世界96カ国をまわった元外交官が教える

外国人にささる日本史12のツボ

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外国人にささる日本史12のツボ
ジャンル
出版社
朝日新聞出版

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出版日
2020年03月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

要約者は、学生のときに留学を経験した。さまざまな国・地域の留学生が集まった大学では、出身国・地域に関することは話題によく上がり、「私の国ではこうだけど、あなたの国ではどう?」と尋ねられた経験がある。要約者は不勉強で、歴史や政治経済について尋ねられるとうまく答えられなかったが、「よく分からない」では、せっかくの会話を広げるチャンスを潰すことになる。それは非常にもったいないことだった。

海外経験が豊富な著者曰く、外国人に人気がある日本史のトピックは、日本らしくユニークで、世界の中での日本の位置づけが分かり、ステレオタイプを覆すような、意外性のあるものだという。ユニークな物事は、第一印象で人を引きつける力があると思う。そして、他国と比較して日本の位置づけを示すことは、日本への理解を高める方法として有効だろう。何かを比較して話されると、おもしろいし、分かりやすい。

ステレオタイプを覆すようなトピックが人気であることも、納得だ。「想像通りだ」と感じるよりも、「知らなかった!」と驚く方が圧倒的に楽しい。自国のことを外国の人に知ってもらうことの面白さはここにあるのだと思う。

本書では、12章にわたって、「外国人にささる日本史のツボ」が紹介されている。本書を読んで「ツボ」を押さえたら、そこからは自分で勉強して、それぞれの意見を持つ必要があるだろう。といっても、意外性に富んだ知識が多く紹介されているため、もっと調べてみたいと思わせてくれるトピックがきっと見つかるはずだ。

著者

山中俊之(やまなか としゆき)
株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長、神戸情報大学院大学教授。「世界と日本」の歴史や文化に関する企業研修やセミナーを多数実施。1968年兵庫県西宮市生まれ。東京大学法学部卒業後、90年外務省入省。エジプト、英国、サウジアラビアへ赴任。対中東外交、地球環境問題などを担当する。また、首相通訳(アラビア語)や国連総会を経験。外務省を退職し、2000年、株式会社日本総合研究所入社。全国の自治体改革の案件に多数関与。09年、稲盛和夫氏よりイナモリフェローに選出され、アメリカ・CSIS(戦略国際問題研究所)にてグローバルリーダーシップの研鑽を積む。10年、グローバルダイナミクスを設立。SDGsカードゲームファシリテーターとしてSDGsの普及にも努める。世界96ヵ国を訪問し、先端企業から貧民街まで徹底視察。国内は47都道府県すべてをそれぞれ3回以上訪問。東海道を歩き、四国お遍路88カ所も極力歩いてまわり、国内各地の実情を実地で収集。ケンブリッジ大学大学院修士(開発学)。高野山大学大学院修士(仏教思想・比較宗教学)。ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA、大阪大学大学院国際公共政策博士。「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系列)、「キャスト-CAST-」(朝日放送テレビ)にも出演。

本書の要点

  • 要点
    1
    海外の人に天皇制を説明する際には、2つのポイントを押さえておきたい。「政治的権力を有しないこと」と「特に平成の天皇は、災害時にお見舞いをするなどの行為を通じて親しまれたこと」だ。
  • 要点
    2
    江戸時代の日本は、世界的に見ても庶民の教育レベルが高かった。城下町に住んでいた武士と農村に住んでいた農民がやり取りをするために、庶民にも読み書きの能力が求められていたからだ。
  • 要点
    3
    欧米の人たちが日本の絵画といって思い浮かべるのはHokusaiだ。葛飾北斎は、化政文化を代表する浮世絵師である。

要約

【必読ポイント!】世界最古のロイヤルファミリー

天皇制が世界から注目される理由
tadamichi/gettyimages

2019年、天皇が生前退位されたことで、国内外問わず天皇制への関心が高まった。アメリカのCNNや『New York Times』などが新天皇の即位を大々的に報じたことからも、関心の高まりが感じられる。

著者はしばしば、海外の有識者から、天皇についての質問を受ける。日本の皇室が長きにわたって継続していることと、太古の昔を除き、天皇制自体を廃止しようとする政治的抗争がほとんどなかったことが特別視されているようだ。

天皇制がいつから存在しているのかは、明確には分かっていない。だが、現在の天皇家は、6世紀初頭に即位した継体天皇から続く家系だと考えられている。そのため、日本の天皇家は少なくとも1500年は同じ家系で承継されているといってよい。これは、世界中の皇室・王室の中でも最長である。

天皇家の政治的権力

日本では、皇位を退いた上皇が権力を持つ時代があった。これは世界的に見ても極めてまれである。海外では、退位した皇帝などが力を持って二重権力にならないよう、退位後に幽閉される場合もあるくらいだ。

日本における初の武家政権は、鎌倉幕府だ。これ以降、天皇家の政治的権力は弱まり、江戸幕府の第15代将軍・徳川慶喜による大政奉還まで、武家が権力を握り続けた。そして、大政奉還、王政復古の大号令による明治維新以降、天皇を中心とする政治体制が復活した。

このように日本には、天皇家が政治的権力を有した時代も、そうでない時代もあった。それでも常に天皇としての地位は守り続けてきたことが特徴だ。

天皇制を説明する際の2つのポイント

海外の人に天皇制を説明する際には、2つのポイントを押さえておきたい。

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要約公開日 2020.08.15
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