内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法

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内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法
出版社
出版日
2020年05月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

社交的であること、積極的であることが評価される時代だ。私たちは子どものころから、外向型であれと指導され、外向型でなければ成功できないと思い込まされてきた。就職試験ではもちろん、学校の入学試験でさえ、外向型が高く評価されているように思う。我が子がクラスのリーダーではなく、ひとりで教室の隅にいるタイプだと親は心配し、本人もコンプレックスを抱いてしまうこともある。内向型人間にとっては、生きにくい世の中なのである。

では、内向型だと幸せになれないのか。いや、外向型を理想とする考えを鵜呑みにするのは大きな間違いだ。現代の社会を形づくっている偉大な発明や政治経済そのほか各種の活動の一部は、内向型人間によるものである。

本書は、そもそも外向型・内向型とは何なのか、外向型が評価されるようになったのはなぜなのかを明らかにするところから始まる。そして、著名人の例を出しながら、いかに内向型が世の中で大切な存在であるかを述べている。相対性理論も、ゴッホのひまわりの絵も、パソコンも、自分の内的世界に耳を傾け、そこに秘められた宝を見つけるすべを知る、物静かで思索的な人々によるものだ。

なお、要約者がとくに興味を惹かれたのは、本人の性格がどのようにして決まるかについて解説したくだりだ。内向型・外向型は、生まれついてのものなのか、それとも育ちによるものなのか。本書を読めば、その答えがわかる。世の中の何分の1かを占める内向型人間が自信を得て、幸せになれる一冊である。

ライター画像
上條まゆみ

著者

スーザン・ケイン(Susan Cain)
プリンストン大学卒業、ハーバード大学ロースクール修了。ウォール街の弁護士を経て、ライターに転身。『ニューヨーク・タイムズ』『ウォールストリート・ジャーナル』紙、『アトランティック』誌などに寄稿するほか、企業や大学などでコミュニケーション・交渉術の講師も務める。TED2012の”The power of introverts”と題された講演は2500万回以上インターネットで視聴された。本書は1作目の著書で、すでに40言語に翻訳された。

本書の要点

  • 要点
    1
    人の性格には、内向型と外向型の2つのタイプがある。
  • 要点
    2
    20世紀以降、アメリカの社会では、外向型が理想とされるようになった。しかし、内向型のもつ静かなリーダーシップや創造性もまた、社会に必要とされている。
  • 要点
    3
    内向型・外向型の気質は変えられないが、最適なレベルの刺激を与えることで、その能力を伸ばすことができる。自分の特性を知って、その力を発揮できる環境に身を置くのが賢い生き方だ。

要約

外向型が優れているという思い込み

外向型と内向型

私たちの性格には、内向型・外向型がある。統計によれば、アメリカ人の場合、3分の1から2分の1が内向型だ。

内向型と外向型とは、どんなものか。その定義には侃々諤々(かんかんがくがく)の議論があり、万能のものはない。今のところ研究者たちの間で合意に達しているのは、内向型と外向型では、うまく機能するために必要な外部からの刺激のレベルが異なるということだ。

内向型は、低刺激がちょうどいい。一方、外向型は、高刺激を楽しむ。行動パターンでは、内向型はゆっくりと慎重で、外向型はすばやく、一度にいくつものことをこなす。こうした違いは、人づきあいのスタイルにも影響している。

外向型が重んじられる理由
Farknot_Architect/gettyimages

内向型・外向型のどちらが優れているということはない。しかし今日、社会が求める性格タイプは、外向型に偏っている。私たちは、成功するには大胆でなければならない、幸福になるには社交的でなければならないと教えられ、外向型人間を理想とする価値観のなかで暮らしている。

この価値観が根付いたのは、20世紀以降、アメリカが「人格の文化」から「性格の文化」へと変容したことに端を発すると言われている。「性格の文化」が重要視される社会では、慎み深さや礼儀正しさより、自信ある態度や大胆な行動がよしとされるのだ。学校教育でも、知識より外向性が重んじられるようになっている。

内向型のリーダーたち

「世界を変えるリーダーを教育する場」であるハーバード・ビジネススクールは、外向型人間の集まりのように見える。ここでは、リーダーは自信を持って行動し、不十分な情報しかなくても決断しなければならないと教えられる。そこで学生たちは、成績も社会的ステータスも外向性しだいだと思い込む。実際、私たちはよくしゃべる人をリーダーとみなしがちだ。

しかし研究によれば、雄弁さは洞察力の深さと相関しないことがわかっているし、内向型でも有能なリーダーはたくさんいる。アメリカを代表する実業家のチャールズ・シュワブ、ビル・ゲイツ、世界最大のアパレルメーカー〈サラ・リー〉のCEOだったブレンダ・バーンズなどがその例だ。私たちは、リーダーたるもの社交性に富んでいるべきだと思い込んでいるだけなのだ。

内向型リーダーは外向型リーダーとどう違うのだろう。その答えのひとつは、内向型リーダーは手柄を自分ひとりのものにしたり賞賛されたりすることに関心を持たず、部下を適材適所に配置して最大限に力を発揮させるということだ。内向型リーダーは、他のリーダーなら自分のためにとっておくような、もっとも興味深く有意義で重要な仕事を他人に任せる傾向にある。

内向型が共同作業を嫌うワケ

内向型の豊かな創造性
Sisoje/gettyimages

研究によれば、すばらしい創造性に富んだ人々の多くは、落ち着いた内向型である。その理由は、内向型は単独作業を好むからだ。孤独は革新の触媒になりうる。

心理学者によれば、内向型は「当面の課題に意識を集中させ、仕事と関係のない人間関係や性的な問題にエネルギーを消費することを避ける」。ならば、企業は従業員にプライバシーと自主性を与えるべきではないだろうか。

それなのに、現代の社会では、逆の方向に向かっている。

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要約公開日 2020.10.31
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