「感染症パニック」を防げ!
リスク・コミュニケーション入門

未 読
「感染症パニック」を防げ!
ジャンル
著者
岩田健太郎
出版社
定価
946円(税込)
出版日
2014年11月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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「感染症パニック」を防げ!
「感染症パニック」を防げ!
リスク・コミュニケーション入門
著者
岩田健太郎
未 読
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定価
946円(税込)
出版日
2014年11月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

世界中が新型コロナウイルスの影響を受けている。感染症は目に見えないものだからなお恐ろしい。消毒や外出自粛など、対策に疲れてしまった人も多いのではないだろうか。

本書は2014年に書かれたものであり、感染症や自然災害などの大きな危機にどう対応するかを指南した、リスク・コミュニケーション入門書である。しかし、ここで主張されていることはコロナ禍の今ますます重要になっている。逆に言えば、2014年からリスクへの対応状況が改善していない、ということでもある。

リスク・コミュニケーションとは、リスクやそれに伴うパニックを回避するためのコミュニケーションのことだ。たとえば地震のあとに「津波に警戒してください。高台に逃げてください」と報道することも、そのひとつである。

リスク・コミュニケーションは、リスクを正しく見積もり、正しくマネージメントすることと一体なのだという。私たちは日々報道される感染者数を見て一喜一憂しているが、リスクを正しく把握し、正しく恐れることが重要である。本書にはそのために必要な様々な取り組みが紹介されている。

主にリスク・コミュニケーションを行なう側の人向けに書かれているが、本書を読めば「リスクとは何か」「何を避けなければならないのか」「どう恐れるべきか」がわかるはずだ。それは基本的なこととして全ての人に関係することでもある。ウィズコロナ時代においては特に、傍らに置いておきたい1冊である。

ライター画像
池田明季哉

著者

岩田健太郎(いわた けんたろう)
1971年島根県生まれ。島根医科大学(現・島根大学)卒業。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学。神戸大学都市安全研究センター医療リスクマネジメント分野および医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学病院感染症内科診療科長。著書に『予防接種は「効く」のか?』『1秒もムダに生きない』『99・9%が誤用の抗生物質』(以上、光文社新書)、『感染症外来の事件簿』(医学書院)、『主体性は教えられるか』『医療につける薬』(以上、筑摩選書)、『「患者様」が医療を壊す』(新潮選書)、『「リスク」の食べ方』(ちくま新書)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    リスク・コミュニケーションはコミュニケーションの1つである。一方的な情報発信ではなく、双方向性の対話でなければならない。聞き手のことを考えて行なう必要がある。
  • 要点
    2
    リスク・コミュニケーションでは状況を正確に把握し、伝えることが重要となる。そのために使用する数字にも主観が入っていることを忘れてはならない。
  • 要点
    3
    リスク・コミュニケーションは「やった」ことだけでは意味がない。リスクを回避あるいは軽減したという「結果」が大事なのである。目的と手段を混同してはならない。

要約

【必読ポイント!】 リスク・コミュニケーションとは何か?

なぜ必要なのか?
Michael Blann/gettyimages

リスクと対峙するとき、リスクそのものだけを扱うのでは不十分だ。リスクにはコミュニケーションが大きな影響を与えているからだ。効果的なコミュニケーションはリスクそのものを減らすことができる。一方で稚拙なコミュニケーションは、リスク回避失敗に直結し、パニックをもたらす。

感染症リスクにおいてもそれは同じだ。感染症の原因はほとんど目に見えず、短期的に集団に広がるなど、他の病気にはない特徴がある。だからこそ、独特の恐怖感を惹起する。それが、効果的なリスク・コミュニケーションが感染症にとって重要となるゆえんである。

リスク・コミュニケーションとは、健康、事故防止、環境問題といった様々なリスクを伴う場合のコミュニケーションだ。これはいろいろな目的にあわせて利用できる。災害などの緊急時には、人々を適切な行動へと促すために「説得」という形をとる。テレビの地震・津波速報で「高台に逃げてください」などと放送されることも、リスク・コミュニケーションの1つだ。

こうしたコミュニケーションは、相手の存在が前提となる。したがって、一方的な情報伝達ではなく、双方向の「対話」とならなければならない。相手の主張を無視して一方的に「正しい」情報発信をしても、目的は達成できないのだ。日本の場合、目的はそっちのけで「ちゃんとやった」という事実だけにこだわる場合が多い。コミュニケーションをとることはあくまで手段であり目的ではない。

3つのバリエーション
JamesBrey/gettyimages

リスク・コミュニケーションにはいくつかの分類があり、目的に応じて選択される。教科書的には主に3つに分けられる。

「クライシス・コミュニケーション」は、クライシス、つまり目の前の危機的状況におけるコミュニケーションのことを指す。災害時など緊急時に用いられ、多くは先述した「説得」の形をとる。

「コンセンサス・コミュニケーション」は、聞き手との双方向性の対話によって行なわれ、合意形成が目的となる。できるだけ多くのステークホルダー(関係者)がそこに参加することが望ましいが、現実にはそうはいかない。

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