なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?
偏差値37のバカが見つけた必勝法

未 読
なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?
ジャンル
著者
村山太一
出版社
定価
990円(税込)
出版日
2020年08月29日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?
偏差値37のバカが見つけた必勝法
著者
村山太一
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出版社
定価
990円(税込)
出版日
2020年08月29日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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おすすめポイント

人は経験を重ねるほど、変わることが難しくなる。年齢やポストが上がるにつれて、既存のやり方や固定観念に縛られてしまう。変化を迫られても、プライドや成功体験が邪魔をしてすんなりとはいかない。そう聞いてギクリとした方もいるのではないだろうか。

著者の村山太一氏は、誰もが認めるスーパーシェフである。自身がオーナーシェフを務めるイタリア料理店は、ミシュラン一ツ星を9年連続で獲得。そんな村山氏が「強烈な危機感」からサイゼリヤでバイトを始めたのは、40歳を過ぎた2017年。いちバイトとして入店し、高校生上司のもと、店を駆けずり回っている。通常ならまず考えられない光景だろう。

村山氏の信念は一つ、「人を幸せにしたい」である。スタッフの幸せが生産性の向上につながり、生産性が上がることでさらに余裕ができ、幸福度が増していく。そんな好循環を追求するには、サイゼリヤでのバイトが一番の近道だったという。まさに、学びのための社会人バイトである。著者はサイゼリヤの現場でスポンジのように吸収し、学んだことを店に取り入れていった。その結果、生産性も収益もスタッフの幸福度も一気に上がったという。

そんな著者の思考法や経験が惜しみなく紹介されているのが本書だ。読み進めていくにつれ、経験に固執することが、いかに無駄なことかと気づかされる。本当に大切なことを突き詰めたら、自分のとるべき行動はおのずとわかるはずだ。本書はそんな大事な問いを私たちに投げかけてくる貴重な一冊だ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

村山 太一(むらやま たいち)
「レストラン ラッセ」オーナーシェフ。
1975年、新潟県十日町市生まれ。北陸学園調理科卒業後、料理の道に進む。イタリア滞在8年。三ツ星レストランの「ダル・ペスカトーレ」で副料理長としてキッチンを采配する。無印良品有楽町店にあるCafe&Meal MUJI(カフェ&ミールムジ)勤務を経て、2011年5月、東京都目黒区に「レストラン ラッセ」をオープン、9年連続で一ツ星を獲得。
しかしレストラン経営に限界を感じ、2017年よりサイゼリヤ五反田西口店にてアルバイトを開始。その様子を伝えるnote『目黒の星付きイタリアンのオーナーシェフは、サイゼリヤでバイトしながら2億年先の地球を思う。』が26万PVを記録し話題になる。 新規事業にも積極的に進出し、一夜限りの野外レストラン「トレジャーディナー」や、JAXAが主催するISS(国際宇宙ステーション)関係国来賓を招いた日本初の大規模食事会を成功させる。日本海最大レストランHIGH AMBITION総合プロデューサー、津南醸造取締役、食品企業コンサルタントとしても活動している。本書が初の著書となる。

本書の要点

  • 要点
    1
    著者がバイトを始めたきっかけは、強烈な危機感である。生き残るためには危機感を持ち、多くのことに気づいてすぐに行動に移す「サバンナ思考」を持たなければならない。
  • 要点
    2
    固定観念は人の成長を止める。常に「当たり前」を疑い、変化や行動を起こすことが大事である。
  • 要点
    3
    一流になりたければ、一流の人を完コピする「マヨネーズ理論」が有効だ。
  • 要点
    4
    目的をもった社会人の休日バイトはMBA以上の効果がある。そのためには「バカ」になり、すべてを学びに生かす気構えが必要となる。

要約

コロナ禍に黒字を出した奇跡のレストラン

経営を改善した「最高のバイト」
ClarkandCompany/gettyimages

著者が経営するイタリアンレストラン「ラッセ」は、2011年のオープン以来、ミシュランの一ツ星を9年連続で獲得している。はたからは大成功に見えたかもしれないが、実際は、長時間労働で人間関係は最悪、経営もギリギリであったという。

著者は「このままではまずい」と一念発起し、サイゼリヤでバイトを開始することとなる。そこでの学びを自分の店に生かしたところ、経営が劇的に改善した。その結果は以下の通りである。

・スタッフ1人当たりの年間売上 850万円→1850万円(約2.2倍)

・経常利益率 8%アップ

・労働時間 16時間→9時間半(約4割減)

・従業員数 9人→4人(効率化により少人数で店を回せるようになったため)

結果的に、人時生産性(従業員1人の時間当たり生産性)は約3.7倍となった。スタッフのストレスが減ったことで、人間関係もよくなったという。

2020年のコロナ危機では、多くの飲食店が自粛や時短に追い込まれ、苦境に立たされた。しかし「ラッセ」は、最も厳しい3〜5月も黒字を達成し、「飲食店の奇跡」といわれたほどだ。

この奇跡を生んだのは「原理原則を守っていたから」である。この原理原則とは「より良い方向に変化し続ける」ということだ。具体的にそれを支えるのが、これから解説する「サバンナ思考」と「マヨネーズ理論」である。

ネガティブこそ最高の思考法「サバンナ思考」

危機感×気づき×即行動
WLDavies/gettyimages

著者がサイゼリヤでバイトを始めたきっかけは、強烈な危機感であった。今回のコロナ危機で明らかになったように、平穏な日常は簡単に崩れ去る。著者のまわりでも、いくつものレストランが閉店に追い込まれた。ミシュランの星付きレストランですら、スタッフを半分解雇した店もある。

昔、テレビ番組の「野生の王国」にこんなシーンがあった。サバンナでライオンがシマウマにかぶりついて腹を引き裂いている。著者は子どもの頃にこれを観て、自分がシマウマになったような気分だったという。

弱者はとにかく逃げて、生き残らなければならない。そのため、危機感を持ち、一つでも多くのことに気づき、すぐに行動することが求められる。著者はこれを「サバンナ思考」と呼ぶ。つまり、危機感×気づき×即行動である。

サバンナ思考は、基本的にネガティブな思考法だ。夢や目標に向かって突き進むのは素晴らしい。しかし、落とし穴に落ちたら意味がない。常に強烈な危機感を持ち、最悪の結果を回避しなければならない。そのためにマイナスにつながる要因をつぶしていき、どんな小さな気づきでも行動に結びつけていく。このサイクルを高速で回せば、楽しく生き残れるようになる。

最大の敵「ウェイト&ストップ思考」

サバンナ思考の最大の敵は、思考停止して変化しなくなることである。著者はこれを「ウェイト&ストップ思考」と呼んでいる。

著者もかつては、この思考の罠にハマっていた。業界の常識や有名店での修行で見聞きしたことを疑わず、それをそのまま店に持ち込んでいた。スタッフを低賃金で酷使することも当たり前。その結果が、散々なものであったことはいうまでもない。

ウェイト&ストップ思考の最大の原因は、固定観念だ。それを壊すには、次の3つの問いが効果的である。日々の仕事や生活パターンに対して

・本当に、それで自分は幸せになれるか?

・本当に、みんなは幸せになれるか?

・本当に、稼ぐことができるか?

問いの答えがすべてYESなら続ければいい。しかしNOであるなら、何か行動を起こすべきだ。人間は、自分にとって都合のいいことを考える傾向がある。だから危機感に目をつぶり、物事の本質が見えなくなる。

ミシュランガイドもその一つだ。著者は以前、ミシュランの評価を気にして、星を増やすことを最優先にしていた。ところが、それでは自分自身が疲弊してしまったため、自分なりの価値観を反映したレストランをめざすことにした。もしあのとき方向転換していなければ、遅かれ早かれ店も著者自身もつぶれていただろう。このように、世の中のルールから自由になると、本当に大切な価値観が見えてくる。

完コピで超速成長「マヨネーズ理論」

一流を丸パクリする
yulka3ice/gettyimages

いつライオンに食べられるかわからないサバンナでは、のんびり成長している時間はない。そこで出番となるのが「マヨネーズ理論」だ。これは、すごい人のやり方を丸パクリして、最速最短で成長するメソッドである。

マヨネーズは、卵黄、油、酢、塩を混ぜるだけの簡単な食品である。しかし、マヨネーズの発明にはかなりの時間を要しただろう。これを一生かけて発明する人生も素晴らしいが、もっと良い方法がある。それは、マヨネーズのつくり方を知っている人に教わることだ。

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