10代から知っておきたい

あなたを閉じこめる「ずるい言葉」

未読
あなたを閉じこめる「ずるい言葉」
10代から知っておきたい
あなたを閉じこめる「ずるい言葉」
未読
あなたを閉じこめる「ずるい言葉」
出版社
出版日
2020年08月23日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

よく聞くせりふだけれど、言われるとなんだかモヤモヤする。だけど、そのモヤモヤをうまく説明できなくて、結局丸め込まれてしまう。そんな経験はないだろうか。本書は、そんな「ずるい言葉」に正しく言い返すための、社会学者の著者による処方箋だ。

要約者は「いちいち取り合っていたらそいつと同じレベルになっちゃうよ」という「ずるい言葉」の解説に興味を引かれた。私が中南米を旅していたとき、現地の人に「Chino(スペイン語で中国人もしくはアジア人を意味する)」とニヤニヤしながら言われたことがあった。後で日本にいる友人に「何か言い返した方が良かったかな?」と話すと、「相手をしたらそいつと同じレベルになるよ」と言われた。これにモヤモヤしたのだ。しかし、そのモヤモヤがどこから来ているのか説明できなかった。

これに対して著者は、からかいに対する抗議はからかいと同じではない、「いちいち取り合う」ことは当然だし、抗議する人を「いちいち支えること」も必要である、と説明している。「そうだ、これがモヤモヤの正体だったのだ」と思わず膝を打った。

このように、本書はよく聞く「ずるい言葉」に対して、誠実な反論を加え、モヤモヤを解消してくれる。それと同時に、「ああ、自分もずるい言葉を使っている」とギクリともさせられた。「ずるい言葉」を超えて、もっと「正しく」ありたいと願うすべての人に、一読していただきたい内容だ。

著者

森山至貴(もりやま のりたか)
1982年神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻(相関社会科学コース)博士課程単位取得満期退学。
東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻助教、早稲田大学文学学術院専任講師を経て、現在、同准教授。専門は、社会学、クィア・スタディーズ。
著書に『「ゲイコミュニティ」の社会学』(勁草書房)、『LGBTを読みとく―クィア・スタディーズ入門』(ちくま新書)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    日常生活の中で、自分が悪いわけではないのに丸め込まれてしまった気がして、モヤモヤしたことはないだろうか。本書の目的は、言い返せないような「ずるい言葉」を相手が使っていることを見抜いて、正しく言い返す手がかりをお伝えすることだ。
  • 要点
    2
    「あなたのためを思って言ってるんだよ」という言葉は、なにが「あなた」にいいのかを説明できないのに、他人の行動をしばるために利用されることがある。
  • 要点
    3
    「どちらの側にも問題があるんじゃないの?」という言葉の裏には、「なにもせず正しい人になりたい」という感情が隠れているのかもしれない。

要約

大人が使う「ずるい言葉」

まちがいをまちがいと見抜くために

自分が悪いわけではないはずなのに、うまく丸め込まれてしまったような気がする。自分のことを思って言ってくれたはずの言葉に、むしろ傷ついた気持ちになる。日常生活の中で、こんなモヤモヤを抱えたことはないだろうか。こういうときは、言い返せないような「ずるい言葉」を相手が選んでいるのかもしれない。

本書の目的は、そんな「ずるい言葉」を見抜いて、きちんと言い返すための手がかりをお伝えすることにある。中学生から読めるようなやさしさで、大人がよく使うずるい言葉を交えた会話例を紹介し、そこにひそむずるさを解説していく。大人にとっても、実感を持って読める内容になっているはずだ。

【必読ポイント!】 “上から目線”がカクれた言葉

あなたのためを思って言っているんだよ
MStudioImages/gettyimages

他の人があなたのためになにかをしてくれたなら、本来嬉しい気持ちになるはずだ。しかし、「あなたのためを思って言っているんだよ」を言われると、なぜ嫌な気分になることがあるのだろう。

それは、「あなた」のためを思って言っていることが、本当に「あなた」のためになるとはかぎらないからかもしれない。そして、本当に「あなた」のためになるという説明ができないからこそ、あえて「あなたのため」という言葉を持ち出して、「根拠」のうめ合わせをしているのではないだろうか。

「あなたのため」と言われたら、「どうして私のためになるのか説明してほしい」と伝えてみよう。納得のいく説明が得られるかもしれないし、もし得られなかったとしても、そこに対話の余地が生まれるはずだ。

そんな言い方じゃ聞き入れてもらえないよ

相手の理不尽な行為や態度に対して怒りを表明すると投げかけられることがある「そんな言い方じゃ聞き入れてもらえないよ」という言葉。こう言われると、ぐっとつまってしまう。私たちには、きつい言い方をするのはよくないという思いがあるからだ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2880/3686文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.04.15
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
ブレイクセルフ 自分を変える思考法
ブレイクセルフ 自分を変える思考法
伊藤羊一
未読
本には読む順番がある
本には読む順番がある
齋藤孝
未読
図解ストレス解消大全
図解ストレス解消大全
堀田秀吾
未読
1行書くだけ日記
1行書くだけ日記
伊藤羊一
未読
「ニューノーマル」最強仕事術
「ニューノーマル」最強仕事術
濱田秀彦
未読
言葉にできない想いは本当にあるのか
言葉にできない想いは本当にあるのか
いしわたり淳治
未読
やり直し・間違いゼロ 絶対にミスをしない人の仕事のワザ
やり直し・間違いゼロ 絶対にミスをしない人の仕事のワザ
鈴木真理子
未読
楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか?
楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか?
土屋裕介小屋一雄
未読