99.9%は幸せの素人
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99.9%は幸せの素人
出版社
出版日
2020年11月27日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「多くの人の日々の頑張りは、科学的に正しくない。」本書はこんな衝撃的な一文から始まる。いったいどういう意味が込められているのだろうか? 著者によると、日々の努力は「生きるための努力」であり、「自分を幸せにする努力」になっていない可能性が非常に高いという。それは、私たちが「幸せになるための授業」を受けていないからだ。たしかに要約者が自身を省みても、スキルアップのための努力が幸せに寄与したかというと怪しい面がある。

本書は、よくある「幸せの思い込み」を覆す新常識を授けてくれる。例えば、「一日一善」はよいことだといわれているが、それでは私たちは幸せを感じにくい。また、20代と60代の幸福度はほぼ同じで、80代のほうが20代より幸福度が高いというのだ。

では幸せになるにはどうしたらいいのか。この疑問に対して、お金、結婚、仕事など、各方面から具体的な「行動レシピ」が散りばめられており、「やってみよう!」と読者の背中を押してくれる。

本書は、『神メンタル』『神トーーク』で合計20万部を誇るビジネスコンサルタントの星渉氏と、「幸福学」の権威である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司氏による共著だ。多くのクライアントをメンタル面から変えてきた星氏と、幸福について長年研究を続けてきた前野氏。その強力なタッグによって、わかりやすく説得力あふれる内容が展開される。コロナ禍で幸せの定義が変わりつつある中、改めて幸せとは何かを考えさせてくれる良書だ。

ライター画像
大島季子

著者

星渉(ほし わたる)
株式会社Rising Star代表取締役。1983年仙台市生まれ。「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」をコンセプトに活動し、現在までに講演会、勉強会には10,000人以上が参加し、手がけたビジネスプロデュース事例、育成した起業家は623人にものぼる。ゼロの状態から起業する経営者の月収を6カ月以内に最低100万円以上にする成功確率は、日本ナンバーワンの91.3%を誇り、その再現性の高い、起業家のためのビジネスコンサルティング手法が各方面で話題となる。コンサルティングの申し込みは倍率92.1倍を記録。『神メンタル』『神トーーク』(ともに、KADOKAWA)が合わせて20万部突破のベストセラーとなり、テレビやラジオなど各メディアで取り上げられ注目を集めている。

前野隆司(まえの たかし)
山口生まれ、広島育ち。1984年東京工業大学卒業、1986年同大学大学院修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。博士(工学)。ダンサー、フォトグラファー、作家としても活動している。大学での専門は、幸福学、幸福経営学、システムデザインなど。人々を幸せにするための生活づくり、もの作り、こと作り、組織づくり、地域づくり、教育などの研究を行っている。著書多数。日本機械学会賞(論文)、日本ロボット学会論文賞、日本AEM学会著作賞、日本創造学会論文賞、グッドデザイン賞、地域活性学会10周年記念学会賞などを受賞。

本書の要点

  • 要点
    1
    多くの人が、思い込みにより、頑張りや努力を重ねても幸福から遠ざかっている可能性がある。そこで「幸せになるための正しい知識」と、それに基づいた行動が重要となる。
  • 要点
    2
    お金については、稼ぐことよりも使い方に工夫をする。そして人間関係については、人との温かいつながりをつくり出す。そうすれば幸福度を上げられる。
  • 要点
    3
    人の幸福度に影響を与える感情は、ポジティブ感情、ネガティブ感情、人生満足度の3つである。

要約

私たちは「幸せの素人」

人生の損をしているという事実
martin-dm/gettyimages

誰しも「自分にメリットがある」選択をしたいと思って行動している。しかし、本当にそれにメリットがあるのかどうかが定かではなくても、人間の脳は、一度選択した行動を正当化しようとする。さらには、損をする選択自体を「正しい」と思い込み、その選択を繰り返していく。「頑張っているのに望む結果が得られない」「なぜか毎日に充実感がない」。こうした「モヤモヤ」も実はこのメカニズムに関係している。

例えば、次のようなことを「正しい」と思い込んでいないだろうか。家族のために一生懸命働くことは素晴らしいことだ。夢や目標が叶ったら幸せになれる。嫌なことがあっても常にポジティブでいることが大切だ。

実はこれらは、私たちを苦しめ、損をさせている可能性がある。本書では、お金、結婚、人間関係、仕事の問題を中心に、幸せにまつわる思い込みの誤りを、科学的な裏付けをもとにして明らかにしていく。

「モノ」ではなく「経験」にお金を使う

お金がすべてではないとよくいわれるが、はたして本当だろうか。実のところ、お金は私たちを幸せにしてくれるということが、科学的にも証明されている。ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授は、「人は収入が増えれば増えるほど幸せになる」と述べている。

ただし、それが成立する限界は、年収800万円だという。800万円付近を境に、それ以上収入が増えても幸福度はほぼ変わらない。また年収が2倍になっても、幸福度は9%しか上昇しないというデータもある。では、お金を通して幸福度を高めるにはどうしたらよいのか。

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要約公開日 2021.02.04
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