道をひらく

未読
道をひらく
道をひらく
未読
道をひらく
出版社
出版日
1968年05月01日
評点
総合
4.7
明瞭性
5.0
革新性
4.0
応用性
5.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

松下幸之助氏は、明治に生まれ、平成元年に没した実業家である。一代にしてパナソニックを築きあげたその手腕から「経営の神様」と称えられる、日本の誇る偉人のひとりといっていい人物だろう。23歳で起業してから94歳でこの世を去るまで、単に実業家として利益をあげただけではなく、PHP研究所や松下政経塾を設立し、多数の人材を輩出するなど、広く天下国家のために尽くした人物でもあった。

本書『道をひらく』は、松下幸之助氏がPHP研究所の機関誌「PHP」に寄せた短文をまとめたものだ。「その一篇一篇は、時にふれ折りにふれての感懐をそのまま綴ったものである」と本人はまえがきで語っているが、その考え方やものの見方には、松下幸之助氏の成功の裏側にあった、普遍的な哲学が流れている。

本書の持つ意味について、要約者が語るべきことは多くない。代わりに本書の序文の一部を以下に引用しよう。

「雨がふれば 人はなにげなく 傘をひらく/この 自然な心の働きに その素直さに/私たちは日ごろ あまり気づいてはいない/だが この素直な心 自然な心のなかにこそ/物事のありのままの姿 真実をつかむ/偉大な力があることを 学びたい」

ライター画像
池田明季哉

著者

松下幸之助(まつした こうのすけ)
パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者、PHP研究所創設者。
明治27(1894)年、和歌山県に生まれる。9歳で単身大阪に出、火鉢店、自転車店に奉公ののち、大阪電燈株式会社に勤務。大正7(1918)年、 23歳で松下電気器具製作所(昭和10年に松下電器産業に改称)を創業。昭和21(1946)年には、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄 によって平和と幸福を」のスローガンを掲げてPHP研究所を創設。平成元(1989)年に94歳で没。

本書の要点

  • 要点
    1
    人には、与えられた道がある。歩いているときは遠い道のように思えても、休まず歩いていれば、必ず新しい道がひらけてくる。
  • 要点
    2
    雨が降った時、傘や風呂敷がなければぬれるしかない。雨があがったら、もう二度とぬれないために用意しよう。
  • 要点
    3
    人より一時間多く働くことは尊い。一方で、一時間少なく働いて、それでいてより多くの成果をあげることも、同じように尊い。楽々と働き、それでいてすばらしい成果があげられるよう、くふうをこらしたいものだ。

要約

【必読ポイント!】運命を切りひらくために

VisualCommunications/gettyimages

本書は、自分にしか歩めない道を歩むことの大切さを説く、次のような文章からはじまる。「自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある」

また著者はこうも言う。「この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあるだろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか」

これはけっして、あきらめて運命を受け入れるということではない。自分だけに与えられた道を進み続けなさいということだ。休むことなく歩み続ければ道はひらける。「他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ、心を定め、懸命に歩まねばならぬ」のである。心を決めて歩みをつづけることで、自分に与えられた道をひらくのだ。

素直に生きる

逆境について、著者は「その人に与えられた尊い試練であり、その境涯にきたえられてきた人はまことに強靭である」と語る。その一方で、「だが、これを尊ぶあまりに、これにとらわれ、逆境でなければ人間が完成しないと思いこむことは、一種の偏見ではなかろうか」と指摘する。逆境だけでなく順境もまた尊いものだ。大切なのは、どんな状況にあってもその運命を受け入れ、素直に生きることなのだ。

「素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人、その道程は異なっても、同じ強さと正しさと聡明さを持つ」――これが著者の主張である。逆境にとらわれたり順境にあまえたりすることは禁物である。

日々を新鮮な心で迎えるために

雨が降れば

雨が降ったときは、傘をさせばいい。もし傘がなければ、風呂敷をかぶるなどして雨をしのぐ人もいるだろう。風呂敷さえも持っていなければ、雨にぬれるしかない。

雨の日の傘について、著者はこう言う。「雨の日に傘がないのは、天気のときに油断して、その用意をしなかったからだ」

もっと見る
この続きを見るには...
残り3314/4237文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.03.22
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方
オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方
桑野麻衣
未読
「探究」する学びをつくる
「探究」する学びをつくる
藤原さと
未読
1行書くだけ日記
1行書くだけ日記
伊藤羊一
未読
ゼロから学べる! ファシリテーション超技術
ゼロから学べる! ファシリテーション超技術
園部浩司
未読
科学とはなにか
科学とはなにか
佐倉統
未読
渋沢栄一とドラッカー
渋沢栄一とドラッカー
國貞克則
未読
楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか?
楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか?
土屋裕介小屋一雄
未読
「ニューノーマル」最強仕事術
「ニューノーマル」最強仕事術
濱田秀彦
未読