人工知能が「生命」になるとき

未 読
人工知能が「生命」になるとき
ジャンル
著者
三宅陽一郎
出版社
定価
3,080円(税込)
出版日
2020年12月16日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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人工知能が「生命」になるとき
人工知能が「生命」になるとき
著者
三宅陽一郎
未 読
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定価
3,080円(税込)
出版日
2020年12月16日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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レビュー

「人工知能」と聞くと、フィクションの中に登場するような、人間と見分けがつかないような高性能のロボットを想像してしまう。しかし、現在の人工知能は、与えられた課題を、設定された枠組みの中でこなすことしかできない。たとえば、ロボット掃除機も人工知能の一種だが、ロボットに部屋を掃除させるには、人間があらかじめ床のものを片付けて準備をしなければならない。また、ロボット掃除機が床掃除以外のことをできるようになることはない。これでは理想の人工知能からはほど遠い、と違和感を覚える人は少なくないだろう。

現役のゲームAI開発者である著者の三宅陽一郎氏は、この「違和感」の正体を明らかにし、そして真に「生命」のような人工知能を誕生させるための道筋を描こうと試みている。その際に重要になるのが、西洋と東洋の思想的対立への理解だ。西洋生まれの人工知能に、東洋の思想をぶつけていくことで、人工知能は一段上の段階へと引き上げられ、「人工生物」へと近づいていく可能性がある。そして、豊かなキャラクター文化を持つ日本の土壌は、「人工生物」の実装に優位に働くだろうと指摘されている。私たちが夢見る人工知能の実現、そこに日本が果たせるかもしれない役割を想像すると、なんともワクワクさせられる。人工知能について理解を深めたい方、人工知能と人間の未来の姿に触れたい方に、じっくりと読んでいただきたい一冊だ。

大賀祐樹

著者

三宅陽一郎(みやけ よういちろう)
ゲームAI開発者。京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程を経て、2004年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。立教大学大学院人工知能科学研究科特任教授、九州大学客員教授、東京大学客員研究員、国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理事、人工知能学会理事・シニア編集委員。著書に『人工知能のための哲学塾』『人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇』『人工知能のための哲学塾 未来社会篇』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『ゲームAI技術入門』(技術評論社)、共著に『ゲームで考える人工知能』(ちくまプリマー新書)、『ゲーム情報学概論』(コロナ社)、『FINAL FANTASY XV の人工知能』(ボーンデジタル)など多数。
Twitter:@miyayou

本書の要点

  • 要点
    1
    人間中心主義の西洋は、「人工知能はサーバント(召使い)である」と見なす。一方、日本は自然中心主義の中で、人工知能を横並びの存在であると見なし、同胞として受け入れようとする。
  • 要点
    2
    日本固有の土壌に立脚し、日本は「キャラクターエージェントとしての人工知能」で世界をリードできる可能性がある。
  • 要点
    3
    西洋で生まれた人工知能に、東洋の思想をぶつけていくことで、新しい人工知能、ひいては「人工生物」というべき生命体を作り出す道が拓けていくことだろう。

要約

西洋の人工知能と東洋の人工知性

西洋と東洋の知能観の対立
Macrovector/gettyimages

「人工知能」の話を聞いたとき、「思っていた人工知能と違う」と違和感を抱いたことはないだろうか。その違和感は、日本の社会や文化の様相が、西洋の提示する「人工知能」と対立することから来ているのかもしれない。本書では、東洋が求める人工知能を「人工知性」という言葉で表現し、西洋の「人工知能」と東洋の「人工知性」の対立を、発展的に統一することを目標とする。

東洋と西洋は、対照的な知能観を持っている。西洋では「人工知能はサーバント(召使い)である」という、人間中心主義の考えが一般的だ。人間の知能を模倣するように人工知能を作り、人間との上下を明確にし、立場の逆転を恐れる。『ブレードランナー』(1982年)で短命のアンドロイドたちが自分たちを作り出した企業に反抗するように、西洋のフィクションに出てくる人工知能は、たいていの場合は人間への反逆を企てる。

一方、日本は自然中心主義の中で、人間とは異なる横並びの存在として人工知能を作り、同胞として受け入れる。『鉄腕アトム』(手塚プロダクション、1963年)に代表されるように、日本のフィクションの人工知能は人間と対等な友人として描かれている。また、キャラクターに対する思い入れが強い日本は、人工知能を受け入れるために「キャラクター化」を必要とすることも一つの特徴だ。

この日本特有の土壌に立脚し、日本は「キャラクターエージェントとしての人工知能」という分野を発展させることができるはずだ。この分野は、日本が人工知能の領域でリードを取れる可能性のある数少ない分野でもある。これを活かすには、日本の土壌を認識した上で、人工知能を探求していくことが重要となる。

【必読ポイント!】 自ら世界と関係を築く人工知能を目指して

人工知能のフレーム問題
metamorworks/gettyimages

「考えるべき要素」「それに対する操作」「設定されたゴール」のセット、いわゆる「フレーム」を与えられたとき、人工知能は人間よりも圧倒的に優秀な答えを出すことができる。ところが、「閉じられた問題」としてフレームが与えられたときには優秀な人工知能であっても、フレームの外へ一歩出るとたちまち無力になってしまう。囲碁AIが囲碁以外の何かをできるようになることはない。これが「フレーム問題」だ。

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