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<無料>からお金を生み出す新戦略
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おすすめポイント

インターネット上では、なぜこんなにもフリー(無料)のサービスが急激に増加しているのだろうか。注意して考えてみても、どうやって儲けているのかすぐには理解できないものも多い。

グーグルがフリーで多くの充実したサービスを提供できる理由、ウィキペディアのコンテンツ作成者の動機、不正コピーの功罪など、整理がついていない多くの事例について、本書は明確な理解を与えてくれる。「タダより高いものはない」と育てられた世代にとっては、フリーのサービスに対して強い警戒心をもつ一方で、若い世代はフリーのインターネットサービスを当たり前のように活用する。これは環境が醸成した感覚の違いによるのだろうが、疑心暗鬼が解決すればその世代のギャップは超えられるかもしれない。

「フリー」のサービス形態は体系的に整理できる。全てのサービスは、どこからも資金を得ないことには継続できない。「フリー」のサービスは、内容・時間・付加サービスなどの要素を工夫し、消費者と費用を負担する者を分けてマネタイズを図っているのである。

本書を読まずしてネット業界で事業を行うことは、ビジネスモデル発想の源泉を放棄するに等しい。フリーの裏には緻密に組み上げられたビジネスモデルが存在することを知らなければならない。本書は、ネット企業で働く方や起業を目指す方はもとより、これからのビジネス界で生き残りをかけるビジネスパーソンの全ての方が読むべき必読の一冊と言えよう。

ライター画像
大賀康史

著者

クリス・アンダーソン
『ワイアード』誌編集長。「ロングテール」という言葉を2004年に同誌上ではじめて世に知らしめ、2006年に刊行した同名の著書『ロングテール――「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』(早川書房)は世界的ベストセラーとなる。2007年には米『タイム』誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれている。ジョージ・ワシントン大学で物理学の学位を取得、量子力学と科学ジャーナリズムをカリフォルニア大学バークレー校で学ぶ。ロス・アラモス研究所の調査員を務めたあと、世界的科学雑誌である『ネイチャー』誌と『サイエンス』誌に6年間勤務。その後、英『エコノミスト』誌の編集者としてロンドン、香港、ニューヨークで7年間テクノロジーからビジネスまで幅広い記事を扱い、また1994年には同誌のインターネット版を立ち上げる。2001年から現職。以来同誌を全米雑誌賞のノミネートに9度導き、2005年、07年、09年に最優秀賞(General Excellence)を獲得している。現在カリフォルニア州バークレーに妻と5人の子どもと暮らす。

本書の要点

  • 要点
    1
    フリーには大きく四つのビジネスモデルが存在し、①無料の商品で客を呼びこみ、他の利益商品を売る「直接的内部相互補助」、②広告主からお金をもらい、商品を安く売る「三者間市場」、③無料ユーザーの一部に有料のプレミアム版を売る「フリーミアム」、④金銭でなく注目や評判などを対価として商品を売る「非貨幣市場」に分類される。
  • 要点
    2
    デジタル世界では、近い将来に必要となるコストをもとに価格を決め、価格低下に伴う需要増とコスト低減により、利益を上げることが可能となる。
  • 要点
    3
    デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になるが、フリーからもお金儲けはできる。創造的にも破壊的にもなり得るこのフリーという過激な価格を味方につけることができるかどうかが問われる時代になったと言える。

要約

【必読ポイント!】 「フリー」入門――非常に誤解されている言葉の早わかり講座

Hemera/Thinkstock
100万種類のフリー

商売で使われる<無料>には多くの意味があり、それを使ういろいろなビジネスモデルがある。無料とうたいながら、本当はそうではないこともある。たとえば、「ひとつ買えば、もうひとつはタダ」というセールス文句は、ふたつ買うと半額になりますという意味だ。「フリー・ギフト(おまけ)つき」は、買った商品の値段におまけのコストも含まれている。

広告収入で運営されるメディアの世界がある。無料のラジオとテレビから、ほとんどのウェブまでがこれに含まれる。広告収入モデルは一世紀以上の歴史を持つ。消費者がコンテンツを無料で得るために、第三者(広告主)が費用を払う三者間市場だ。

また、新しいモデルを象徴する真の無料がある。その大部分は、限界費用がゼロに近いオンライン上のデジタル経済に存在する。写真共有サービスのフリッカーは、ほとんどのユーザーには無料であり、そこには広告すら掲載していない。グーグルが提供する大部分のサービスは無料である。更に、素晴らしい贈与経済がある。それは、ウィキペディアやブロゴスフィアなど、評判や注目、自己表現など金銭以外のインセンティブによって成り立つ経済だ。

フリーのビジネスモデルは大きく四種類に分けられる。

フリー① 直接的内部相互補助

【無料なもの】消費者の気を引いて、ほかのものも買ってみようと思わせる商品ならなんでも

【無料対象者】結局はみんなが、なんらかの方法で喜んで金を払う

直接的内部相互補助に該当するのは、「DVDを一枚買えば、二枚目はタダ」というキャンペーンや、携帯電話のお得プラン等が当てはまる。あるモノを無料かそれに近い値段にし、それで客を呼んで、健全な利益を出せる他の魅力的なモノを売ろうとするのだ。

フリー② 三者間市場

【無料なもの】コンテンツ、サービス、ソフトウェアなど

【無料対象者】誰でも

これはフリーのまわりに築かれた経済でもっとも一般的な形だ。二者が無料で交換することで市場を形成し、第三者があとからそこに参加するためにその費用を負担する。

メディアが制作物をタダかそれに近い価格で消費者に提供し、そこに参加するために広告主がお金を払う。ラジオ、テレビの多くは無料であり、新聞や雑誌の発行者も実際の費用よりはるかに少ない料金しか読者に請求しない。彼らが売る相手は読者ではなく広告主だからだ。メディア以外では、クレジットカード、OSツールの無料公開等が存在する。

フリー③ フリーミアム

【無料なもの】有料のプレミアム版に対する基本版

【無料対象者】基本版のユーザー

「フリーミアム」は、ベンチャー・キャピタリストのフレッド・ウィルソンの造語で、ウェブにおけるビジネスモデルとしては一般的だ。無料から高額のもののコンテンツの幅を持つこともあるし、無料版にいくつかの機能を加えてプロの有料版をそろえることもある。

デジタル製品においては、無料と有料の割合は有形の製品の場合とまったく異なる。典型的なオンラインサイトには五パーセントルールがある。つまり、五パーセントの有料ユーザーが残りの無料ユーザーを支えているのである。それでもやっていけるのは、無料ユーザーにサービスを提供するコストが、無視できるほどゼロに近いからだ。

iStockphoto/Thinkstock
フリー④ 非貨幣市場

【無料なもの】対価を期待せずに、人々があげるものすべて

【無料対象者】誰でも

これには、贈与経済、無償の労働、不正コピーの3つの形がある。

一、贈与経済

オンラインの百科事典「ウィキペディア」には一二〇〇万項目が掲載され、不用品をあげたい人とモノを欲しい人を結びつける「フリーサイクル」には年間八〇〇万点もの中古品が提供されているのを見れば、金銭以外にも人を動機付けるものがあるのだとわかる。シェアをうながすものは、評判や関心であり、それよりは目立たないが、表現、喜び、善行、満足感、あるいはたんなる私利である。

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要約公開日 2013.10.31
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