つなぐ時計

吉祥寺に生まれたメーカーKnotの軌跡
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東京・吉祥寺に日本製の時計メーカーKnotがあることをご存知だろうか。本書は、Knotの社長である遠藤弘満氏が時計と出会い、Knotを軌道に乗せるまでの軌跡を、ジャーナリストである著者が描いたものである。

会社員の時代から外国産の時計を扱っていた遠藤氏は、順風満帆のようで度重なる「裏切り」に苦しめられてきた。会社をともに立ち上げた先輩に主力商品を奪われる。順調に進んでいた仕入れ先ブランドは急に消失する。オーナーからの一方的な通告で社長を解任される。無職になりどん底まで落ち込みながらも、仕事への、そして時計というアイテムへの熱意を失わなかった。ついには、日本製の時計ブランドの立ち上げを決意するに至る。

現在Knotは、海外含め17店舗を展開し、若者を中心に大きな支持を集めている。手軽で低価格ながら高品質でファッション性にすぐれた時計を身につけられるブランドとしてブームを作りだし、年商は20億円にも迫る勢いだ。その舞台裏には、日本の伝統工芸を守り継ぎたいと願う遠藤氏と、彼を支える家族、仲間たちとの熱く、ときには悲しいドラマがあった。ひとつの時計ブランドが生まれ、育っていくなかでの筆舌に尽くしがたい展開は、まさに「事実は小説より奇なり」という言葉が似合うほどにドラマチックである。

仕事への熱意を失いがちな人、日本の産業を盛り上げたいと考えている人、そしてもちろん、Knotの時計を愛するすべての人におすすめしたい一冊である。

ライター画像
池田明季哉

著者

金田信一郎(かねだ しんいちろう)
1967年東京都生まれ。日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日本経済新聞編集委員などを経て2019年に独立、「Voice of Souls」創刊。著書に『失敗の研究 巨大組織が崩れるとき』(日本経済新聞出版社)、『テレビはなぜ、つまらなくなったのか』(日経BP社)、『真説バブル』(日経BP社、共著)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    同僚との仲違い、契約していた海外ブランドの消失、社長解任と、遠藤には数多くの困難と挫折があった。その経験から、遠藤は日本製の時計ブランドの立ち上げを決意する。
  • 要点
    2
    創業後も、生産ラインの確立や下請け会社との確執、日本の伝統産業への働きかけなど、Knotには数多の試練が訪れる。
  • 要点
    3
    課題のひとつひとつに向き合い、Knotは順調に会社として成長していく。日本のものづくりを若者に、ひいては国外に、と願う遠藤の挑戦はこれからも続いていく。

要約

ブランドの消失と社長解任

遠藤弘満と時計の出会い
mustafagull/gettyimages

日本製時計メーカーとしては80年ぶりの新会社設立となったKnotを2015年に創業した遠藤弘満が、時計の世界に最初に足を踏み入れたのは、フジテレビが深夜に放送していたテレビショッピング番組「出たMONO勝負」からだった。番組に商品を提供していた遠藤は、ドイツのミリタリー系の時計メーカーSinnを扱う代理店の社長と懇意になったことで、もともとのモノオタクの血をざわつかせることとなったのだ。アメリカで流行していたルミノックスというミリタリーウォッチに展示会で目をつけ、2000年に日本で販売するに至った。

しかし、ルミノックスの成功は、会社を一緒に運営していた先輩と遠藤との間に亀裂をもたらすことになってしまった。遠藤が販売権を取得して宣伝マーケティングまで担当してきたルミノックスに、先輩はそれまでまったく関与していなかった。にもかかわらず、ルミノックスの国内一号店の出店場所を遠藤に断りなく決めてしまったのだ。

遠藤は、ルミノックスを残して会社を去ることを決意する。それに、ルミノックスはテレビや映画の力を借りてヒットしただけの商品だと感じていた。次は経営として成功させると心に決めて、今度は一人でイーコンセプトという会社を立ち上げた。

スカーゲンのヒット

新しい会社で具体的に何を売るかは決めていなかったが、すでに世界に仕入れのネットワークを構築し国内での販売実績もあった遠藤には、何を売っても上手くいくだろうという自信があった。

そんなある日、かつての部下が『通販生活』の北欧特集で扱う商品を求めて遠藤に泣きついてきた。デンマークのスカーゲンという面白い時計があったことを思い出すが、遠藤は独立してから時計を扱ってはいなかった。ルミノックスを手がけたことで、海外時計ブランドを日本で展開する難しさがわかっていたからだ。しかし、遠藤はスカーゲンの「何か」が気になっていた。結局、それを遠藤自身が仕入れることになる。

多くの業者が輸入しては失敗を繰り返していたスカーゲンであったが、Gショックのような「デカ厚」が主流であった時計市場であえて「薄さ」を強調する戦略が功を奏し、大ヒット商品となった。これが端緒となって、遠藤はほかの通販の販路を拡大していく。

しかしあまりの急拡大に、遠藤の会社単体では仕入れの資金が回せなくなっていた。そこで、かねてより遠藤の才能をかっていたエムズ商事に資金面で支援してもらうことになる。そして2005年、イーコンセプトとエムズ商事は合併してフューチャー・コモンズ社となり、遠藤はその代表に就任した。スカーゲンは日本で年間10万本を売り上げる巨大ブランドに成長していった。

突然の事業消滅と社長解任
selimaksan/gettyimages

そんななか、不吉な兆候が訪れる。スカーゲンの経営トップが変わり、遠藤と取引をしていた人物がお払い箱となったのだ。ドイツの代理店契約も解消となっている。次は遠藤の番かもしれない……。

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