ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから
タレントマネジメント入門の表紙

タレントマネジメント入門

個を活かす人事戦略と仕組みづくり


本書の要点

  • タレントマネジメントとは、「組織レベルの戦略や目的の達成に貢献する重要職務に、適切な人材を絶え間なく配置するための試み」を指す。

  • タレントの選別は「職務ベース」で考える。すなわち、組織の戦略や目的の達成に貢献する可能性の高い職務を決め、それから適合性を考慮した人材を配置する。

  • タレントマネジメントは、旧来の日本型人事管理が行ってきた長期安定雇用における「適者生存」モデルから脱却し、その時々で必要な人材を登用していく「適者開発」へのアプローチを促す効果がある。

1 / 4

【必読ポイント!】 タレントマネジメントとは

タレントマネジメントの誕生

teekid/gettyimages

タレントマネジメントの起源は、マッキンゼーが1997年に提唱した「ウォー・フォー・タレント」という言葉にある。この概念は、経営層やマネジャーとして企業を牽引する優れた人材(=タレント)の獲得や育成に成功した企業がビジネスを制する、ということを示したものだ。しかし現在は、大多数の「普通の人材」の優れた部分も注目され、その部分を活かす働き方の提供が重要だとされるようになってきた。

もともとタレントマネジメントは、世界的な人材獲得・育成競争に打ち勝つために検討されたものだ。しかし伝統的な日本企業の人事管理の諸課題を解決するうえでも、タレントマネジメントは示唆にあふれている。旧来の日本型人事管理における能力開発やキャリア開発は、長期安定雇用のもと、OJTを軸に据えた幅広い視点で行われてきた。だが変化の激しい現代において、従業員は新しい能力やスキルを、短期間で獲得しなければならない。加えて、業務経験を通じて能力を獲得するという前提が、多忙な現代の職場においては問題視されている。

タレントマネジメントは、「キーポジションの担い手となる従業員を重点的に管理する」という点で、キャリアの全体的な底上げを図る旧来の日本型人事管理とは異なる。またキーポジションの確保にあたり、社内だけでなく社外の人材も積極的に取り入れようとする。近年、特定の組織にとどまらない多様なキャリアを構築しようとする個人のニーズが高まっているが、こうした動きへの一つの回答にもなりうるのがタレントマネジメントである。

タレントの考え方

本書におけるタレントとは、「ある特定の能力・才能・資質を有する人材」を指す。そこには、能力は後天的に獲得できるし、資質は伸ばせるという考え方がある。

タレントを選別する基準は2つあり、人材が持つ特性や価値に着目する「人ベース」と、人材が担う職務の重要度に着目する「職務ベース」の考え方に分かれる。人ベースは「高い能力を持った人材が組織業績を押し上げる」という考えのもと、パフォーマンスやポテンシャルの高さに基づいてタレントを選別する。だが市場価値が高い人材ほど、他社への転職が容易であり、退職リスクが高くなるという課題がある。一方で職務ベースでは、まずキーポジションを特定し、そこを担う人材の要件を決める。重視されるのは、組織の戦略や目的の達成に貢献する可能性の高低だ。

本書は、戦略や目的とタレントの要件定義との適合性が考慮された「職務ベース」を、より実践的であると捉える。そしてタレントマネジメントを、「組織レベルの戦略や目的の達成に貢献する重要職務に、適切な人材を絶え間なく配置するための試み」と定義する。

2 / 4

効果

適者生存から適者開発へ

adrian825/gettyimages

タレントマネジメントを実施する目的は、「組織の戦略や目標を支援し、タレントの戦略的活用によって利益を高める」ことである。そのひとつの効果として、人材を管理する視点が「○年入社組」や「係長・課長・部長」といった集団的管理から、

もっと見る
この続きを見るには...
残り2646/3910文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2020.12.27
Copyright © 2026 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

読んでいない本について堂々と語る方法
読んでいない本について堂々と語る方法
ピエール・バイヤール大浦康介(訳)
戦略の創造学
戦略の創造学
山脇秀樹
つぶれない会社のリアルな経営経理戦略
つぶれない会社のリアルな経営経理戦略
前田康二郎
ブランデッドエンターテイメント
ブランデッドエンターテイメント
鈴木智也(監修・訳)PJ・ペレイラ(編)
ワイズカンパニー
ワイズカンパニー
黒輪篤嗣(訳)野中郁次郎竹内弘高
自己満足ではない「徹底的に聞く」技術
自己満足ではない「徹底的に聞く」技術
赤羽雄二
読書に学んだライフハック
読書に学んだライフハック
印南敦史
リーダーを目指す人の心得 文庫版
リーダーを目指す人の心得 文庫版
井口耕二(訳)コリン・パウエルトニー・コルツ

同じカテゴリーの要約

「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか
「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか
三宅香帆
頼るのがうまい人がやっていること
頼るのがうまい人がやっていること
有川真由美
リーダーの否定しない習慣
リーダーの否定しない習慣
林健太郎
記憶脳
記憶脳
樺沢紫苑
「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
藤吉豊小川真理子
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
リーダーの「任せ方」の順番
リーダーの「任せ方」の順番
伊庭正康
無料
締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか
締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか
安達未来
カスハラの正体
カスハラの正体
関根眞一
経営12カ条
経営12カ条
稲盛和夫