本には読む順番がある

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2020年12月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

名著に挑戦しようと読み始めてみたものの、あまりの長さに挫折してしまったり、内容が理解できずに読むのを諦めてしまったという経験はないだろうか。読破できなかった自分を責めて自信をなくしてしまうこともあるかもしれない。しかし、著者によれば、読めなかった原因は、本を読む順番を間違えていることにある。

本書は数々の書籍を世に送り出してきた齋藤孝氏による、読書の力をつけ、体系的な知識を身につけるための「本を読む順番」の解説だ。いきなり難しい本を読むのではなく、分かりやすい本から読み始めて、基礎的な力を身につけた上で、専門書や原典などに挑戦する。本を読む順番を意識することで、本を正しく理解し、知識・教養を身につけることができるのだ。

そうは言っても、初めて読む分野の本のレベルを、自分で判断して正しい順番を考えるのは難しいものだ。そこで本書は、ジャンルと作者に分けて、実際の本を紹介しながら、それぞれの本を読むべき順番を解説している。著者の紹介を読んでいると、今まで自分が興味が持てなかった分野や、難解だと思っていた作家の本でも、読んでみたいという気持ちになってくる。読書が苦手な方だけでなく、読書はしているが知識が身についていないような気がしているという方に、ぜひ読んでいただきたい一冊だ。

ライター画像
木下隆志

著者

齋藤孝(さいとう たかし)
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

本書の要点

  • 要点
    1
    本を読む上では順番がある。順番を間違えてしまうと、本を理解できなかったり、知識が身につかなかったりする。
  • 要点
    2
    何かを学習したい場合、その分野のガイド本を最初に読んでその分野の全体像を掴むことが大切だ。
  • 要点
    3
    専門的な知識を分かりやすく解説している新書が読書の入口だ。まずは読書に慣れるために、読みやすい新書をたくさん読むと良い。
  • 要点
    4
    読む順番と同じくらい大切なのは、読書の際に「アウトプット」を前提にすることだ。

要約

読む順番が大切な理由

読む順番を間違えてはいけない

「本の内容が全く理解できなくて読み終わらない」「本を読んでいるつもりなのに知識が積み上がっていかない」と悩んだ経験はないだろうか。この原因は「読む順番を間違えている」ことにあると著者は指摘する。

筋トレでたとえるなら、いきなりベンチプレス100kgに挑戦する人はまずいないはずだ。まずは30kg、40kgと体を鍛えながら、徐々に負荷を高め、ようやく100kgに挑戦する。

難易度が数値化されていないからわかりにくいが、本にも読む順番がある。読書の基礎をつけてからでないと、難解な本は読み解くことができない。特に思想哲学、歴史などの教養本に関しては、まずは初心者向けの本で基礎知識を身につけてから、徐々にステップアップしていくようにしよう。そうすることで、諦めてしまっていた本でも、いずれは深く理解して読破できるようになる。

読書の面白さを体験し、読書習慣を身につける
djedzura/gettyimages

大学で多くの学生を教えている著者が学生に本を読む習慣をつけてもらうためにお勧めしているのは次の2つだ。まずは「分かりやすい概説書から読むこと」、そして「古典のなかでも比較的読みやすい、理解しやすいものから入ること」である。この2つを並行して進めていくと、自分にも読める、読書は楽しい、という実感や自信を持ってもらうことができる。

著者のお勧めする古典は『論語』だ。私たちにもなじみ深く、一つひとつの話は短くて読み切りやすい。何より、「あの『論語』を読み切った」という成功体験を得ることができるのが肝要だ。

頭の中に「知性の地図」を描く

古典をわかりやすく解説した本はたくさんある。まずは簡単なものに触れ、大まかなあらすじを知っておくと、原本を理解しやすくなる。手順さえ間違えなければ、難解な本でもいずれは読破できるのだ。

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要約公開日 2021.04.14
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