起業の天才!
江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男

未 読
起業の天才!
ジャンル
著者
大西康之
出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
2,200円(税込)
出版日
2021年02月11日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男
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大西康之
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定価
2,200円(税込)
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2021年02月11日
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おすすめポイント

戦後最大の疑獄とされる「リクルート事件」と「失われた30年」、この二つは密接に関係していると聞いたらどのように思うだろうか? 昭和末期に起きたリクルート事件から30年。つまり平成の30年間、日本経済は世界の成長から完全に取り残されてしまったというのが本書の主張だ。

本書は、「起業の天才」と呼ばれた江副浩正という人物の生涯や理念、江副の創ったリクルートという会社、そして「リクルート事件」の真相について、江副を知る多くの人物の逸話とともに事細かに記載している。江副こそ、アマゾンやグーグルといったITジャイアントが作り上げたビジネスと同じことを、まだインターネットがない30年以上も前にやろうとした大天才だった。

しかし既存産業の常識や旧弊を打ち破ってきた江副は、「リクルート事件」により大罪人のレッテルを貼られる。起業家精神に富むチャレンジャーとして難題を乗り越えてきた実績さえ、負の側面と結び付けられ、彼の存在ごと全否定された。そのため、彼の代名詞とも言えるイノベーター、起業家が育ちにくい国となってしまった。それがこの失われた30年だ。

リクルート事件と失われた30年の関係性を深く知りたい方、また、起業志向のビジネスパーソンに手に取っていただきたい一冊だ。従来と異なる生活様式やビジネススタイルへと変容しつつあるコロナ禍の今、もし江副が存命だったなら、きっと新奇なアイデアで次々と新事業を興していたにちがいない。江副が描いた未来に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

著者

大西康之(おおにし やすゆき)
ジャーナリスト。1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘いJAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    幼少期に厳しい環境で育った江副は、合理的手法で組織を経営するマネジメントの天才だった。
  • 要点
    2
    米国で「通信自由化」が黎明期を迎えると、「江副・日経新聞の森田・NTTの真藤」の3人は情報化社会の未来を見据え、情報サービス事業へと大きく舵を切る。
  • 要点
    3
    事業の拡大を狙う江副は政界など多くの関係者に未公開株を配った。しかし、新聞報道とその後発覚する贈賄によって、戦後最大級の企業犯罪「リクルート事件」へと発展した。
  • 要点
    4
    江副の組織論が凝縮されたリクルートは、江副が去った後も成長を続けている。

要約

第一章 天才の手腕と拡大する事業

江副の生い立ちと「時代の波」
alphaspirit/gettyimages

江副には母親が3人いた。浮気癖のある父・良之は、妻を二転三転させ、その度に江副をあちこちへと移住させた。戦時中だったため、栄養失調と診断されたこともある。そのように劣悪な幼少期の環境がハングリーな人格を形成したと言ってもいい。

大阪で育ち、小学校の成績が優秀だった江副は、灘と並ぶ名門の甲南中学・高校へと進学する。高校ではアダム・スミスの『国富論』の講義を受け、合理主義者・江副の心に資本主義の根本原理が植え付けられた。労働組合が隆盛していた当時、マルクス主義の洗礼をまったく受けなかった江副の存在は奇跡に近かった。

その後東大に進んだ江副は、東大の学生新聞の広告取りのアルバイトを始めた。とある企業の就職説明会案内掲載で成功を収めたことから、採用をめぐる「時代の波」を捉える。朝鮮戦争特需による日本経済の復活を背景に、コネ入社が終焉を告げ、実力を重視する企業側の需要と、働く会社を自ら決めたい学生側の気運を、うまくマッチングするものだった。

日本型経営を破壊せよ!

1960年、江副は新聞広告業の延長で「株式会社大学広告」を立ち上げる。その後「企業への招待」という広告だけの本を無料で学生に配り、企業からの広告収入だけで利益を得るという、前代未聞のビジネスモデルを確立させた江副は、破竹の勢いで会社を巨大化させていく。1963年には社名を「日本リクルートセンター」に変更。「企業への招待」によって主要企業の人事担当者と密接な関係を結び、採用情報を一手に担うようになったリクルートは「日本株式会社の人事部」になっていた。

江副は才能を持つ人材を見出し、その人を生かすマネジメントの天才だった。社員のモチベーションを高めることに長けていた。

江副と社員のやりとりはこうだ。社員が常々「やってみたい」とか不満に思っている事柄について「君はどうしたいの?」と聞く。戸惑いながらも答える社員に対して我慢強く誘導していき、最後には「じゃあそれ、君がやってよ」と言い、不満ばかりの評論家を当事者に変えてしまうのだ。

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