サクッとわかる ビジネス教養 地政学

未 読
サクッとわかる ビジネス教養 地政学
ジャンル
著者
奥山真司(監修)
出版社
新星出版社 出版社ページへ
定価
1,200円 (税抜)
出版日
2020年06月16日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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著者
奥山真司(監修)
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定価
1,200円 (税抜)
出版日
2020年06月16日
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4.5
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レビュー

世界地図を見ながら、世界情勢を考える。それが地政学だ。現代ほど、地政学の知識や考え方が求められている時代はないだろう。混迷する世界情勢のなかで、アメリカや中国をはじめとした主要各国は、なぜそのように振る舞い、本音ではどう考えているのか。本書は、そんな国際政治のキモの部分を理解するうえで、うってつけの本だ。とくに「地政学で考える日本の特徴」は、日本人なら誰しも知っていて損はない知見である。

「サクッとわかる」というタイトルに嘘はない。監修を務める奥山真司氏は、防衛省の幹部や幹部候補生だけではなく、大学生にも地政学を教えている。国防のプロにも初心者にも教えているからこそ、地政学の根本をわかりやすく解説できるというわけだ。しかもすべての項目が、見開き2ページ、オールカラーのイラストや図解つきでまとめられている。「すべての内容は地図とともに説明できる」とあるとおり、さまざまな工夫やアイデアに満ちた本になっている。

地政学の考え方は、もっとも揺るぎない世界の見方である。本書を読めば、新聞の国際欄がずっとエキサイティングになるはずだ。

たばたま

著者

奥山真司 (おくやま まさし)
1972年横浜市生まれ。地政学・戦略学者。戦略学Ph.D.(Strategic Studies)。国際地政学研究所上席研究員。戦略研究学会編集委員。日本クラウセヴィッツ学会理事。
カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学(BA)卒業後、英国レディング大学院で、戦略学の第一人者コリン・グレイ博士(レーガン政権の核戦略アドバイザー)に師事。地政学者の旗手として期待されており、ブログ「地政学を英国で学んだ」は、国内外を問わず多くの専門家からも注目され、最新の国家戦略論を紹介している。
現在、防衛省の幹部学校で地政学や戦略論を教えている。また国際関係論、戦略学などの翻訳を中心に、若者向けの国際政治のセミナーなども行う。

著書に『地政学 アメリカの世界戦略地図』(五月書房)、『“悪の論理”で世界は動く!』(李白社)、『世界を変えたいなら一度“武器”を捨ててしまおう』(フォレスト出版)、訳書に『大国政治の悲劇』(ジョン・ミアシャイマー著)、『米国世界戦略の核心』(スティーヴン・ウォルト著)、『進化する地政学』(コリン・グレイ、ジェフリー・スローン編著)、『胎動する地政学』(コリン・グレイ、ジェフリー・スローン編著)、『幻想の平和』(クリストファー・レイン著)、『なぜリーダーはウソをつくのか』(ジョン・ミアシャイマー著、以上、五月書房)、『戦略論の原点』(J・C・ワイリー著)、『平和の地政学』(ニコライ・スパイクマン著)、『戦略の格言』(コリン・グレイ著、以上、芙蓉書房出版)、『インド洋圏が、世界を動かす』(ロバート・カプラン著、インターシフト)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    地政学における6つの基本的な概念を使えば、それぞれの国のふるまいが理解できる。
  • 要点
    2
    日本の地政学的メリットは、自給可能な面積を持つ島国であるということだ。
  • 要点
    3
    アメリカは、500以上の軍事拠点を世界中に持ち、覇権を維持している。
  • 要点
    4
    中国は、国内の治安維持費が国防費を上回るという珍しい国である。
  • 要点
    5
    「中華帝国の偉大なる復興」を目指す中国と、覇権を渡したくないアメリカで「新冷戦」が始まっている。アメリカの戦略のひとつは、直接武力を行使せず、中国の嫌がることを仕掛けていくことにある。

要約

地政学のルール

まずは行動原理を知る
p.19より引用

国際政治を「劇」とすれば、地政学は「舞台装置」だ。国際政治を冷酷に見る視点やアプローチとして、ここでは6つの基本的な概念を紹介する。これらの見方を理解することによって、衝突が頻発するエリアにおける、それぞれの国のふるまいが理解できるようになるだろう。

一つ目は「コントロール」だ。大国は自国を優位な状況に置きながら、相手国をコントロールすることを常に考えている。この視点を忘れてはいけない。

二つ目は「バランス・オブ・パワー」、つまり勢力を均衡させようとする国際関係のメカニズムである。この行動原理を理解することが重要である。たとえば大英帝国時代のイギリスは、世界中の国と戦ったわけではない。ヨーロッパで強大な国が登場したときのみ、周辺国と協力しながら戦って勝利し、世界の覇権を守ってきたという歴史がある。

すべては位置関係で決まる

三つ目は、「チョーク・ポイント」を押さえること。国際間での大規模な物流(たとえば石油など)は、すべて海路で行われている。多くの船が通らざるを得ない海上の関所である運河や海峡を押さえることで、他国より優位に立つ戦略だ。

四つ目は、「ランドパワー」と「シーパワー」である。「ランドパワー」とはユーラシア大陸にある大国を指し、ロシア、中国、ドイツ、フランスなど陸上戦力に強みを持つ国のことだ。一方の「シーパワー」は、イギリス、日本といった海洋国家に加え、大きな島国と考えられるアメリカのことを指す。歴史的に大きな国際紛争は、常にこのランドパワーとシーパワーのせめぎ合いのなかで起きていることがわかっている。

なぜ諸外国に拠点を持とうとするのか

五つ目は、「ハートランド」と「リムランド」という考え方だ。ユーラシア大陸の中心エリアを「ハートランド」と呼ぶ。厳しい環境の「ハートランド」の国は、その周縁(リム)にある「リムランド」の国々へ侵攻することを常とする。朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争は、まさに両勢力が衝突して起こった戦争だといってよい。

最後は「拠点」の重要性だ。たとえば沖縄の米軍基地は、主に中国や北朝鮮に影響力を持つための拠点だ。ほかにも米軍は、インド洋のディエゴ・ガルシア島やドイツのラムシュタインなどにも大規模な拠点(基地)を展開しながら、対抗勢力であるイランやロシアを監視している。一方で急成長する中国も、いま南シナ海に続々と拠点を築きつつあり、周辺国やアメリカと対立構造を生んでいる。

これら6つの視点・アプローチを持つと、世界情勢の背景が理解できるようになる。

【必読ポイント!】 日本の地政学

島国のメリットは大きい

日本の歴史を振り返ると、江戸時代までの海外との衝突は、たった3回である。つまり飛鳥時代の「白村江の戦い」、鎌倉時代の「元寇」、そして安土・桃山時代の豊臣秀吉による「朝鮮出兵」だけだった。

衝突が少なかったのは、日本が自給可能な面積を持つ島国で、海外から攻めづらかったからという理由が大きい。そのうえ、ヨーロッパから遠いという地理環境も良かった。だから明治時代においても、産業を発達させる時間を稼ぐことができ、日本は軍事力をつけられたのである。中国のように植民地にならずに、独立を維持できたのもこのためだ。

ロシアが北方領土を返さない3つの理由

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