中に「人の身は百年を以て期(ご)とす」、つまり「人の身体の期限は100年である」という、人生100年時代を予見したかのような記述がある。近年、「健康寿命」という言葉をよく耳にするようになったが、健康に長生きすることは現代人にとって最も重要な課題の一つとなりつつあるといえるだろう。

江戸時代の健康法というと、本当に効果があるのか、なんだか不安になってしまう。しかし『養生訓』は、益軒が実際に試し、効果のあった方法をもとにまとめたものだ。益軒が病気もなく80代まで生きたことを考えると、大いに説得力がある。本書では益軒の生涯にも触れられており、その人となりを知ることで『養生訓』にも深みが増す。

『養生訓』では、健康に長生きするための方法がこと細かに記述されている。日々生活する上での心構えはもちろんだが、風呂の入り方から食べ物の調理法、土地の水が身体に合わないときの対処法、つまようじの使い方、はてはメガネの拭き方まで、詳細に書かれている。宴会では飲みすぎない、たばこは毒など、現代人には耳が痛い指摘もある。

インターネットで見る最新の健康法もいいが、江戸時代に思いを馳せながら、当時の健康指南書を開いてみるのもおもしろいだろう。現代でも十分通用する普遍的な健康法が目白押しで、驚くかもしれない。

ライター画像
池田明季哉

著者

前田信弘(まえだ のぶひろ)
経営コンサルタント。高校講師、専門学校教員を経て独立。長年、経営、会計、金融、マーケティングなど幅広くビジネス教育に取り組むとともに、さまざまなジャンルで執筆・コンサルティング活動を行う。あわせて歴史や古典などをビジネスに活かす研究にも取り組んでいる。著書に『コンテンポラリー・クラシックス 葉隠 処世の道』『コンテンポラリー・クラシックス 五輪書 わが道をひらく』『コンテンポラリー・クラシックス 武士道 ぶれない生きざま』『コンテンポラリー・クラシックス 韓非子 人を動かす原理』『君の志は何か 超訳 言志四録』(日本能率協会マネジメントセンター)、『知識ゼロからのビジネス韓非子』『知識ゼロからのビジネス論語』『知識ゼロからの孫子の兵法』(幻冬舎)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    健やかに生きるためには、欲を制することが何よりも重要である。食欲、色欲、睡眠欲の三欲は、とくに慎むべきものだ。
  • 要点
    2
    病気になってからの治療よりも、病気を予防することのほうがより重要だ。一時の快楽に身をまかせず、日々の生活に気をつけて病気を防ぐことに注力するべきだ。
  • 要点
    3
    四季を感じ、食事に感謝し、忙しく立ち働き、毎日を楽しんで過ごすことが人間の何よりの幸福である。

要約

『養生訓』とは

江戸時代から伝わる健康指南書
prohor08/gettyimages

『養生訓』は、江戸時代の儒学者、貝原(かいばら)益軒(えきけん)によって書かれた、健康に関する指南書である。書かれたのは1713年、益軒が83歳のときだ。益軒はこの翌年に亡くなっている。

『養生訓』には、益軒が自ら実践し、経験してきたことを踏まえ、実際に効果があった健康法がまとめられている。益軒が当時としてはかなりの長寿であったことからも、『養生訓』がすぐれた健康法であることがわかるだろう。

養生というと身体的なことがらをイメージするかもしれないが、『養生訓』では、からだ以上に心が重視されている。心の安らぎが養生の基本であるとし、心を平和にし、心を苦しめず、心を養うことに重点が置かれている。現代のストレス社会に生きるわれわれにとっても、心の健康は重要な問題であり、『養生訓』に学ぶことは多い。

【必読ポイント!】 養生の基本

長生きこそが幸せ

ここからは、『養生訓』で語られる内容を取り上げていく。

人のからだは天地や父母からたまわったものである。天地・父母に仕える立場である以上、養生してできるだけ長生きすることが、生きる者の務めだ。

自分のからだは自分ひとりのものではない。だから節制せずに病気になって早死にすることは最大の不孝である。人としてこの世に生まれてきたからには、ひたすら父母・天地に孝をつくし、人倫(じんりん)の道を実践し、義理にしたがわねばならない。そして、幸福になり、長生きして喜び楽しむのだ。

生命と私欲のどちらが大事かをよく考えて、日々の生活を慎むようにしよう。短命ではどれだけ財産があっても意味がない。長生きすることこそが、最大の幸せである。

多くの人間は生まれつき長寿である

多くの人間は生まれつき長寿だが、養生せずに生きていると短命に終わる。逆に、生まれつき多病な人でも、養生すればかえって長生きできることもある。

不摂生は自殺と同じだ。早いか遅いかの違いはあるものの、自分で自分を害するという点で共通している。

心気を養うこと
playb/gettyimages

養生の第一歩は心気を養うことだ。心を穏やかに保ち、怒りと欲を抑え、心を苦しめないことが大切だ。

寝てばかりいるのはよくない。長く眠っていると気が滞って循環しなくなってしまうからだ。とくに食後、十分に消化していないうちに寝てしまうと、食の気をふさいで大いに元気をそこなう。

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要約公開日 2020.07.06
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